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2008年6月10日 (火)

たばこ税率引き上げを - 2 -

世を挙げて禁煙が叫ばれる中、裏腹に、たばこ頼みの税収を目論む為政者の肚の中が見えてきた。現在以上に禁煙が進めば国庫に入る税額は目減りを始める。ここ数年間、タバコによる税収は毎年2兆2000億円超で推移している。やはりたばこは吸ってくれなくては困るのだ。それで思いついたのが、識者たちにはお得意の、諸外国との価額比較だ。日本のタバコは断然安い、となった。たばこ代金を上げておけば禁煙が進んでも当分は大丈夫だろう、一箱1000円では国庫も潤おうがどうだろう?と。

参照 たばこ税率引き上げを 05/11/14

毎日新聞(6/10)から 《》内は私見
与野党の間で、たばこ税の大幅な引き上げ論が活発化してきた。現行一箱300円程度のたばこ価格を、高い税率をかけている欧米に倣って増税し、3倍超の一箱1000円まで引き上げるべきだとの主張で、自民党の中川秀直元幹事長は民主党の前原誠司副代表らと10日、たばこ税引き上げを目指す超党派議連を発足させる。背景には膨らみ続ける社会保障費の財源問題があり、消費税引き上げ論を封じ込める狙いも透けて見える。ただ、たばこ税増税には、政府/与党内に疑問の声も強く、先行きは煙りに包まれて視界不良だ。

《それほどたばこ税が頼みなら、禁煙運動なんかしなければよい。どうせたばこの害なんて大したことはないんだから。医学的な根拠のなさはこれまでにも繰り返し述べてきた。肺癌の原因がたばこであるとは証明されてもいない。それよりも、欧米の欧とはどこの国で、その国のたばこ並に値上げする根拠は何か、ただ増収につながるから真似をするだけなのか。欧米の税システムと日本の税システムが同じなら揃えることも納得が行く。しかし、所得税、消費税などは欧米なみではない。たばこだけを抜き出し、槍玉に挙げて値上げしようとするのはお笑いものだ。》

紙巻たばこには現在、一箱(20本)で約175円のたばこ関連税が掛かっている。税収は年約2・2兆円で、仮にたばこ税を引き上げ、一箱1000円にすれば、9兆円近くの税収増になる計算だ。欧米ではたばこ税が高く、英国の代表銘柄の小売価格は一箱1160円。米ニューヨーク市も同817円(いずれも07年1月現在)と日本の2〜3倍以上。中川氏は「日本のたばこはまだ安い」と主張する。

中川氏がたばこ税増税に動きだしたのは、消費税に反対し経済成長を重視する「上げ潮」路線を強調するためだ。政府・与党内で浮上する消費税増税論を牽制する思惑がある。

ただ、「たばこの値上げは買い控えや禁煙を広げ、税収の大幅増にはつながらない」(財務省幹部)との見方も強い。1本当たり約1円税率を上げた03年と06年は喫煙者減少で税収はほとんど伸びなかった。大手製薬会社が今年4月に行なったアンケートでも、喫煙者の約8割は「たばこ一箱1000円になれば、禁煙する」と回答している。

《以前、「幾らまで値上げしたらたばこが止められるか」ということが取り沙汰されたことがある。その時の金額は「800円だろうな」の意見があった。その時私は値上げは幾らしてもいい、と書いた。たばこが本当に好きな人には幾ら値上がりしてもこたえない、だろう、と。100円ショップで手に入れることが可能な同じ商品に、数千円も、数万円も出したがる人、一本何万円、何十万円のワインに金を払う人がいるのと同じことだとも。中川が言う「日本のたばこはまだ安い」はそうなるように税制度が布かれているからだ。値上げの理由に他国との比較を持ち出すのは自身の無策無能を告白するようなもの、誰かにすがるより手がないからとはいえ根拠としては弱すぎる。単なる思いつきで考えた手立てとしか思えない。値上げにはそれなりの理由がなければ納得できない。たばこ単品を持ち出す前に、消費税などを先に上げることを主張するべきだろう。》


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