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2008年4月17日 (木)

入学金未納 生徒を隔離

毎日新聞4月16日の社説は、入学式に「生徒を隔離したのは間違いだ」と断定した。

《私はいささか見解が異なる。決して間違いではない、とする立場だ。規則(県条例)を規則と思わない親と、その親に育てられる子。この学校(千葉県立八千代西高校:大迫太校長)が取った処置こそ正しい。

そもそも幾つもある高校から、この学校の受検を志した時点で、入学案内には目を通していることだ(私の世代には、受検する学校は1校が常識だったから、案内など比較する必要もなかったし、現在のように便利な偏差値などという基準があることも知らなかった)。受検から合格して入学するまで、諸手続きについては事細かく案内されている。入学式当日までには学校にわが子を預ける親として、義務教育でもない高校へ行かせるに当っては、まっ先に入学金を準備して置く必要がある。当の本人たち(男1、女1)も、入学案内を読み、当日には持参することは熟知していたはずだ。それだけではない、実際の被害額の膨大な高校側は、保護者たちに事前の説明会を開いて支払い方法の便宜性まで話をしている。博打で負けたものに、「さー出せ!」と言っているのではない。

当今の世相は法や決まりを無視する親が氾濫している。幼くは保育料の未払い、踏み倒し。給食費の不払い、ただ食いなどをし、させることが普通の出来事になった。その額は積もり積もって総額30億円を超える。八千代西高校においても00年に授業料の滞納が始まり、年々増加を続け04年度にはおよそ600万円にまでなっていた。学校側が事前に対策をすることは自然の成りゆきであった。3月に開いた入学予定者の保護者たちに、入学金9万円の全額納付が難しい場合は分割が可能だから、事前に学校側に相談するように、とさえ説明している。

今回の2人の親たちは、話を聞く耳を持たないか、幼児期から小学、中学と未納、踏み倒しをしてきた経験でもあったのだろう。今の世は、何ごとも格差社会で生活が苦しい、と言えば見逃される傾向がある。子の方も、親を見て生きてきた。自分自身で物事を判断する能力を育てられず、その場限りの行き当たりばったりの世渡りできたようだ。15歳にもなってのほほんと入学式に顔を出す。そうはならないだろうが、18歳が大人にでもなれば、15歳は大人直前の年齢となる(15歳は戦時中は17乃至は16歳と数えられた年齢だ。男なら立派に軍人に志願してなれた年齢だ。自分なりの価値観を持ち、価値基準さえ備えてもいた)。入学式には提出しなければならない入学金について、15歳が忘れた、で済むわけがない。下らないヒューマニズムや人情論だけで「子どもに罪はない」では済まない。同情で問題は解決しない。

式参加を拒まれた男子生徒の保護者は「後で払う」と電話で答えたようだが、学校側は「滞納の可能性がある」と式参加を認めず、納付金全額が届けられた時には式は終わっていた、という。女の場合は保護者の相談であらかじめ分納を認められていたが、その納付金がなかったので式参加を認めなかった。金は夕方届けられたという。受検を決めた時にすでに入学金(授業料も)のことは守ることとしての諒解事項だ。貧しければ入学金だけでも納入できれば後は奨学金の道がある。私の戦時中の旧制中学入学については何度か触れた。貧乏人の大所帯(子ども7人目が生まれる直前の1族12人)、父に黙って受検し、母の口添えで入学はできたが授業料は家からは出ないことを承知していた。教師と相談して免除の道が開けた。授業料を払うこともなく学制改革で新制高校に移行、卒業することができた。中学生でもそれだけの判断は可能なことなのに、この2人、どのように高校進学を考えたのだろう。続いてはこのまま何となく大学へ行き、日本中に溢れる無気力な大学生の仲間となるのだろうか。入学金の準備が難しいとすれば、3年間必要な授業料は準備できるのか。入ってしまえばこの親たち、授業料は未納のまま逃げるつもりだったのか。

戦後、貧しい地方農村から、中学校を卒業して就職する子どもたちは『金の卵』と呼ばれ、東京や大阪を中心に復興期の日本経済を支えた。当時とちがい笛や太鼓で迎えてくれる企業はなく、中学卒で就職することは難しいが、高校に行かなくても引きこもり、ニートになることはない。努力して何らかの資格を取得する道は幾らでも開かれている。何も無理して高校など行くこともない。皆が行くから僕も行く、私も行く、では皆が持っているから私も、となる携帯と何ら違わない。》

近年の全国の給食費の未納問題など、払えない正当な理由がないのに「踏み倒し」同然に支払いを拒否したり、学校に食って掛かる保護者の問題が広く指摘されている。さらには、無理難題を浴びせる「モンスターペアレント」も教員を悩ませる。一方で所得や地域格差で経済的に疎外された家庭が増え、教育経費を負いきれないという例も多く指摘されるようになった。(社説で一々取り上げるまでもない常識的な問題点だ)

《いずれにしても、百歩譲って子どもに罪はないといっても、入学金を支払わなければ、入学式に参加できないのは至極当然のことで、社説の言う“間違い”とは言えない。子どもを楯にすれば何ごとも許されるがごとき人情論では、解決の糸口もない。》

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