「減反見直し」発言
毎日新聞(6/1)から
町村信孝官房長官は31日、東京都内で講演し、世界的な食糧高騰に関して「食糧不足の国があるというのに、日本で5割ぐらいの減反をしているのは本当にもったいない。ここで見直していく必要があるのではないか」と述べ、米の生産調整(減反)政策見直しの必要性に言及した。
《変だよ、この発言は。たしか日本は現在米余りの状況下にあるはずだ。不幸にして今年、大災害に見舞われたとしても、政府の備蓄米は2年間分は蓄えられているはずだ。生産技術が進んでいなかった昔は反当たりの収穫は少ないものだったが、技術改良で収穫は増大して米に関する限り減反の影響はない、と考えてもいい。足りないのは大豆や小麦だ。欧米風に食習慣が変化し、特にパンの原料になる小麦の不足は緊急の問題となっている。
しかし、たしかに官房長官のいうことも頷ける面はある。今朝の同紙、第1面には今年4月、食糧高騰に伴う暴動で多数の死傷者を出し、アレクシス首相が辞任に追い込まれたカリブ海の島国ハイチの食糧難が目を引く。報道によると、怒りの震源となった首都ポルトープランスのスラム街シテソレイユでは、小麦などに塩分を含んだ泥を混ぜた「泥のクッキー」ですら、過去3カ月で値段が2倍超に跳ね上がっている。毎日毎日食べまくる日本のテレビの番組を見慣れていると、日本の自給率39%を思い致すことにも麻痺してしまうから仕方のないことかも知れないが。》
食糧の輸出規制の動きが広がる中、輸入に苦しむ発展途上国に配慮する意味合いでの官房長官の発言だが、農林水産省は米価下落防止のため減反政策を進めており、論議を呼びそうだ。町村は「日本はまだ外貨があるから(食糧を)買うことができる。買えない発展途上国と、買えるお金持ち日本が、少ない食糧を取り合う姿は、決していいことではない」と指摘した。また、「日本の食糧自給率を高めるのは国際的にプラスで、国民の不安解消の意味でも大切だ」とも述べた。
早速、自民党食料戦略本部長を務める加藤紘一元幹事長は6月1日、フジテレビの番組で、町村官房長官の『減反発言』について「米価が下がって大変なことになる」と反論した。その上で、大豆や小麦の増産を優先させるべきだとの認識を示した。
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