« 謝罪 | トップページ | ニュースあれこれ - 2 - »

2008年4月 4日 (金)

麻酔医相次いで退職

カロライナ・ジャスミン   /   鈴蘭水仙
Dscfjasmine_3Dscfsuzuran






 退職を聞いてもなにも驚かない、これも現代人の打算の結果だ。世界中のブランドが集まる日本という国で、中流の生活に慣れた日本人が、ぬくぬくとして貧しさに耐えることをしなくなっただけのことだ。格差社会をよそに、ひとよりも少しでも良い生活がしたい、良いものを身につけたい、旨いものを食べたい、高級車を運転したい、ブランド物を購入したい、そして、楽をしたいと。

いい例がすでに存在する。日米に開きのあった15年も20年も前ならいざ知らず、今のアメリカ大リーグなどは日本のプロ野球とは50歩100歩の世界。違いは桁外れの金銭が動くことだ。まあまあ日本で通用するレベルなら、誰が行っても高額で売り買いできる対象になる。「チャレンジ」は野茂やイチロー、最低の金額で契約した新庄ぐらいだ。後は国内でそこそこの成績を記録したレベルが高額の契約金に惹かれて海を越えて行った。中には日本でお払い箱になるようなレベルで渡った無謀な連中もいたが、すごすごと逃げるように戻り、何時の間にか日本のどこかの球団にひっそりと舞い戻り、もぐり込んだ。それぞれに立て前はチャレンジというが、本音は高額なドルの魔力に惹かれてだ。

毎日新聞(4/3)から
 麻酔医の退職は本音の部分で低賃金(中流でないレベルには勿体ないと思えるが)に不満が鬱積しての結果であることをはっきりと口にする。今回取り上げられたのは、国立癌センターの麻酔医だが、民間病院や都立・県立への流れ、或いは、特定の医療機関に属さない「フリーランス」の立場で病院と個別に契約を結ぶ働き方が広がりつつあるようだ。

国立癌センター中央病院(東京都中央区、土屋了介院長、病床数600)で、10人いた常勤麻酔医のうち5人が昨年末から先月までに相次いで退職し、1日の手術件数が2割減る異常事態になった。より待遇の良い病院への転籍などが退職理由で、「癌制圧のための中核機関」を理念に掲げる日本の癌治療の“総本山”に、全国的な医師不足が波及した形となった。

同病院は常勤医師約150人、1日当たりの外来患者約1000人と、国内でも最大級の癌治療専門施設。これまでは、1日当たり約20件の外科手術をしてきたが、術中の麻酔管理を担当する麻酔科医が半減したことで、3月末から1日約15件しかできなくなった。関連学会や各地の病院を通じ、麻酔医確保を図っているが、「すぐには解決のめどがついていない」(同院長)のが実情だという。

同院長によると、退職の主な理由は、待遇の良い民間病院や都立・県立病院への転籍。同病院の職員は国家公務員で、30代の中堅医師の場合、給与は年間700万〜800万円程度。一方、都立や県立病院は1000万円台、民間病院なら1000万円半ばから数千万円になるという。

日本麻酔学会のまとめ(05年)にとると日本では約4000施設で前進麻酔が実施されているが、同学会の会員が常勤でいる病院は約半分にとどまるという。手術中の患者の麻酔管理に加え、患者の痛みを除く「ペインクリニック」や「緩和ケア」などに麻酔科医の担当領域が広がっており、全国的な需要も高まっている。

同病院も、「緩和ケア」研修を09年度から全研修医に義務付けることを決めたばかりだった。同院長は「中央病院は、医師が勉強する環境は十分整っているが給料は並以下で、施設の努力で確保するには限界がある。医師の絶対数を増やす政策が不可欠だ」と話す。

乳癌患者団体「ブーゲンビリア」の内田絵子理事長は「国立癌センターは全国の患者の精神的なよりどころであり、医師不足で手術件数が減ることは、患者にとって不安を駆り立てられる話だ。麻酔医不足は、緩和ケアの充実にも悪影響を及ぼす」と懸念している。

また、医師不足問題に詳しい本田宏・医両制度研究会副理事長の話しでは「癌患者にとって最後の砦とも言える国立癌センターにまで医師不足の並が押し寄せた。大変憂えるべき状況で、医療崩壊が日本に起こりつつあるというサインだ」と。

《何と呑気なコメントだろう。この程度のことなら、連日の報道で誰でもが抱いている危機感だ。問題に詳しいはずの研究会の副理事長が、対応の一つも言えず、このような素人でも言える問題意識しか持っていず、おろおろした様相では、この先空恐ろしい現状だ。》

続いて同紙4日の報道では、同センターのもう一つの拠点である東病院(千葉県柏市、江角浩安院長、病床数425)でも、4〜5年前まで4人いた常勤の麻酔医が相次いで退職し、4月からは1人になったことが分かった。東病院では非常勤の麻酔医を増やすなどして、対応に苦慮している。

同院長によると、4人の常勤麻酔医のうち2人が、ここ数年で退職。今年3月末にはさらに1人が辞めた。退職の理由は大学や他病院での勉強、出産などさまざまだった。全国10カ所以上の大学に派遣を依頼するなどしてきたが、欠員分を補充できなかったという。苦肉の策として、1月末時点で1人だった非常勤の麻酔医を4人に増やした。

東病院で全身麻酔を要する外科手術は1日当たり約10件、年間約2400件ある。患者への影響を避けるため、この手術件数は維持するが、1人しかいない常勤麻酔医の負担が大幅に増しており、今後も新たな確保の努力を続けるという。

麻酔医不足の一因として江角院長や関係者は、「フリーランス」の麻酔医が急増していることを挙げている。フリーランスの麻酔医は病院と個別に契約を結び、契約額によっては少ない勤務時間でより高い報酬を得ることが可能になる。

江角院長は「常勤医師の確保は病院の死活問題で、少なくともあと3、4人は確保したい。だが、常勤よりフリーランスでいる方が働きやすい状況ができてしまった」と困惑する。

《誰しも同じ仕事をするのなら高い報酬の方を選ぶだろう。麻酔医だって同じことだ。医師は人の命をあずかる尊い職業で、やれ仁術だ、やれ倫理だ、などと要求するのは患者の勝手な要求というものだし、医者をそれほど尊敬もしていないだろう。世の中は、武士は食わねど高楊枝、では生きては行けなくなっているのだ。

医者になるための国家試験のレベルを下げれば幾らでも医者は増やせる。しかし反面、医療ミスが多発する心配がある、というよりも必ず増える。高度な技術レベルを維持したまま医師の数を増やすのは並み大抵のことではないだろう。さらに、現時点では医者になるには富める階層で豊富な資金調達が可能でなくては不可能だ。掛け声だけではなく、現実問題として医師の数を増やすには、これからは貧乏人でも医者になれる道を拓くべきだ。優秀な人材が、貧乏ゆえに進路を諦める損失を、国家レベルで検討するべきと考える。》

|

« 謝罪 | トップページ | ニュースあれこれ - 2 - »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 麻酔医相次いで退職:

» 癌を消すなら【免疫療法】 [ガン 免疫療法]
末期ガン(その他の病気)は、根本療法(免疫療法・体質改善)に勝るものはありません。 癌の末期でも、諦めないで大丈夫です。 『短期消癌法有ります。』 [続きを読む]

受信: 2008年4月 9日 (水) 11時52分

« 謝罪 | トップページ | ニュースあれこれ - 2 - »