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2008年9月15日 (月)

幼児ことば

時々のことだが、わが子が使う幼児言葉で悩む母親の相談事の投書が目につく。自分も同じ道を辿ってきたはずなのに、余計な心配ごとをしているようだ。子どもだけがいけないのではなく、周りの大人が知恵をつけていることが多いことに気がついていない。知らず知らずに犬を見て「わんわん」と呼び、猫を見て「にゃんにゃん」と呼んで教えていないだろうか。

読売新聞(9/15)から  《》内は私見
幼児の言葉は、発音もたどたどしく、言い間違いも多い。子どもが発音できる音には段階があり、正しい発音には、生活習慣や遊びも大切という。専門家は「言い間違いをしても、とがめずに、さりげなく直して」と助言する。

《私の実体験から言えば、とがめるどころか、さり気なく直す必要もない。子どもは成長とともに何時の間にか、自然に直して正しく使っているものだ。私の下の妹は幼い頃、‘たまご’が言えずに‘たがも’と繰り返していた。1度や2度は教えたが、直らない。1年間ぐらいは‘たがも’だったが、いつの間にかきちんと‘たまご’は言えていた。また、私の長男は‘からす’を‘がらす’と言っていた短い時期があった。面白いから「がーらーす、何故泣くの」と一緒に風呂に入って歌っていた時の録音が今でも残してある》。

子どもは、生後数カ月から「バァバァ」といった喃語(なんご)を発するようになり、徐々に言葉を覚えていく。マ行やパ行などは比較的速い時期に発音でき、サ行やラ行などは4、5歳くらいで発音できるようになるなど、段階がある。また個人差も大きいものだ。

埼玉県内の会社員(41)の、間もなく4歳になる長男は、「抱っこして」を「抱っこちて」と発音する。時々「お菓子」も「おかち」となる。また、埼玉県の主婦(43)の5歳の二女は、「スパゲティ」がうまく言えず、「スタベキー」に。「蚊がいる」を「かががいる」と言うこともある。「正しく言わせようとするのですが、なかなか直りません」「ことばと保育を考える会」代表で、元幼稚園長の村田和子は、「年齢によって難しい発音があることを理解し、さり気なく、正しい言い方を大人が示すことが大切。子どもには無理に言い直しさせなくてもいいでしょう」と話す。最近は早口で子どもに話しかける親も増えているという。「ゆっくりと、繰り返し、正しい言い方で反して下さい」と。

《早口もそうだが、世間の会話を聞いていると、特に若者に目立つが、滑舌の悪いことも一因だろう。街頭インタビューでの会話、仲間同士の会話、テレビで歌などを聞いていると、歌詞カードがなければ日本語かどうかさえ解らない発音が多い。「スタベキー」は親の発音に滑舌の悪い紛らわしい音があるのではないかと思えるほどだ。》

正しい発音を育てるには、幼児期の遊びや生活も関係してくるという。ブランコ、かけっこなど身体を使った遊びをすることで、肺の機能が高まり、安定した発声ができるようになる。よく噛んで食べる、ストローを使って飲む、うがいや歯磨きをするといった口を使う日常動作も、口や舌などをコントロールし、正しく発音することにつながる。擬声語や擬態語も言葉への関心を高める。階段から下りる時に、子どもと一緒に「ポン」「トン」と声を出す。わらべ歌やしり取り歌など、言葉を口に出して楽しめる遊びもお勧め。

「ある時期が来れば自然と正しく発音できることが多い。おおらかな気持ちで見守ってほしい」と元幼稚園長の村田は話す。

《彼女は触れていないが、日本語には沢山の方言がある。年輩の人たちには孫の顔を見れば、ついつい地方の言葉で話しかける。標準語だけが日本語ではないことも頭に入れておくことも大切なことだ。標準語と言われる東京でも、古くから江戸方言で「ひ」と「し」の使い分けができないことが分かっている。「ひと」が「しと」になり、「ひだり」が「しだり」になる。幼児にはどう教えるのか。‘わんわん’や‘にゃんにゃん’と同じように私の子どもの頃には魚のことを「お」をつけて‘おとと’と言った。また「そうでちゅね」や「きれいでちゅね」「いい子でちゅね」などそれらを「幼児ことば」と知っていれば目くじら立てて注意し、矯正する必要はない。》

過った発音が習慣化したり【(註)上の江戸っ子の「ひ」と「し」のような】舌や唇といった発音にかかわる器官の障害などが原因で、正しい発音が難しいケースもある。自治体の相談室や言語聴覚士がいる医療機関で相談できる。東京学芸大教授で、言語聴覚士の大伴潔は「指導開始は、基本的には子どもが自分の発音について自覚できるようになってからだ。ただ、開始できるなら早い方がいいので、親が心配なら、小学校入学前でもまず相談してください」と話す。

《お母さん、あなたも「わんわん」「にゃんにゃん」「そうでちゅね」で育てられてきたはずですよね。「お菓子が」が「おかち」に、「スパゲティー」が「スタベキー」になったくらいで気を病むことはいらないと思いますが・・・。幼児ことばのそれよりももっと見苦しいのは、成人した後も殆どの女性が両親を指して口にする「お父さん」「お母さん」だ。極々仲間うちの気心知れた同士で言うのはいいが、改まって他人との会話の中で、両親を表現する際の「父」「母」が言えない。日本人らしからぬ「パパ、ママ」で育てられた世代だ。いつまでも、甘えの感情のまま大きくなってしまったのだろう。言うならば、これこそが、幼児ことばそのものかも知れない。

《幼児ことばに神経を使うよりも、せめて両親を「父」「母」と言えるように、或いは自分のことを「わたし」「わたくし」が言えず、「○○はね」などと、名前を言うような聞き苦しいことのないように、きちんと躾をしておくことの方が余程大切なことだと思うのだが。》

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