子どもと携帯電話
花ことば
真の友情
愛情
尊敬と信頼 など
毎日新聞(6/15)から <要約> (《》内は私見)
今また小中学生に携帯電話を持たせることの是非が、政府の教育再生懇談会で論議になっている。有害サイトを通じて子どもが犯罪に巻き込まれるのを防ぐためだが、賛否両論がある。以下、どちらの意見もこれまで言い古されてきたこと以上のことは言っていない。これではいつまでも堂々巡りなだけじゃないだろうか。
群馬大特任教授・下田博次(青少年メディア研究協会理事長 65歳。)は賛否の否というよりは「時すでに遅し」の諦めが先にあっての意見だ。
『子どもを対象にした携帯電話の使用制限について議論するのは、はっきり言って遅すぎる。普及からすでに10年がたった今、もう子どもから携帯電話を取り上げるのは不可能だ。
『この問題を解決できるのは、国や携帯電話業界ではない。保護者がネットの使い方について、子どもをどう指導できるかにかかっている。子どもに携帯電話を買い与えたのは保護者であり、今や大人までが携帯電話に依存している時代だ。今になって「手に負えなくなったから取り上げる」では、保護者の認識不足だ。
《学者でなくてもこれまで何度も指摘してきたことだ。“遅すぎる”と指摘する情況を招いたのがそもそもその保護者なのだ。是非について論じられるようになったのは、昨日今日のことではないはずだ。保護者に心あれば、次から次に買い与えることにはならなかった。今さら保護者をバカ呼ばわりしても、それこそ遅すぎる。それではその原因をどこに求めるのか、下田は次のように言う。》
『問題の原因は、携帯ネットを利用する弊害を説明せず、携帯電話の普及に邁進し続けた業界を、国が野放しにしてきたことにある。それなのに保護者の側が、子どもの携帯ネット利用について、国に規制を求めるのはおかしい。』と言う。
《ちっともおかしくない。何の問題意識もなく買い与え続けてくるような保護者だ。ここまでになって途方に暮れた結果、“国さん、何とかしくれよ”ということだ。ものの正邪も判断がつかず、モンスターなる言葉を生むのが現在の保護者なのだ。》
『本来、保護者が子どもにインターネットを利用させるには、適切な注意をし、チェックをし、反したら指導する能力が求められる。群馬では、05年以来、ネット利用の弊害から子どもを守る保護者「子どもセーフネット・インストラクター」の養成を行なってきた。この取り組みは鳥取県や茨城県、広島市などにも普及し、条例化しようとする動きもある。こうした自治体の自主的な取り組みに十分な財政支援を行なうことこそ、いま国が取り組むべきことなのではないか。』と言う。
片や、子どもは持つ必要ない、と言う意見。
日本PTA全国協議会会長・赤田英博 54歳(今年3月から教育再生懇談会委員)
『東京のように都市化が進み、人間関係が希薄な地域では、子どもの安全のため持たせるのもやむを得ない面もあるが、登下校時に地域の人が街角に立つような、大人の目が行き届いた地域では基本的に小・中学生には携帯電話は必要ないのではないか。
《あやふやなものでも、それなりに、携帯電話は身の安全を守ってくれる、と信じているようだ。私は繰り返し、携帯電話では身は守れないことを主張してきた。本当に身を守ってくれるものなら、都会に限ることはない。鄙びた田舎であろうと持たせる方が良いことになる。犯罪は都会にだけあるものではないからだ。》
彼は言う『私も、懇談会では「必要のない限り持つことがないよう、保護者、学校はじめ関係者が協力する」と提言した。当初は「持つべきではない」と明記するつもりだった。憲法の「表現の自由」との関係で表現を弱めたが、私は国が強いメッセージを出すことが大切だと思う、と。
『携帯電話と言いながら、子供達が使っているのはメールやインターネット機能ばかりだ。ネットにはアダルトサイトや「学校裏サイト」など有害情報がたくさんある。裏サイトの問題は、特定の子どもが誹謗中傷されるだけでなく、「下着買います」「お金貸します」などの有害広告がたくさん掲載されていることだ。
『携帯電話会社の対応はあまりにも鈍い。「通話限定の携帯電話など、作っても売れない」という意見だった。
《社会貢献を口にしても、企業に良心などあるわけもない。利益追求の企業には、競合相手もあり損になることなど当然するわけない。保護者が利口なら、買い与えることをしなければ済むのだが、消費者心理を読むことにかけては保護者など太刀打ちできるわけもない。開発競争は余計な機能を詰め込んでは購買欲をそそる。遂には役にも立たない犯罪抑止をうたい文句に、保護者は考えもせず、無責任に安全神話に飛びつくことになる。》
赤田は言う『保護者の問題意識も足りない。今の親は子どもの時に携帯電話を持った経験がなく、携帯電話の「影」の部分をよく知らない。多くの子どもたちが今も、親の知らないところで被害に遭っているのが実態だ。
『11日に成立した有害サイト規制法には、有害情報を選別する民間の第三者機関の設置が盛り込まれた。今まで規制に及び腰だった民間の姿勢を考えると、第三者機関がきちんと機能するかどうか。機能しないとなれば、やはり国の関与が必要だろう。
《業界の力に圧されて国が手を引いたような民間機間には、何の期待もできないことを5日のブログ「有害サイト、国は関与せず」に書いた。》 — つづく
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