棒高跳び ブブカとエレーナ・イシンバエワ
北京に204カ国からアスリートたちが集まった。特に見てみたい競技はないが、強いて挙げれば競泳でSPEEDO社の水着(レーザーレーサー)を身に着けて泳ぐ選手たちが、どれほどの記録を並べることになるのか、多くが注目していることだろうか。
レーザーレーサーを取り上げた時、似たような出来事が過去にあったことに触れて書いた。それは、棒高跳びのポールの素材についてだった。詳しい経過についは先の記事を参照してもらえればよいので、竹の時代から金属、グラスファイバーと移行する時代に伴う代表的な記録の移り変わりを記してみよう。
1936年 4・25m(竹:ベルリン・オリンピック銀・銅同位)
ジャンプ技法の発達により
1942年 4・77m(竹:アメリカの選手)
1960年 4・80m(金属:限界4・89と言われた)
1962年 4・89m(以後グラスファイバー)
1964年の東京オリンピックの時の出場全選手が
グラスファイバーを使用した。
1994年 6・14m(現・世界記録:セルゲイ・ブブカ)
▽ブブカは1985年に世界で初めて6メートルの高さを突破した後にも記録を更新し続け、その世界記録の更新は35回を数える。しかし、世界記録の樹立のたびに賞金を手にしていたことで、跳べる高さを小刻みに加減していたとの僻(ひがみ)が飛んだこともあった。
記録の方はブブカを頂点に6メートルを超えて跳躍した選手は数えるほどしかいない。
6・05m 2名(2001・8現在)
6・03m 2名(2000・6現在)
6・01m 2名(2004・9現在)
6・00m 5名(2006・7現在)
続いてブブカと同じロシアの女子棒高跳びのイシンバエワの5・04メートルに話を移そう。
毎日新聞(7/30)から
モナコ国際は29日、モナコで行なわれ、女子棒高跳びでエレーナ・イシンバエワが5・04mの世界新記録を樹立した。11日のゴールデンガラ(ローマ)でマークした自身の世界記録を1センチ更新した。屋内外で通算23度目の世界記録更新となる。
イシンバエワは「状態はいい。あとはこの調子を五輪まで維持するだけ」と自信に満ちた口調で話した。この夜も4・83mを2回目で成功した時点で勝利は決まっていた。あとは自己ベストの更新だった。4・93mを2回目で跳ぶとバーの高さを一気に5・04mに上げた。2度失敗の後、最後の挑戦でバーを揺らしながらもクリアした。
今季急成長した米国のスタチンスキと屋外で今季初対決した25日のロンドン・グランプリでは相手が跳ぶ高さをパスして圧力をかけ続け、4・93mで快勝している。駆け引きでの強さも証明した。
05年世界選手権で5・01mを跳んでから、身体は上がってもバーをクリアしきれない跳躍が続く停滞があった。だが、ローマ、モナモと続いて世界記録を更新した。今度の北京では4・92mまで記録を伸ばしてきた同じ26歳のジェニファー・スタチンスキ(米国)が強力なライバルとして挑んでくる。
《イシンバエワの世界記録5・04mは、1962年のグラスファイバー初期の男子選手の記録4・89mを遥かに超えている。ジャンプ技法が発達したとはいえ、やはり道具のポールが、竹や金属からグラスファイバーへと素材が代わったことが大きく寄与していることには違いない。イシンバエワは「ブブカの世界記録更新の35回を超えることが目標」と連破に向けて北京に乗り込んできている。》
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