嫌われる教員養成系
国公立大の2次試験の前期日程が2月25日(中期日程は3月8日から、後期日程は3月12日から)始まった。
「ゆとり」教育の見直しや学力低下への不安が叫ばれる中、教員を目指す若者は減ってきている。人員不足や多忙化、理不尽なクレームをつける保護者への対応など課題も多い。
《自分には甘いが、他人の責任は厳しく追求する傾向は、産婦人科医や小児科医の数を減らし、同様に今又教員の不足を招く要因ともなっている。教員は、増員が必要な状況にありながら、躾もしていないわが子を溺愛することが愛情と勘違いするモンスターペアレンツ(怪物の親)とも、バカ親とも呼ばれる保護者たちが、教師に圧力を加え、自殺するものさえ出ている実態がある。その親たちの生きざまを近くで見てきた子どもたちが、いざ受験する時になって、無力な教師という職業に不安があるのも仕方ないことだろう。》
文部科学省によると、2次試験の確定志願倍率は4・9倍で前年度より0・1ポイント増えた。このうち国立大の教員養成系は前年度と同じ4・4倍(志願者5万3817人)。大学入試センター試験が始まった90年度以降でみると、最も高かった03年度の5・6倍から1・2ポイント減少した。大手予備校・代々木ゼミナールによると、今年度の模擬試験で教員養成系大学の志願者数は約7%減少し、ここ数年は数%ずつ減っているよいう。坂口入試情報センター本部長は「厳しい労働で敬遠されているのでは」と分析している。
東京大学(東京文京区)の試験会場で教員を志望する受験生にきいたところ、現場を悩ませる理不尽な保護者の存在について、福岡教育大を目指す萱野くん(熊本県立八代高校)は、「保護者が子どもを過保護にしすぎる。教師になったら親の自立も促したい」と。同大学を志望する椎原さん(大分県立大分西校)は「自分が対応する立場になったら冷静に対応できるのか・・」と戸惑いを見せた。
《親世代を反面教師とみてきた人間もいるが、体制に流されることを懸念する人間もいる。》
マニュアルを作りクレーム対応を弁護士に頼む自治体もあるが、教育委員会に対しては「委縮しないですむよう、悩む教員の相談に乗って欲しい」(城田さん、愛知教育大付属高)や、少人数クラスにすると配慮が行き届く」(服部くん=同高)といった声も目立った。
教員の能力向上のため10年ごとに講習を義務づける教員免許更新制については
▽教員側によい効果がある
▽事件を起すなど自覚のない先生がおり、必要
と、肯定的な意見が多かった。大阪教育大を目指す榎原くん(大阪府立北野高)は「免許更新制のおかげで安易な気持ちで教師を目指す人が経るのでは」と指摘した。
しかし、「更新のための勉強でさらに多忙化する」(東京学芸大志望の女性)、「研修が多くてゆとりがないのに更新制で子どもと向き合う時間が減る」(徳島県立城北高=泊先くん)とますます多忙化する教師という職業に不安を抱く声も聞かれたという。
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