男性の育児休業 - 2 -
・男性の育児休業 07/04/30
・子育て(スウェーデンの)08/02/14
これまで何度も書いてきた。日本で現在考えられているような男性の育児休業には賛成しかねる、というよりも反対だ。母親が仕事と育児の両方では大変だから、男性に少しは代わってみろ、と言っているようなものだからだ。育児という仕事はそのような、ちょいの間代わってできるほど生易しいものではない。
乳飲み子の育児は男性にはつとまらない。第1、父親の身体にはない母親の胸の乳房は何のためにあるのだろう。赤子が必要なくなるまでは赤子に授乳するためだ。哺乳壜では赤子にとって大事な母親の肌の温もりは伝わらない。離乳期も待たずに他人に育児を任せるのではなく、そのためにも私は企業内保育所の設置を義務付けるべきことを唱えているのだ。
上にあげたスェーデンの子育ての例でも、生後13カ月を育児休業で母親が育て、一般的に離乳期に入るころ、引き継いで父親は5カ月の育児休業をとっている。男性の育児休業が必要になるのはこのように、離乳期を過ぎる頃からだ。動物の生理に叶った育児方法だ。無闇矢鱈に男性の育児休業を叫んでみても、効果はない。
毎日新聞(4/5)から
1日でも育休!?—。育休(育児休業)といえば長期のイメージが強いが、男性の間で1週間や10日程度の「ショート育休」が目立っている。中には1日だけのケースも。「男の育児」が市民権を得つつあるが、一方で、育児の女性依存も相変わらずだ。
《少なくとも日本では、太古の昔から育児は女性の仕事であった。それは動物の牝が子を育てるように、動物である人間の女性も当然のように女性の仕事であるとして、育児に専念した。21世紀の現在に至るまでには、第二次世界大戦で男が国内にいなくなった時には女性は男に代わって炭鉱内に潜って鶴嘴を振るう仕事までこなした。やがて復興を成し遂げた日本には贅沢と同時に、敗れてアメリカから与えられたものではあっても自由に物が言える民主主義が世の中を支配するようになった。『戦後強くなったのは靴下と女』と言われるように女性の発言が目立つようになった。
70年代になるとピンクヘル(ヘルメット)と呼ばれた女性の集団があった。本質的な女性であることを置き去りにして良妻賢母を否定し、男なんて何さ、が運動の核であったようなものだった。男を攻撃するだけで、女であることを否定するような集団はいずれは忘れ去られた。生活が安定してくると、華美を求める風潮が生まれてくる。より良いものを身につけるためには資金が必要になってくる。女性のモラールが低かったころには遊ぶため、身を飾るための収入を求めることが主目的だった。遊ぶためには生理休暇を有効に使う女性たちも数多くいたこともある時代だ。
短兵急とはいかなかったが、20〜21世紀になると女性の企業への躍進が目立ち、企業も女性を男性と同じ戦力として求め始めた。そこに家を空ける女性たちの育児が問題となってきた。託児所が、保育所が増え、働きやすくなった女性たちは続々と子どもを他人に預ける道を選びだした。施設が少ない、もっと、もっとと要求を始めた。それでもおさまらない女性たちは、次に来たのが『男も育児を手伝え』だ。
大勢の学者たち、識者たちが海外へ子育ての様子を探りに出かけた。スウェーデンでは、ドイツでは、フランスではこうだ、とレポートが飛び交った。彼、彼女たちが参考にする国々の国民が、どれほど高い税金を治めているかということには触れないで、上っ面のおいしいところだけを文字にしてきた。読者たちはまんまと引っ掛かって引用が始まる。同じような高率の税金(消費税、所得税など)を払う覚悟もなくてだ。
スウェーデンの場合、480日の育児休暇には所得の80%までが国の予算から支払われているが、消費税19・0%、所得税19・0%、その他18・4%という高率の税を納めているからだ。因に日本の税率はそれぞれ5・3%、8・5%、12・6%となっている。》
厚生労働省によると、05年度の男性の育児取得率は0・5%。うち3カ月以上は1・5%で、1万人に0・75人。女性の取得率は72・3%で、3カ月以上は86・5%だった。
通信教育大手のベネッセコーポレーション(本社.岡山市)は、仕事と育児の両立支援に取り組む「ファミリー・フレンドリー企業」(厚労省認定)の優良賞第1号だが、06年12月まで、男性の育児取得者はゼロだった。給与ダウン(現在50%)が原因の一つとみた同社は同月、育休期間の2週間を有給化し、初めて取得者が出た。計15人が取得したが、2〜3週間がほとんど。最長でも3カ月(1人)だった。
