« もどかしい小・中学生の携帯対策 | トップページ | 300日問題の家族、法相と面会 »

2008年5月19日 (月)

オスロ・プロセス

毎日新聞(5/19)から要約、《》内は私見
 不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾について、年内の禁止条約締結を目指す軍縮交渉「オスロ・プロセス*」が今日、19日から、アイルランド・ダブリンで最終の会議が開かれた。条約案についての対立案は、多数決で決めることから、30日までの会期内に条約案で合意する可能性が高まっている。

 * オスロ・プロセス — 08年中のクラスター爆弾禁止条約締結を目指す軍縮交渉。同爆弾について、米露中が参加する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議で禁止議論が停滞したことから、ノルウェーなど有志国と非政府組織が07年に始めた。参加国は100カ国以上になる。

同プロセスの会議は5回目。08年中の禁止条約締結をうたうウェリントン宣言(2月)に署名した日本**や英独仏、ノルウェー、オーストリアなど約120カ国が参加する。条約案で合意した上で、12月上旬、オスロで署名式を開く予定になっている。

《 ** 日本の署名までには大国アメリカの傘の下で、のらりくらりの紆余曲折があった。経過については2、3月のブログで詳しく書いた。“踏み絵”を踏めるか日本(クラスター禁止条約)クラスター爆弾規制 米が英独加に警告

これまでの会議では、同爆弾を全面禁止にするか、一部の高性能爆弾を除く部分禁止にするか、各国の対立があった。初日に採択される予定の議事規則に全会一致で合意できない場合は、投票により「3分の2以上の賛成で決める」と定めている。最終的に投票になれば、軍縮交渉で投票で決着が図られるのは珍しいことになる。

米露やイスラエルなど同爆弾を大量に保有する国はオスロ・プロセスには参加していないが、同プロセスに国連加盟国の6割を超える国が加盟すれば、非加盟国も簡単には同爆弾は使えなくなる「歯止め効果」が出て来る。地雷については、対人地雷禁止条約が99年に発効した後、米国など主要な保有国は地雷を使えなくなっている。

米国は、「(市街地での使用など)国際人道法に反する使用法が民間人の被害を生んでいる。兵器自体が悪いわけではない」と爆弾の堅持を主張して来た。

《どこかで聞いたことのある詭弁だ。そう、アメリカ国内での銃所持禁止に関する反対意見だ。「人が殺すのではない、銃が殺すのだ」の論法だ。》

オスロ・プロセスが順調に進み始め、条約案合意が目前の折、米国への国際的圧力が高まるのを意識した「改善」へのポーズを見せて、牽制せざるを得なくなった。そこで、米国は「新たな対策」として巨費を投じて「人道的な視点で、新たな方針、新たな方法を開発している」(米国務省高官)と不発に終わる危険性の高いクラスター爆弾への対策に取り組んでいる姿勢を強調することになった。

この高官の発言は、米国が独自の改善策に取り組む姿勢を見せ、オスロ・プロセスを牽制する狙いがあるものだ。高官は「国防総省は方針の見直しを行なっている」と強調。「市民をより一層保護するため(不発率の)目標にどうすれば早く辿りつけるかを検討している」と述べた。

米国防総省は01年1月、「05年以降に製造するクラスター爆弾の不発率は1%以下とする」との規定を定めている。高官は、この規定を指摘して、不発率1%以下という「目標」を目指した対策を進めていることを示唆した。また、「進歩は完成していない。時間と資金が必要だ」とも述べ、時間や資金面で課題があることを明らかにした。

《根本的に考え方が狂っている。オスロ・プロセスでは爆弾そのものの使用を禁止しよう、との考えに対し、米国はあくまでも高性能(不発率1%以下)爆弾だったら許されるとの考えだ。》

英独仏などオスロ・プロセスに参加する主要国は、一部の例外を除いてクラスター爆弾を禁止することに大筋合意している。しかし、米国は軍事的有効性を強調、同プロセスに参加せず、規制に慎重な姿勢を維持している。

米国防総省が議会に提出した報告書(04年)によると、陸軍だけでもクラスター爆弾約400万発(子爆弾6億個)を保有している。その9割以上が不発率の高い(3〜16%)旧型爆弾だ。

|

« もどかしい小・中学生の携帯対策 | トップページ | 300日問題の家族、法相と面会 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: オスロ・プロセス:

« もどかしい小・中学生の携帯対策 | トップページ | 300日問題の家族、法相と面会 »