クラスター爆弾規制 米が英独加に警告
毎日新聞(3/4)から
見出しには、米国の「警告」と書かれているが、その実「脅迫」に近いものだ。
今年中の条約締結を目指す「オオスロ・プロセス」と、北大西洋条約機構(NATO)の双方に加盟する国に対し、米国が「(条約は)受入れがたい内容だ」と警告する書簡を送ったことが分かった。その言い分は、アフガニスタンなどでの共同作戦への支障を理由としているものだ。禁止条約に消極的な米国が、急成長するオスロ・プロセスを警戒して、圧力を掛けたとみられる。
外交筋によると、書簡は昨年12月から今年1月にかけ、双方に参加する英独仏カナダなど約20カ国に送られた。日豪など他の同盟国にも同様の内容が伝えられた模様だ。
米国は「米軍の弾薬庫からクラスター爆弾を撤去すれば米国や同盟国の兵士の生命を危うくする」と協調する。「この爆弾なしでは、NATOや他のパートナー国の安全を我々が保障することは困難になる」と警告した。
さらに、条約案が加盟国の爆弾使用だけでなく「いかなる国や組織によるクラスター爆弾の使用等も支援、奨励、勧誘してはならない」としている点を問題視し、NATOの諸国が新条約に加盟すればアフガンやイラクでの作戦などが「困難に直面する」としている。
さらに条約案が、違反した個人に刑事罰を含めた国内法で対処するよう求めている点も取り上げ、「NATO加盟国との協力を犯罪にすることを選ぶ国とは、対等な仲間として戦えない」と延べている。書簡では、米国の中でも特に陸軍と海兵隊にとってクラスター爆弾は主要な火力となっており、「重要だ」としている。
《日本はアメリカの顔色を窺いながら、「軍縮の有志連合」のオスロプロセスの4回目のウエリントン会議で、今年中に条約を制定することで合意した。日本政府は昨年2月の最初の会議では、今回合意したオスロ宣言には署名せず、その後の会議でものらりくらりとした態度で「留保」し続けた。条約賛成の立場を初めて打ち出したのだが、一方で、依然として「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」の枠組で行なわれる交渉を重視している。米中露が禁止に抵抗しているCCWは全会一致を原則にし、交渉が難航して見通しが立たないとみた国々は、CCWから飛び出して取り組んだのがオスロ・プロセスだ。》
先に3日、毎日新聞は社説で書いている。
ウェリントン会議では条約草案を議論し、各国が修正案を出した。日本などアメリカの同盟国は「いかなる者の爆弾使用も条約加盟国は援助しない」という内容の条文案に修正を提案した。
《条約賛成の立場を初めて打ち出した日本に、参加国は拍手を送って迎えたが、アメリカの思惑はちゃんと読んでいたのだ。日本は「自爆装置つきの改良型であれば禁止対象外にする」と修正案を出し、他の参加国を失望させ、「日本は最悪」と酷評を受けたのだ。》
非加盟国の使用に対する加盟国の援助を禁止する規定に反対し、使用を容認する修正だ。日本は、同盟国との共同作戦を妨げると修正理由を説明した。米国が条約に縛られずに使えるよう配慮したのだろう。だが、地雷条約にも同じ援助禁止の規定がある。クラスター爆弾を使わないと約束した国が、他国の使用を助けてもかまわない、という修正案の論理には疑問がある。
日本は条約づくりに協力するべきであり、合意形成を遅らせたり妨げる行為は控えるべきだ。クラスター爆弾の不発弾で死ぬのは罪のない子どもや市民だ。市民の苦痛と犠牲を終わらせる機会を逃してはならない。
5日、超党派による衆参22人の議員が4日、国会内で集まり、クラスター爆弾の規制に向けた議員連盟を今月中に発足させることを決めた。参加議員は50人以上になる見通し。呼び掛け人は猪口邦子衆院議員。
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