たばこ増税は
あざみ
毎日新聞(7/10、5)から 要約と《私見》
たばこ税の増税が現実味を帯びてきた。07年度のたばこ税収が国・地方合わせて前年度比約170億円減の約2兆2700億円にとどまり、2年ぶりに減少したことが9日、財務、総務両省の決算資料で分かった。06年度はたばこ税を1本当たり約1円引き上げ8・7円としたため、税収は増えたが、たばこの売上げは減少が続いているため再び税収減となった。政府・与党内で高まっているたばこ大幅増税にも影響を与えそうだ。
たばこ税は03年度と06年度に引き上げられたが、喫煙者減少による販売伸び悩みで税収は00年度以降、年間2兆2000億円台にとどまっている。最近はオフィスだけでなく、路上やタクシーにも禁煙が広がり、販売本数の減少傾向が続いている。このため、政府はたばこの値上げがなくても販売数量は減少傾向を続けるとみており、08年度の税収は国・地方合わせて07年度比約700億円減の計2兆2036億円と見込んでいる。
たばこ税をめっぐっては、社会保障費を賄うため、1箱1000円など大幅な増税を求める声が出ている。これに対し「急激な値上げは禁煙者を増やし、税収増にはつながらない」(財務省幹部)との声もある。
《先に増税の話が持ち上がった時(6月10日のブログに取り上げた)、欧米の販売価格を持ち出して、国の税システムの違いも理解できていない能無し政治家の、日本も1本1000円案の幼稚な問題点を指摘した。喫煙者を悪魔のごとく見る風潮は、日に日に禁煙者を増やし、年度を追う毎に税収は減少を続けるだろう。その度に国はたばこ増税で追い掛けるつもりか。》
今月1日から09年度税制改正論議をスタートした自民党税制調査会は、たばこ増税の是非が検討課題にあがる。これには歳入改革の本論のはずの消費税増税が、衆院解散・与党内の反発で議論が進まない中、与党内では「反発が少ない」たばこ税に社会保障の財源手当てを求めようとする辻褄合わせの様相がうかがえる。
公明党の太田昭宏代表は、1日の会見で「(現在1箱300円程度のたばこを)1箱1000円にするかは今後の論議だが、増税は必要」とたばこ税引き上げに賛意を示した。同日開かれた自民党の税調の総会でも、津島雄二会長が「たばこ税も議論する」と明言。舛添要一厚生労働相も「健康増進に役立つ」と後押し。
たばこ税大幅引き上げ論は、中川元幹事長ら「上げ潮派」が早期の消費税増税封じの狙いから打ち出したものだが、政府・与党内で急速に支持を広げているとみられる。
背景には09年度の基礎年金の国庫負担率(現行の3分の1)の2分の1への引き上げの財源手当てを待ったなしで迫られている事情がある。実現には約2・3兆円の財源が必要だが、「歳出削減では到底間に合わず、消費税増税方針が仮に決まったとしても、09年度実施は無理だ。このため、取りやすいたばこ増税にスポットライトが当たった」と(財務省幹部)語る。
「困った時のたばこ税」(与党幹部)と言われるように、たばこ税は過去にも財源の辻褄合わせにたびたび使われてきた。98年には旧国鉄の長期債務処理策として「たばこ特別税」が創設された。たばこ税収は国・地方合わせて年間2・2兆円あるが、今もこのうち約2000億円は返済に充当されている。また、03年と06年には児童手当拡充や国債発行抑制を理由に税率が1本当たり約1円引き上げられた。91年の湾岸戦争時には多国籍軍の支援金の財源捻出にたばこ大幅増が取り沙汰されたこともある。国民に広く負担を強いる消費税に比べ、嗜好品であるたばこは健康という大義名分が立ちやすく、「増税に対する反発が比較的少ない」(財務省)ためだ。
《タイミングとしてはチャンス到来ともいうべきころ合いだ。国際的にも禁煙ムードはかつてない高まりを見せている。ほんとうにそれほど健康に害があるというものなら、CO2同様どうして全世界、いやせめて日本国内『喫煙禁止』にしないのだろう。たばこの植付け、栽培の禁止、輸入も禁止にするべきだ。しかし本音のところでは、全く吸わなくなっては困るんだ。予算分だけのたばこは吸って欲しい、そしてその分の金は欲しいんだから。健康に害があることが分かっているものだが、吸ってくれ、どうしても金が欲しいんだから、ということになる。》
