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2008年5月30日 (金)

福田首相、全面禁止を指示(クラスター規制、ダブリン会議)

一昨日、もどかしさに“この期に及んで”じたばたする日本の代表のことを書いた。世界の趨勢がクラスター爆弾の全面禁止に動く中、日本はこのままでは米国への配慮から、なんとかクラスター爆弾の保有を正当化しようとする立場を捨て切れないままで、会議の終了を迎えただろう。その結果日本は、国際的にも孤立することになるところであった。

しかし、何があっても他人ごととも評される福田首相が23日、条約賛成への政治決断を行ない、関係各省庁に前向きの対応を指示した。首相が同意を決断したのは、英仏独などの主要国が相次いで首脳の政治決断で条約案受け入れを表明したことが大きい。政府は条約案への具体的な賛否を明らかにしていなかったが、首相の意向を受け人道問題の観点から29日、クラスター爆弾を事実上即時全面禁止する条約案について、同意する方針を決めた。

政府筋は29日夜、「オスロ.プロセスに参加していない米国との調整もついた」と語り、ダブリン会議に出席している日本首席代表中根猛・外務省軍縮不拡散・科学部長(大使)にも受け入れ表明を指示したことを明らかにした。

以下、毎日新聞(5/20〜5/30日)から要約
それ以前、20日には河野洋平・衆院議長が毎日新聞のインタビューに答え、「首相は、近隣諸国やアジアを大事にした外交で、カラーを出しているが、クラスター爆弾の問題に取り組むことで『日本は変った』と見られ、国際的にも福田カラーが認められるのではないか。福田首相に期待しており、唯一の被爆国として、この問題をリードすべきだ。日本の外交に頑張ってほしい。外務省は『外交によって平和を維持する』との気概を持って欲しい」

「米同時多発テロ後、力で抑えつけようとする動きが世界各地で広がり、ナショナリズムが高まっているのを危惧する。私は子どもの頃、米軍の爆撃を受け逃げ回った。戦地経験がある人が国会にいなくなった今、戦争を知る私たちの世代が軍縮に向け取り組まなければならない」と。

23日には、公明党の浜四津代表代行が首相を訪れ、全面禁止に向けてのリーダーシップを求めたのに対し、「もう一歩踏み込んだ対応が必要。お任せいただきたい」と述べ、条約賛成への政治決断の可能性を示唆していた。また同じ日、民主党幹事長・鳩山由紀夫は毎日新聞に一文を寄せ、曖昧な立場ではなく、「平和の大切さを本当に痛切に感じるのであれば、福田首相はもっと明確なメッセージを出すべきだ。オスロ・プロセスでは日本の主張を堂々と述べ、平和に貢献してほしい。米国による攻撃的武器としてのクラスター爆弾の使用を否定しにくいから中途半端な言動になる。日米安保に縛られた曖昧な態度は決して国際社会に評価されない」と述べている。

26日には、ローマ法王ベネディクト16世が、不発弾が市民を無差別に殺傷しているクラスター爆弾について、「死の兵器」と批判し、08年中の禁止条約締結を目指す軍縮交渉「オスロ・プロセス」の成功を祈ると語った。法王は、クラスター爆弾の不発弾が子どもを中心に市民を殺傷したこれまでの歴史について「過去の過ちを改め、将来繰り返さないようにしなければならない」と付け加えた。

19日のダブリン会議に先立ち米国高官は不発率改善を意味する「新方針」を示唆し、会議を牽制していた。独自の改善策をとるポーズを示し、条約締結への勢いを削ごうとする意図が見て取れた。条約案は加盟国に対し、非加盟国がクラスター爆弾を使った場合に協力することを禁じている。当然日本はこれを問題視した。米国などオスロ・プロセスに参加していない国との共同作戦に支障が出るため、見直しを求める考えだった。

これに対し、ブラウン英首相が21日、見直しを指示した。「オスロ・プロセス」が事実上の全面禁止へと流れを強めていることから、いち早く対応したと見られる。英国は当初、不発弾の比較的多い「改良型」爆弾を維持しようとする日本やフィンランドなどに同調していたが、少数派に転落したため孤立を回避した。

フランスにおいても国際世論の高まりを受け、フランス政府は軍が保有するクラスター爆弾の9割強にあたる旧型爆弾の実戦配備を即時停止することを決め、26日、ダブリンで開催中の「オスロ・プロセス」会議で、仏国防相・外相の共同声明を発表した。

この時点ではまだ日本は、英国などと「非加盟国との共同作戦を可能にすることが条約加盟の必須条件になる」などと強く主張していた。

27日、非加盟国のロシア国防省のブジンスキー国際協力局次長が「われわれはクラスター爆弾と対人地雷の全面禁止に反対だ」と述べ、クラスター爆弾禁止へ向けた国際的な動きに反対するロシアの姿勢を改めて示した。同局次長は「これらの兵器を改良し発展させることに賛成だ」と述べた。

英独仏など主要国はオスロ・プロセスが始まった昨年の段階では全面禁止に強い難色を示していた。しかし、英国はブラウン首相が英軍が保有するクラスター爆弾の見直しを発表し、さらに28日、全廃を政治指導で決断した。オスロ・プロセスのダブリン会議が28日、合意した背景には、クラスター爆弾を持つ主要先進国が実際に被害を受けている途上国や中堅国の意向に配慮。不発弾による市民への被害を防ぐ人道的配慮を最優先に、小異を捨てて合意を最優先した事情がある。

ドイツは日本と足並みを揃えて、禁止までの猶予期間の設定を求め、認められなかった。しかし、条約案には不満を残しながらもやはり人道的な配慮を優先し、「この条約案を受け入れる」と表明。これら欧州主要国の政治主導の合意決断に比べ、日本が曖昧な態度に終始したのは会議で際立っていた。ドイツは29日、ダブリン会議が事実上の即時・全面禁止の条約案で合意したことを受け、条約の内容を発効前に前倒し実施することを決めた。条約で禁止対象になっている現有のクラスター爆弾をすべて即時使用停止し、順次廃棄を始める。他国にも追随するよう呼びかけている。

《福田首相の決断がほんの数日早ければ、名をあげる絶好の機会であったろうに、後塵を拝することで終わったが、クラスター爆弾全面禁止の同意は日本の国際的孤立を回避することになった。首相は7月の北海道サミット(主要国首脳会議)議長国として、指導力をアピールしてくれることを期待しよう。》

ダブリンの現地では、日本がクラスター爆弾の即時全面禁止をうたう条約案に同意する方針を決めたことを受け、交渉を推進してきた有志国や非政府組織(NGO)の関係者は29日、「非常に喜ばしい動きだ」と相次いで歓迎した。

ダブリン会議のダヒー・オキャリ議長(アイルランド)は29日、同紙の取材に「とても素晴らしいニュースだ」と歓迎した。対人地雷禁止条約締結に尽力し、ノーベル平和賞を受賞したジョディ・ウィリアムズさんは「とても驚いた。日本がそこまで動くとは思いもよらなかった」と述べた。別のNGO幹部の一人は「後ろ向きな主張を打ち出すことも多かった日本が立場を変えた意味は大きい」と評価した。

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