ネットいじめ
毎日新聞は5月5日、“こどもの日”にネットいじめを取り上げて、『大人はもっとお節介になろう』との社説を載せた。
(《》内は私見)
子どもは社会の宝として守ることの必要を説いている。しかし、現実に私たちはどれほど目を凝らし見守っているだろうか、と問いかける。今、世間を揺るがせているネット問題が象徴的だという。
《これから先、言いたいことはわかるが、「大人」に呼びかけるよりも前に、「親、保護者」への呼び掛けが必要だ。いじめにしろ、いじめられる側にあるにせよ、わが子への関心が希薄に過ぎるのではないか。取り上げたいじめがネット中心であるのなら、危険な玩具を買い与え、所有させることの問題点を親、保護者としては熟知しておくべきだ。メーカーの誇大な宣伝文句を鵜呑みにするのではなく、犯罪の発火点にもなっていることの注意点を子どもには説き聞かせ、理解させておくことだ。そうでないと、単純に大人へ呼び掛けても効果は期待できない。》
今年、文部科学省は初めて「学校裏サイト」の調査をした。児童生徒や卒業生らが情報のやり取りなどをするインターネット上の掲示板やブログ。匿名発信者が特定人物を中傷し、いじめの温床に転じると指摘されている。昨年、高校生が自殺する事件も起きた。
《匿名性の弊害は今に始まったことではない。早くから指摘されその対応は求められてきた。しかし、メディアはそのデータを蒐集するだけで対策についてはとんと働きかけて来なかった。》
調査は3万8260件の裏サイトを確認。抽出調査で半数に中傷表現、3割近くに「死ね」「殺す」など直接的暴力表現があった。
また先月千葉県で自己紹介をし合う「プロフィールサイト」(プロフ)で14歳の男子中学生と17歳の少年が悪口の応酬をし、初対面の場で少年が中学生をバットで殴打する殺人未遂事件が起きた。ともすれば言葉が過激になり、憎悪を誘い、感情を抑制できず、現実と見境がつきにくくなる。ネット交信の落し穴が覗いたような事件だ。
1990年代から学校でもパソコンが教材として導入された。学校ではパソコンの操作や活用法だけでなく、適正に使いこなす力や不正に使わない情報モラルを教えるが、指導がどう行なわれ、効果があるのかは見えにくい。というより、ネットを使いこなす力や人を中傷しないというモラルは、情報教育以前の基本的な社会ルールで、指導は日常行なわれていなければならない。いじめや中傷がどう人を傷つけ、陰で嘲(あざけ)ることがいかに卑怯であるか、をである。
《ここも論点がぼやける。このような人を中傷しないというモラルは、記事に言う通り、情報教育以前の基本的な社会ルールだが、こんなことは親や保護者が家庭教育で、社会に出す前に、或いは成長に伴って身につけさせるべきもので、それをしない無責任な親の後始末を、「大人」ということばで根本的な責任の所在を曖昧にするべきではない。》
大人が子どもを犯罪に引き込むサイトも後を絶たず、携帯電話会社は18歳未満には有害認定のサイトに接続できなくする「フィルタリングサービス」を始めた。自主基準や規制法案づくりも検討されている。
《フィルタリングや自主規制の危うさについては、これまで幾度も触れてきた。》
ただ、速く、広く、多いというネット情報の技術や利便性は進化し続け、抑えきれないだろう。学校や保護者はこまめなネット巡視でチェックし、また管理者も責任を持って注視し、有害と判断したら学校などに通報して取り除く。子どもたちとモラルを語り合うとともに、そんな丁寧な罪重ねが重要だ。家庭、学校、地域が有害サイトから子どもを守るという共通決意と仕組み、そして手間をかけることだ。
《いま、子どもが見習うべき、その社会の基準とならなければならない大人の社会が、上から下々まで、モラルを失っている。家庭の柱もいまは威厳を失った。なさねばならない家庭教育を、誰が、どのようにすればいいのか、その取り組みこそまっ先に手掛けなければならない。》
小さくとも不正は看過しない、という「お節介」な姿勢をきちんと子どもに見せる。子どもの事件や非行防止でよくいわれる手段だが、子どもを有害ネットから守ることにも通じる。
子どもたちはますますネットを身近に成長し、生涯ともに歩む。将来の健やかな情報社会を築くためにもこの問題は先送りできない。
《鞭を入れるだけの文言を記事にするのは易しいことだ。家庭内でも権利だけを主張する我侭な親、保護者によって育てられているのが今の子どもたちだ。他人のいうことに耳をかすことなど先ずないだろう。問題の本質はそこ、家庭に存在しているのだ。その問題点を抉り出すのがメディアの仕事だろう。》
文部科学省の調査を追い掛けるように9日、埼玉県は「ネットいじめ等対策検討委員会」の初会合で、県下の中高生数万人を対象に、マニュアル作成の資料とするアンケートを実施することを決めたという。結果を分析し、首都圏で初めてとなる「ネットいじめ等対策マニュアル」を今秋までに作成するとしている。
アンケートは県内の公立中学、高校全校とその生徒数万人を対象に実施する。これまで小学校を含む公立全校や2000人規模の調査を実施したことはあったが、数万人単位の大規模な調査は初めてだ。ネットの利用状況やいじめの経験、家庭のネットに対する考え方などを質問し、それを基に対応策や予防策を検討する。
この日の会合には、学識経験者や教諭、保護者、携帯電話会社など、さまざまな現場から選ばれた委員が出席した。県が公立校を対象に06年度実施した調査で、ネットのトラブル発生認知件数が305件と前年より倍増したことなどが報告された。
委員長の下田博次・群馬大特任教授はネットいじめについて
♢加害者が特定できない
♢時間・空間の制約がない
♢従来傍観していた子どもが加害行為に加わりやすい
など、特徴を述べ、「ブレーキがかかりにくい思春期の心に最強のメディアが与えられた」と警鐘を鳴らした。
《これを止めるのは、この最強のメディアを持たさないこと以外にはない。或いは百歩譲って5日のブログ『20ドル携帯が登場』で取り上げたように、小中高生には携帯の基本、電話機能だけのものに持ち替えさせるべきだ。道徳を説いても、事件や事故のデータを並べ立てて見せても役には立たない。端末を規制或いは制限する以外には事件を防ぐ手だてはない。》
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悲惨VV
投稿: 凛 | 2008年5月11日 (日) 16時26分