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2008年7月 4日 (金)

誤報では済まぬ

毎日新聞(7/1)から 《》内私見
30日午後4時35分ごろ、福井県美浜町の防災無線全58基から、「ミサイル発射情報。当地域にミサイルが着弾する恐れがあります」との放送が誤って流れた。総務省消防庁が有事の際などに各自治体に情報を流す「全国瞬時警報システム」の誤作動が原因。

町は直ちに放送を中止し、約10分後に訂正放送を流したが、町役場には「本当か」など約50件の問合せ電話が相次ぐ騒ぎになった。

町には、関西電力美浜原発1〜3号機が立地している。

読売新聞、続報(7/4)から
先月30日の「ミサイルが着弾する恐れがありなす」との誤報が流れた問題で、総務省消防庁は3日、全国瞬時警報システム「J-ALERT(アラート)」を点検中にテスト情報の消去忘れなど人為ミスが重なったことが原因だったと発表した。誤作動は今年に入り岐阜県でも確認されており、システムの信頼性が揺らいでいる。

発表によると、美浜町は当時、警報の受信装置に不具合が見つかり点検中で、動作確認のため試験用として「ミサイル情報」を入力した。本来、点検に装置を再稼動させる際には入力情報を消去する必要があったが、総務省消防庁側から指示がなかったため、これを行なっていなかった。また、情報入力の段階で訓練であることを示す識別番号も入力されていなかった。

道庁は「今回は人為的なミスで、システムには問題がなかった」としているが、美浜町には原子力発電所があり、町住民安全課によると「原発が狙われたのか」と不安を感じた職員も多かったという。

《「誤動作は今年に入り岐阜県でも確認されており、システムの信頼性が揺らいでいる」とシステムの信頼性を取り上げているが、ことはシステムの問題ではないだろう。過去には米ソ冷戦時代の原爆乱造による一触即発の危機にあった時、間違ってボタンを押し、第三次世界大戦の勃発を懸念する声が上がったことがあった。

現在、北朝鮮を仮想敵と見なす日本政府は先守防衛を謳ってはいるだけに、今回のような誤報は絶対にあってはならない問題だ。美浜町のみならず、岐阜県でも発生したと言う。取り扱う人間の無神経さが、何度もあったテボドンの打ち上げに重なっていたら、どのような騒ぎになっていたか、想像するだけでも恐ろしいパニックを惹き起していただろう。

アメリカで今から80年前(1938)、似たような事件が起こったことがある。前年の5月6日のこと、ドイツの硬式飛行船ヒンデンブルク号がアメリカ・ニュージャージー州の海軍飛行場で爆発・炎上した事故が発生していた。勿論ラジオはショッキングなニュースを大々的に報道した。このことが次のパニックの引き金になった。

事故の翌年の1938年10月30日、アメリカCBSラジオはオーソン・ウエルズ*によるH・Gウエルズ(Herbrt George Wells)のSF小説『宇宙戦争』の翻案『火星人襲来』を放送した。舞台を現代アメリカ・ニューヨークに移して前年のヒンデングルク号爆発・炎上の時を思い出さるような臨時ニュースからドラマは始まり、O・ウエルズ演じる目撃者による回想を元に、ドキュメンタリー形式のドラマとして展開していった。その結果、聴取者に本物のニュースと間違われ、パニックを惹き起したといわれる。

 * オーソン・ウエルズは当時23歳、わずか21歳でニューヨーク・ハーレム地区で俳優・スタッフたちとの演劇事業に演出家として赴任する。シェークスピアの「マクベス」をプロデュースし、大ヒットさせる。23歳のラジオ・ドラマ『火星人襲来』のあと、1941年には今なお歴代映画でも名作と言われる『市民ケーン』で主演・監督した。

誤報も二度、三度と重なれば、“狼少年”(尋常小学校の教科書にあった、いつも「狼が出た、狼が出た」と言って村人を騙していた少年が、狼がほんとうに出た時も叫んだが、誰にも信じてもらえなかった、というお話)よろしく同じ運命を辿ることになった時、まだ完全に牙を抜かれた訳ではない仮想敵からの攻撃を、防ぐことは不可能になるだろう。

その意味でも今回の誤報問題は、単なるシステム上のことではなく、誤報といっただけでは済まされない政府の危機管理の怠慢、緊張のなさから来るものと思わざるを得ない。》

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