もったいない話 2題
♦毎日新聞(8/17)から
農林水産省は、まだ食べられるのに小売業界や一般家庭などで捨てられている食品廃棄物の削減に向けた具体策の検討に乗り出した。今月8日、省内に設置した有識者会議「食品ロスの削減に向けた検討会」で対策を話し合い、10月をめどに関係業界や家庭から出る食品廃棄物の削減について提言をまとめる。国際的に食糧需給が逼迫する中で食品の無駄な廃棄を減らし、食料自給率の向上や食糧の安定調達にもつなげたい狙いもある。
農水省によると、05年度の小売業や外食産業、家庭からの食品廃棄物の排出量は、国内で流通した食品の2割にあたる約1900万トンに上る。内訳は関連業界から出る売れ残り商品などが約800万トン、一般家庭の食べ残しなどが約1100万トンで、うち500万〜900万トンはまだ食べられる売れ残りや食べ残しと推測される。
農水省は、これらを減らすため、
a、必要以上に短い賞味期限
b、商品の過剰な仕入れや返品制度
c、消費者の行き過ぎた鮮度志向
などの見直しが必要と指摘している。
農水省の試算によると、日本の食料自給率(カロリーベース)の「分母」にあたる1日の国民1人当たりの供給熱量は05年度で2573キロカロリーだが、実際に摂取した熱量は1851キロカロリーで、差し引き722キロカロリーが無駄に捨てられているという。そのロスを減らせば、07年度で40%と低迷が続く食料自給率の向上にもつながるとしている。
会議はスーパー、コンビニエンスストア、食品メーカーなどの担当者らで構成。8日に開いた第1回会合では「賞味期限切れ前に返品された食材の再利用を促進する」(流通業者)、「少量で無駄なく食べられる商品を増やす」(食品卸)などの提案がでた。
《スーパーやコンビニエンスストアに行くたびに見られることだが、消費者は、何よりも先に消費期限や賞味期限を調べる。次々と明るみに出た詐欺紛いの不正が発生したことが、消費者を不安、不信にさせ、目の前にある商品のすべてを点検しなければ気が済まない猜疑心を育てた。野菜や果物など、生産者でなければその良否など分かるはずもないものまで、何を基準に選ぶのか知らないが、手当りしだいの品定めだ。買い物風景は何度も取り上げて書いてきたが、1人が過ぎ去ったあとは、奥からも底からも商品はひっくり返えされて足元に散らばることさえ散見する。
そのようにしてまで購入してきた食糧品だが、花盛りの料理番組では「冷蔵庫の中の食べ残し」が話題になる。或いは、番組によっては何時冷蔵庫に入れたのかも分からないような腐乱した食べ物が続々と摘み出される(やらせを疑う必要はあるが)。上の提案にもあるが、無駄を嫌う年代の、我が家のような食の細い老人2人に適量の商品が少ないからどうしても残り物は出てしまう。》
♦読売新聞(8/17)から
農林水産省が菓子業界を対象に7月に実施した賞味期限に関する調査で、大手スーパーなどの小売業者が独自の納入期限や「店頭販売期限」を設けている実態が明らかになった。期限が切れた食品は返品・廃棄されるなどして、食品の廃棄を増やす一因と指摘されている。農水省は調査を踏まえ、10月までに対応策をまとめる。
調査は全日本菓子協会が協力し、全国で流通している菓子を製造する31社を対象に実施した。このうち、6社から回答があった。
それによると、大手スーパーやコンビニは全般的に、製造日から賞味期限の期間のうち3分の1の時点を「納入期限」と定めていた。この条件では、例えば賞味期限3カ月の商品では、製造から1カ月を超えると納品できなくなる。期限を外れた商品は返品されていた。
また、製造日から賞味期限までの期間のうち3分の2の時点を「販売期限」と定めている小売店もあった。期限を過ぎた商品は、見切り品として割引販売されるか卸業者やメーカー側に返品されていた。全商品に占める返品率は平均1・1%で、その99・5%は捨てられていた。
一方、協会会員の菓子メーカー45社に、賞味期限の設定方法をきいたところ、科学的根拠に基づいて安全性や品質に問題がないと判断できる期間の「6割以上7割未満」にしている社が36%と最も多かった。この期限は、7〜8割が標準とされている。中には、他商品と横並びにするため4割弱に設定されているスナックや、風味の維持のため4割弱に設定されている米菓の例もあり、必要以上に短い賞味期限設定の一端が浮き彫りになった。
《7〜8割が標準とされている品質期限を、極端には4割弱にまで幅を狭め、企業は採算性を圧迫しているようだ。確かに一度失ってしまえば、信用を取り戻すには並み大抵ではない。それよりは安全係数を高く設定しておくことで、企業は多少の採算性を犠牲にせざるを得ないのだ。
いずれにしても、現時点では賞味期限も消費期限も、加えて擬装をも含めて消費者の信用を失っている。廃棄食品の削減への取り組みは、簡単なことではない。》
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