300日問題の家族、法相と面会
毎日新聞(5/20)から 要約
民法の規定により戸籍がない子どもの親らが、問題解決を訴える要望書を提出するために20日、鳩山法務大臣と面会した。面会は、離婚後妊娠に限り「現夫の子」の届けを認めるとする法務省通達による出生届の受付を行なってから、21日で1年が経過したことから、家族側の要望で実現したものだ。
法を法とも思わず、離婚後6カ月(300日)を経過しないうちに夫以外の男との間に不義の子をなし、なぜそうなったかの理由の大半は、前夫の暴力、酒乱と並べ立てる。世間は「おお〜可哀相に」で同情が集まる。「生まれた子には罪はないのに」と、法を犯した肉欲の罪はどこかへ飛んで行ってしまう。不義、不倫、浮気は性モラルの乱れた今の世の流れだから仕方ない、としての上でだ。
昨年民法の見直しで離婚後300日を100日に短縮する案も検討はされたが、実現とはならなかった。昨年4月、『離婚後の再婚禁止期間6カ月は短縮いたしません』を書いた。これに今年4月25日にコメントがついた。私が妊娠期間を10月10日と書いたことに、昔はそう言われていたが現代医学では月経周期が計算基礎になっていて280日だ、とご指摘を下さった。それに続いて別人からコメントが4月28日に来た。人の尻馬に乗ってしか物が言えない古賀なる阿呆からだ。「この記事を書いている人は本当に阿呆だ」と一言だけ。それはそれでいいのだが、私が言い続けて(ブログ内には300日問題だけでも20〜25記事、関連記事を含めると40記事はある)来たことは、310日でも280日でもどちらでも構わないことだ。私が言いたいことの本質ではない。
『離婚』とは法的な婚姻関係を解消することだ。どんなに長期間でも別居ではない。離婚後6カ月の再婚禁止期間があって、310日後、いや指摘を下さった280日であっても構わない。禁止期間の180日プラス妊娠期間280日ということは、最短(早産は話が別)でも出産は離婚後460日後でなければならないのだ。検討された禁止期間100日の場合でも最短380日となる。要は、婚姻関係における法律上の義務である貞操の義務(法の遵守義務)を破らずに、どうして300日以内に出産などあり得るのか。
民法733条第1項を、女性にだけしいる差別と云々する人もいるが、問題は性差別の問題ではない。妊娠期間が基になっていて、再婚禁止6カ月というのは、生まれた子の父の特定に混乱が生じることを見越して練り上げた、明治の先人の知恵の結晶とも言えるのだ。
「愛する人の子どもが欲しい、新しい家庭を築き上げたいと思ったのになぜ、という感じ」とは無戸籍児の母の言だ。どう思おうと勝手だ。だからといって、離婚する前に夫以外の男との性交渉は姦通、不義密通であり、今風に言えば不倫となるのだ。不倫を愛と言う名で飾り立てる風潮がはびこっているが、法律ではそうは巧く行かない。無戸籍児となって困った挙げ句が今の騒動だ。「子どもには罪はない、子どもが可哀相だ」と。結果、法律がいけない、法律を変えろ、と騒ぎはじめる。
法相は「論点がたくさんある問題だが、子どもを中心に考えないといけないことは分かっている」と問題への理解を示したということだ。
また、兵庫県内に住む女性(27)が無戸籍のまま6月に出産を控えている問題で、「地方自治体にとっても大きな問題」として救済の拡大を求める井戸敏三知事の要望書が提出された。
彼女の場合、27歳で結婚するまで自分が無戸籍児であることを母親から知らされていなかった。この母親の無責任さは一体何だろう。前夫との離婚の73日後に再婚した父親との間に生まれた子だが、当然離婚後300日以内の出産で、「前夫の子と推認」され27歳の女性は無戸籍だ。
彼女は07年に、小学校時代の同級生と知り合い同年夏、家族だけで式を挙げている。婚姻届を出す予定の前日になって初めて母親から無戸籍を告げられた。同棲(事実婚)とならざるを得なかったが、出産を控えて不安となり、今月に入って無戸籍児家族の会に相談を持ちかけたという。
親子二代に亙る無戸籍児となるが、6月にうまれる子が無戸籍ならその次の子も無戸籍児となる。どこまでも繰り返されることになる。婚姻届を出す段になって打ち開けられては為す術もない。
私たちの世代には、履歴書には本籍地は勿論、身上書欄に家族構成、続柄、各人の職業などの記入などのほか、何かにつけて戸籍抄本(必要に応じては戸籍謄本)の提出があり、自分の出自についてはそれで知る機会が多々あった。この女性の母親は、どうして27年間も娘に説明責任を果さずに逃れていたのか。ここでも「離婚」「再婚」の言葉が軽々しく使われているが、いずれも法律の上での離婚でもないし、再婚でもない。
彼女は地元自治体にも相談したが、当然のことながら「母親の戸籍がなければ、子どもの出生届は受理できない」との対応だった。
法務省は民事局は「無戸籍となった人が出産する例は今まで聞いたことがない。どうすべきか今後検討したい」と話している。
無戸籍児を抱えて法律を変えろと騒いでいる女性とその相手の男性たち、或いは今、離婚前に夫以外の男性との間に子づくりしている女性たち、この27歳の女性が味わうように、わが子を悲しい目に逢わせないように。現在、厳然としてある法、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」であることを知った上で、法のもとでの離婚、再婚の道を選んでほしい。
参照 「772条」見直しをこそ見直しを 07/12/17
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