市民の銃所持禁止は違憲
信じられないことだがアメリカは未だに未開の国のままのようだ。これまでにも幾度か触れてきたが、銃がないと安心して生きて行けない国なのだ。どこから英国を追放になった犯罪イギリス人が襲ってくるか分からないし、頭を鳥の羽で飾った先住民(当時はインディアンと呼んでいた)が襲って来て頭の皮が剥がれることになるか、白人が売り込んだ銃を振りかざして駅馬車を襲ってくるか分からず、南部と北部はいがみ合い、奴隷たちの叛乱が繰り返され、内戦もまだ終わっていないようだ。日常茶飯事のように覆面の銀行強盗が跳梁し、強盗団が銃をぶっ放して襲い、殺しあいを繰り返す。そのような未開の時代を背景にして作り上げられた憲法(1789年3月4日)を金科玉条にして身を護るそのためには、どうしても銃は離せない、との連邦最高裁の判断なのだ。「風と共に去る」で知られる南北戦争が終わったのでさえ1865年のことであり、敗残兵の略奪騒動に対する自衛にも銃が必要と見られていた時代で時は止まったままの国のようだ。
後に(1791年12月実施)権利章典と呼ばれる人権保障規定が追加され、その修正第2条が(人民の武装権)であり、次のように書かれている。
『規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。』
【閑話休題】毎日新聞(6/27)から 要約
市民の拳銃所持を禁じた首都ワシントンの法律*について、米連邦最高裁は26日、「個人は憲法上、銃を所持する権利がある」として違憲判決を出した。最高裁が個人の銃所持を憲法上の権利と明確に判断したのは、初めてという。一定の銃規制は認める内容だが、判例が確定したことで、銃社会の米国で、完全な銃禁止法の制定は事実上、不可能になった。
* アメリカ合衆国は、連邦制を構成する各州がそれぞれ独自の憲法を有する。
《近代社会になった今、200年以上も前の開拓時代の憲法をそのまま推し戴いている米国という遅れた国に呆れるが、銃に頼り、近代社会にあった内容に変えようともしない頑迷固陋の国にもっと呆れる。この思想が根底に流れているからこそヴェトナムやイラン、イラクの問題も生まれるのだろうが。》
裁判は、警備員のディック・ヘラー(66)が自宅での拳銃所持を求めて訴えたもので、9人の判事の結論は5対4の小差だった。判決は「自己防衛目的での所持を禁止することを、憲法は認めない」と判断。拳銃について「自宅への侵入者に照準を合わせながら、もう一方の手で警察に通報できる」と有効性を指摘した。
その一方で「拳銃の暴力の問題は認識している」とし、同市側の拳銃規則の余地を認めた。また、犯罪者・精神疾患者の銃器所持や、公共施設での銃器所持を禁止した従来の法に、この日の判決は影響しないとした。
米国内では、武器所有を認めた憲法修正2条について、州兵のみか、個人も含めるかを巡り論争があったが、この日の判決で決着したことになる。AP通信によると、銃規制反対の最大勢力の全米ライフル協会(NRA)は判決を受け、他都市の銃規制を対象に、違憲訴訟を検討し始めたという。
ヘラーは判決後に記者会見し、「これで自分と家族を守ることができる」と語った。一方、ワシントンのフェンティ市長は「拳銃が増えれば、暴力が増えるだけだ」と反発、拳銃所有の登録制を導入する方針を明らかにした。ワシントンの法では1976年以来、市民の拳銃所持を禁じている。
最高裁の判決が出たこの日、銃規制賛成派と反対派数百人が結集。ホワイトハウスや大統領選候補も、判決を受けて声明などを出した。
銃規制運動の先頭に立ってきた市民団体「銃の暴力を防ぐブレイディキャンペーン」代表のポール・ヘルムキー氏は記者会見で「失望した」と第一声。ただ、判決がある程度の規制を認めたこともあり、「今後も良識のある規制を求めて闘っていく」と語った。
一方、原告弁護士のアラン・ギュラは「ワシントンがより安全になる」と発言。また、NRAは「建国の父たちが意図したことを、最高裁が認めた」との声明を出した。
二人の大統領候補は選挙を意識して発言している。共和党指名候補に内定したジョン・マケイン上院議員は全米ライフル協会の支持を受けていることもあり「憲法修正2条にとり画期的な勝利だ」と喜んだ。リベラルとされる民主党指名内定候補のバラク・オバマ上院議員は「判決は地方裁判官らの手引きとなるだろう」と慎重な言い回しだったという。また、ペリーノ大統領報道官は「ブッシュ大統領は判決に快く同意している」と語った。
参照 拳銃所有 08/05/13
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