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2008年6月24日 (火)

たばこはなくならないのですか

 毎日新聞の紙面に『くらしナビ』というページがある。日常の暮らしの中で、小・中学生レベルの質問に易しく説いて答えるページだ。去る22日、タイトルの質問を寄せた、さいたま市のY・Aさん(中1)への回答文が載った。回答を担当したのは同紙解説委員の布施宏。

先ず目につくのがわざわざサイズを大きくして書かれた『「喫煙大国」日本 世界に後れ』の見出しだ。これは初めて耳にした文字だ。今まで「堕胎大国日本」「飲酒大国日本」「輸入大国日本」は何度も耳にし目にしてきた。今度は「たばこ」に大国の名前が冠されることになったのか。

 次のような回答になっている。 要約 と《私見》
 世界の流れは「脱たばこ」です。その点で日本は後進国です。世界保健機関(WHO)などのデータ(06年)では、日本の男性の喫煙率は約40%で、アメリカ(約24%)やスウェーデン(約16・7%)などを大きく上回ります。社員に「禁煙・分煙」と言いながら、重役たちは部屋でプカプカ、という会社も少なくないようです。

《布施の表現を真似ると、毎日新聞の社長室や役員室はその通りなんだろうな、って想像します。それにたばこを吸うのが後進国であるとは面白い見方だと思います。多く吸うか少ないかは問題ではありません。それに10日のブログに書きましたが、日本のような低い税率の国は、たばこから入る税金は国家の経済を左右する大事な資金源なのです。今、日本は高齢者問題で困っていますが、お年寄りや困っている人たちの高福祉を目指すためにはたばこを1000円にしてまで国庫に入る税金を増やそうと考えているのです。本当は消費税や所得税という税を含む日本の税制度の改革が必要なのに、いまだに国民に相談しようとしていないのです。》

 ここで布施は、アメリカ駐在員であったころ(5年ほど前)、大統領にくっついて回った当時の話を持ち出す。アメリカの記者たちは訪問国が用意した灰皿までも片付けさせたこと、仕事場やレストランなどの公共スペースでは、決してたばこを吸っていないこと。それが今では喫煙者を採用しない会社もあるそうです、と語りかける。

《世界保健機関であったり、大統領であったりと子ども相手に権威を持ち出して正論づけようとするのはマトモなやり方ではありません。》

 アメリカのビル内は基本的に禁煙ですが、廊下で隠れて吸っていて管理会社の係員に写真を撮られて注意されたり、高い罰金を取られることもあります。ずるい人をとことん追及するのがアメリカ社会なんです。

《アメリカを持ち上げるのもいいでしょうが、たばこを吸っている人の証拠写真を撮って責めの道具にするような、このような人の弱味につけ込むような揚げ足取りとも受け取れるやり方は、嫌いな人もいます。》

 これがアメリカの社会なんですね。日本が「喫煙大国」なのは、「少しぐらいいいじゃないか」という言い訳が通るからかな。たばこを吸う権利はあります。でも、きれいな空気の中で生活したい人の権利を踏みにじることは許されません。

《たばこについてだけは言えることでも、地球規模の環境問題や人権問題では、アメリカの取り組みは決して褒められたものではありません。よその国へ攻め込んで、その国で生きる人たちの命を奪うような、恐ろしい爆弾を平気で使用することに躊躇しません。》

 布施もかつてはヘビースモーカーであったので、喫煙者の気持ちも分かりますが、飲食店など人の集まる場所は全面禁煙か分煙にすべきです。食事中にどこかのおじさんの煙りで咳き込むような経験はさせてはいけません。日本はたばこ事態が安いので、一気に1000円に値上げしようという動きもあります。「1000円たばこ」の是非はともかく、日本がより快適で進んだ社会を築くには「脱たばこ」が大きな課題です。

《アメリカ礼讃はいいでしょう。しかし、禁煙しないことが遅れた社会というのは偏見です。私の偏見は個人の価値観の問題ですが、少なくとも質問への回答を教育と捕らえれば、教育の場で偏見を押し付けるのは間違っているのではありませんか。また、日本のたばこが安いというのも、欧米諸国との税制度の違いに基づくもので、末端価格での比較をする方がおかしいのです。また「脱たばこ」とは何でしょうか。「脱」を単なる禁煙と考えているのですか、たばこのない国にしようとの呼び掛けでしょうか。それならその時のたばこで失う2兆2000億円の国庫への財源をどのように賄うのでしょうか。政府の片棒かついだ1000円への値上げでしょうか。》

<追記>毎日新聞は6月16日の社説で、論説委員・稲葉康生が、賛成を表明、値上げ支持を書いている。(6月25日)

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