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2008年7月23日 (水)

また またまた、か

毎日新聞(7/23)から 《私見》
無差別の刃物がまた、市民を襲った。東京都八王子市のショッピングセンターで22日夜起きた女性刺殺事件。被害者と容疑者は面識がないという。買い物客らは突然の凶行に青ざめた。

《新聞はこの事件の3日前、埼玉県川口市の19日午前3時ごろに起きた中3女子が、自宅で父親を刺殺した事件を賑々しく報道している最中だった。先月の東京秋葉原の無差別殺人の記事がやっとおさまりかけた頃合だ。15歳の女の子の父親殺しに新聞は、取り巻く環境を取り上げて、当の女を早速「頭がよくて面白い子」「礼儀正しくてすごくいい子」と書き、一瞬にして世間の同情をひくことに成功している。これからの数日間、友だち仲間、近所のお喋り小母さん、学校の先生、身内に始り、続いては犯罪心理学の先生と呼ばれる人、児童心理学者、識者と呼ばれる人、ジャーナリストなどの間を飛び回って情報を集め、推理を織りまぜて女の身の回りを飾り立てていく。その結果はますます同情が寄せられる人物像が出来上がる。恐ろしいことに、トイレで赤子を産み、その場で殺した女子高生が無罪になり、秋葉原の容疑者のように、世の中を甘えで生きる殺人鬼が、責任を安易に社会のせいにし、会社のせいにする。それを同じような境遇の同類たちが祭り上げ、ヒーローになりかねないほどになったのと同じ経過を辿ることになるのだろう。そしてそのような時、またまた冒頭の八王子の事件は起こった。》

22日午後9時40分ごろ、同市明神町3の京王八王子駅ビルに入る「京王八王子ショッピングセンター」で女性2人が刺されたと119番通報があった。東京消防庁によると、9階に入る書店で、女性従業員(22)が左胸を刺されて死亡。10階で被害にあった女性(21)は手や腹を刺されたが、命に別条はない。警視庁は刺した男(31)*をセンター近くの路上で発見し殺人未遂などの容疑で逮捕した。

 * 容疑者は途中から年齢、33歳に変っている。

《秋葉原事件を参考に、殺人凶器になり得る両刃のダガーナイフが発売禁止になるが、特定の銃刀以外にも凶器になり得るものはどこにでも売られ、誰でも手にすることは可能だ。例えば包丁だ。刃渡り20、30、センチのものなど、スーパーで、それ以上の刃渡りになると専門店に行けば幾らでもある。また、金槌や斧だって殺人凶器として使われている。》

《彼は「むしゃくしゃして」「仕事がうまくいかなくて」などと供述しているようだが、30歳を過ぎた男の言葉ではない。まるで昨日、今日の新入社員が任された仕事に行き詰まり、途方に暮れた時のような子どもっぽい考えだ。仕事に限らずうまく行かないことが人生にはある。うまく行かないことの責任が、自分にあることだって多い。だれもが順風満帆に生きているわけではない。うまく行かないことの責任を、すぐに外に転嫁させる甘えた考えではどうしても自分本意にならざるを得ない。彼の自分本意の考え方は、幼い頃からの家庭教育が作り上げた。成長の時々、節目節目に軌道修正してやれなかった親の責任が最も大きい。》

《秋葉原の男と同じ、世界が自分を中心に回っていなければ気が済まないこの男も「殺すのは誰でもよかった」と言うが、男の自分本意の考えに共感する人間がいるようではこれからも無差別殺人はなくならないだろう。》

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