育休取得者数がトップクラスとされる旭化成(本社・東京都)も06年1月に5日間を有給化し、06年度の男性取得者は前年度比3倍の236人に急増した。だが、平均期間は7日程度。最短は1日(約5%)だった。
《平均7日、これなんか、本人の身体の疲れを癒す骨休みでしかない。育児の世話をした子どもが生後何日か、何週間か、何カ月かレポートされていないため、男性は育児に何をしたのかも不明だ。5日間は有給ということは労働者の権利の休暇だ。何をしようと会社には関係のないことだ。ゴルフをしようと、釣りをしようと管理されることはない。子どもを放って温泉に行こうと構わない。スウェーデンが実施したように、2カ月、いやそれ以上の期間を認めるようでないと、男性の育児など無用だ。今は国民の祝日も増え、日・祭日は殆どの企業は休日になる。しかし戦後の復興期には日曜も祭日もなかった。それどころか大企業は別として、中小企業には有給休暇さえ取得できる状況にはなかった。私の有給休暇は退職するまで何十年も殆ど未消化だった。それでも子どもの沐浴も、おむつ(捨てれば済む紙ではない)の取り替えも風呂場の掃除も、トイレの掃除もやってきた。甘えの世代の現在の父親や母親たちに、それを求めるのは無理だ。》
育児支援に熱心な企業を国が認定する「くるみん制度」《ゲッ、なんという下らない命名だ》でも、壁をうかがわせる。
東京都の中堅建設会社は昨年1月、男性社員1人に2日間の育休を取得させ、くるみんマークの認定を受けたが、その後はゼロ。マークを取るのに日数規定はない。企業側にはイメージアップへの思惑が強く、取得した男性(32)は「自分の代わりはおらず、長期取得は無理」と話す。
育休は92年の育児休業法(現在は育児・介護休業法)で男女とも制度化された。日数の規定はないが、取得は子ども1人に1回。代替要員確保などのため申請は開始1カ月前と定められ、長期取得が前提になっている。
政府は、男性の育休取得率(05年度0・5%)を14年度までに10%に引き上げることを目標に掲げるが、実現の見通しは薄い。
人事院の2月の調査で、育休を取得しなかった国家公務員の男性にその理由を聞いたところ、
▽他人の迷惑になる ・・・ 52・6%
▽収入が減る ・・・・・・ 47・0%
▽代替要員がいない ・・・ 17・5%
育休中は、雇用保険から基本給付金などが支給されるが、額は休業前の月給の50%(07年3月30日以前の職場復帰は40%)。「収入の壁」も育休を阻む要因になっている。
第一生命経済研究所の松田茂樹主任研究員は「現行制度は1人の子どもに育休が1回しか取得できず融通生に欠ける。分割取得を可能にするなど、もっと使いやすい制度にすべきだ」と指摘する。
《松田氏は会社勤めをしたことはないのだろう。ちょこちょこ休暇を取られては、企業の仕事は滞る。代替要員を潤沢に抱えるほど経営に余裕があれば別だが、上のアンケートにもある。小さい頃から他人様に迷惑を掛けないように、とは日本人ならどこの家庭でも親は口にするだろう。それに、上司は「やる気があるのか!」の一喝だ。男性の育児休業を本気で考えるなら、国も制度として、上司も口出しできない長期間の取得が可能になるように支援する体制を早急に整えるべきだ。必要なら隠し財源や無用の道路財源から何兆円でも回せばよい。企業は有給休暇を振り当てるなどの姑息な方法ではなく、そして、育休が仕事に疲れた身体を癒すための休暇ではないことを明確にすることだ。》
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コメント
こんにちは。
人間は生きて行く日々の中で、非常に疲れてしまい、疲労困憊することがありますね。それが、対人関係であったり、仕事や勉強であったり、育児であったり、精神的な悩みであったり、様々です。
-----でも、聖書にこんなことばがあります。
「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」(聖書)
3年間書き溜めた私のブログです(↓)。
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/
暇なときにでもご覧になってください。
ブログの記事から:カテゴリー「人生の幸せと心の平安」
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/c/118e13bcc1cad3b2223bb555410e435b
投稿: 風の又二郎 | 2008年4月14日 (月) 11時32分