《『喫煙禁止』(2004年、国家としはチベット仏教を国教とするブータンが、禁煙を定めた)を法制化するこことも考えられるが、それはやくざが喜ぶ国になるだけだ。アメリカで「禁酒法」が密造やアル・カポネを有名にし、もろくも破綻したように、交通網が発達した現在、密輸ルートは幾らでもあるだろう。》
勿論「日本たばこ産業(JT)」「全国たばこ販売協同組合」「全国たばこ耕作組合中央会」は1日、「社会保障の財源を愛煙家だけに負担させるのは公平性を欠く」「たばこ業界が壊滅的な打撃を受ける」などとする反対声明を発表し、自民党の谷垣禎一政調会長に安易な増税を行なわないように申し入れた。
《たばこ産業界の言い分の方が、欧州の末端価格との比較だけでたばこ増税を考える与党のバカどもと比べると、余程筋が通っている。》
現状からたばこ税を大幅に引き上げれば本当に税収が上がるか、という肝心な点には賛否両論がある。
▽増税を後押しする厚生労働省の研究班は、税金を今の5倍の875円にし、たばこ1箱の値段を1000円にした場合の税収効果を試算した。値上げに伴い、喫煙者が26〜51%減るとしても「3兆2000億〜5兆9000億円程度の税収増加が見込める」と結論づけた。
▽一方で、製薬大手のファイザーが喫煙者を対象に4月に実施したアンケートでは、たばこの価格が1000円になれば約8割が「禁煙する」と回答している。
ガソリンなどの相次ぐ中、たばこの大幅値上げで禁煙者が続出すれば、逆に「税収が現在より減ることも考えられる」(自民党税調幹部)。たばこ税のうち、50%超は都道府県や市町村に回っているだけに、値上げでたばこ売上げが激減し、税収が落ちれば、地方財政にも影響を及ぼすことになる。
また、中川元幹事長らは増税の根拠として「日本のたばこの価格は欧米の2分の1から3分の1で低すぎる」と主張しているが、「海外のたばこ課税は禁煙推進が主目的で、税収増を狙ったものではない」(財務省幹部)と牽制する声もある。
《中川の論拠は欧州と日本の税制度の違いを無視した(無知か)の不勉強にある。抜本的に税制度を比較してみれば、たばこ税のような些末な問題ではなく、消費税、所得税など税制全般の問題こそ議論しなければならない時期に来ているのではないか。選挙に響くから、人気に影響があるからで、辻褄合わしてすむ問題ではなかろう。また、野党の言う無駄を省くことでは当面はやり過ごせても、直ぐに手詰まりはやって来る。考えれば苦しい生活がやってくるが、消費税の増税は、遠からずなさねば国家財政は破綻すること間違いない。》
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コメント
私はタバコ増税を奨める政党・政治家には選挙の際、投票しないようにして愛煙家として意思表示すべきだと思う
投稿: | 2008年7月13日 (日) 08時21分
投稿者さま、愛煙家の気持ちはよく分かります。
現在の増税論は、時流を利用した無策為政者の愛煙家いじめでしかないと思われます。為政者として成さねばならない仕事は、末端のタバコ増税ではなく、食糧問題であり、重油であり、地球規模の環境破壊への取り組みでしょう。
私もそろそろ喫煙しなくなって17年目になりますが、健康や環境を考えてのことではなく、ただ戯れに休んでいるだけです。ヒステリックな嫌煙家よりは愛煙家の気持ちの方が理解できます。
投稿: 小言こうべい | 2008年7月17日 (木) 11時04分
結局のところ、「お金をもらう理由作り」なんでしょう、といわざるをえない。そんな印象がぬぐえない昨今のタバコ増税ニュース。
あげるならあげるでかまわないけど、上げて集まった税金、「万人共通向け」の目的につかわんでほしいね。
なんで「タバコ吸ってる人」が、あんだけヒステリックかつ言いたい放題な連中に「ご奉仕」してやらにゃならんとですか?
そんだけ「子供にも害が、」とかいってたり、「健康に害が」とほざくならお前らそろって奄美大島あたりにでも引っ越しやがれ、といいたくなります。
投稿: 若いかもしれない愛煙家 | 2009年11月 8日 (日) 19時03分