学童保育
(本題に入る前に)
総務省は4日、「子どもの日」を前に15歳未満の推計人口(4月1日現在)を発表した。子どもの数は昨年より13万人少ない1725万人で、82年から27年連続減少し、過去最低を更新した。総人口に占める子どもの割合は13・5%で、前年比0・1ポイント低下し、こちらも過去最低となった。
男女別では
男子 884万人
女子 841万人
3歳刻みの年齢階級でみると、
中学生(12〜14歳) 359万人で最も多く
年齢階級が低くなるほど子どもの数も減っていて、
(0〜12歳)が最少。
子どもの割合は、現在の推計方法になった1950年には35・4%だったが、その後は71〜74年の第2次ベビーブーム期を除くと長期低下傾向にある。97年からは65歳以上人口の割合よりも低くなっている。
都道府県別では、沖縄が18・1%と最も高く、
滋賀 15・2%
愛知 14・7%
佐賀 14・6% などが上位を占め
東京 11・7% が最低だった。
米国 20・3%(06年)
中国 19・4%(07年)
英国 17・7%(06年)などと比べ、日本は世界的にも低い水準だ。
最新の統計によると、日本女性の生涯出生率は1・3だが、現在の人口を維持するには2・07の出生率が必要になる。4月に発表された政府統計は、このまま少子化傾向が続けば、日本の労働人口は2050年までに現在の3分の2の4228万人にまで落ち込むと警告している。
【閑話休題】
「学童保育」とはいうが、決まった名称ではない。「放課後児童クラブ」「学童クラブ」「児童クラブ」「子どもクラブ」「留守家庭児童会」など名称はさまざまだが、保護者が労働などにより昼間家庭にいない小学校の児童に対し、放課後や長期休暇中、保護者に代わって行なう保育をいう。保育の日常は、おやつ、遊び、宿題などをして、帰宅までの時間を過ごす。複数の学年が混じった集団生活となるので、大まかだが時間割や役割、規則がある。
敗戦後、1955(昭和30)年代後半期からの高度経済成長期、共稼ぎ家庭の増加と、いわゆる“家付きカーつきババアー抜き”で始まった核家族化により、親が不在の「鍵っ子」と呼ばれる子どもたちが生まれることになった。しかし、親が不在のその時間に出火や盗難など事故や事件の発生が続いた。63(同38)年ごろから「鍵っ子」の増加に伴い、子どもたちが安全に遊ぶことができるよう、放課後の校庭の使用時間を解放する施策を採ったこともあった。
68(同43)年には総理府調査において「鍵っ子の実態と対策に関する研究」があり、それによると鍵っ子家庭の母親の就労理由は、「生活には困らないがさらに収入が欲しい」が49・2%あり、「他に働く人がいなくて困っている」の28・4%を上回っている。この考えは現在も続いており、中流に納まった意識はよりハイレベルの生活向上のための就労意識となり、世界中のブランドを日本に上陸させるまでになった。猫も杓子もブランドものの宝飾類を身につけ、着飾り、果ては質屋が吐き捨て場となって、年に1回の大バーゲンのブランド品の叩き売りまで行なわれる国に成り下がっている。また、海外旅行は花盛りの景気を呈するに至った。69(同44)年10月の厚生省(当時)調査「全国家庭児童調査」によれば、小学生は109万人、中学生は374万人の計483万人が「鍵っ子」と推定されていた。
この「鍵っ子」が増加したことで、学校外における児童の教育の受け皿の必要性がおこり、放課後児童健全育成事業(児童福祉法)を行なう第二種社会福祉事業(社会福祉法)として法制化された。
♦毎日新聞(4/20)「学童保育はいま」から。《》内は私見
神奈川県横須賀市の岩戸・大矢部学童クラブの生活室。
おもちゃの矢を飛ばしたり、コマを回したり、子どもたちは元気そのもの。「家にいるよりずっと楽しい」とは、4年生の女子児童の話しだ。
指導員や運営者にとって、事故防止は切実な問題だという。このクラブでも2月、一輪車で遊んでいた1年生女児がフェンスにぶつかり額を切る事故があった。骨折や、窓ガラスが割れるなどの事故も年数回は起こっている。
重要なのはその責任を誰が負うかだ。国民生活センターの07年調査で、学童クラブの運営者が保護者らに、施設側の責任を一切問わないとする趣旨の「誓約書」を求めているところがあることが分かった。全体状況は不明だが、東京23区などで契約書類などの提供に応じた40カ所のうち4カ所でも判明、全国的には相当数に上る可能性がある。誓約書は運営者の責任逃れのように見えるが、そうせざるを得ない事情こそ考える必要がありそうだ。
『<最高裁が請求棄却>した次ぎのような例がある。
千葉市立小学校の教室で、同級生男児の振り回したベストが右目に当り、負傷した当時3年の女児(14)と両親が、市に賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は4月18日、86万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決(07年4月)を破棄し、請求を棄却した。原告側の逆転敗訴が確定した。
事故は02年5月の朝、自習時間中に起きた。教室にいた担任教諭は当時、別の児童の話を聞いていて、原告側は「教諭が男児の監督を怠った」と主張したものだ。2審で敗訴した市側が上告していた。小法廷は、男児には日ごろから問題行動がなく、ベストを振り回すまでの行動も不自然ではなかったとして、「教諭に事故を予見すべき注意義務はなかった」と判断した。』
《なんとかペアレントが跳梁する世の中だ。学童保育とは、本来親が責任を持って育てる義務がある子どもを他人に預けることになるのだ。子どもを産むだけなら猿でもできる。産んだ子は産んだ親が育ててこそ親としての責任が全うできるのだ。他人に預けるのはそれなりのリスクがあって当然だ。》
全国学童保育連絡協議会の真田裕事務局長は「父母だけで運営している施設の場合、責任が大きすぎる。誓約書を提出させる気持ちも分からなくはない」と語る。岩戸・大矢部クラブも6年前まで、誓約書を取っていた。父母で非営利組織(NPO)を作り、運営しているためだ。横須賀市学童保育連絡協議会の事務局長次長でもある永松さんは「預ける方も運営するのも父母。ぎりぎりのところで続けている。何かあった時に全部施設の責任となれば、みんな怖くて運営をためらう」と訴える。
学童クラブは全国に約1万6700カ所あり、うち市町村が直接運営するのは44%。預け先に困った父母らが運営者となりスタートしたところがすくなくなく、自治体は補助金を出すのみで、あとは運営者任せのところがまだ1割ある。国民生活センターは父母運営のケースについて「自治体の責任が不明確な場合が多い」と指摘。真田さんは「民間で運営している施設はせめて自治体の委託にし、市区町村も責任を明確に明確に負ってほしい」と話す。
学童クラブがあるだけまだましという現実も一方である。国民生活センターの同じ調査で、全国約1800市区町村の設置状況を調べたところ、学童保育施設がないのは約1割だったが、町村部に限ると約2割に跳ね上がった。予算の増額についても、東京23区など都市部は6割が「検討している」と回答したが、町村は3割にとどまり、学童保育でも都市と地方の格差問題が浮き彫りになった。
同センターは「公的サービスとして国や自治体の責任で、小学校区に一つ以上設置すべきだ」と提言。調査を担当した女性は「06年の乳幼児保育サービスの調査でも、対象外なのに、学童保育への不安が多数寄せられた。公的支援は量、質ともに底上げが必要だ」と話す。
《まだ乳飲み子のうちから他人に預けることを心配する。これでは本当に、女性は子どもを産む機械といわれても仕方ないかも、とさえ思う。》
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