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2008年2月19日 (火)

18歳は成人か

再び姦しくなってきた18歳成人問題。

昨年5月に成立した国民投票法が、18歳以上に投票権を与えたのがきっかけだ。憲法改正を睨んだ前お坊っちゃん首相安倍の我侭に振り回された感があるが、与野党の駆け引きの具になって決着をみたものだ。

毎日新聞(2/17)社説から
 民法を改正して成年を18歳に引き下げるべきか、現行の20歳に据え置くべきか。鳩山邦夫法相が、社会通念を根底から問い直す一大テーマを法制審議会に諮問した。社会情勢が大きく変化する中で「おとな」の法的基準を考え直すことは、市民生活にとっても有意義だ。

満20歳を成年とする考え方は1876(明治9)年の太政官布告に由来し、1896(同29)年制定の民法に規定された。教育の普及、体位の向上などを背景に前々から「引き下げ論」が取り沙汰されていたが、一方で若者の精神的成熟度への懸念や就業率の低下傾向などを理由とする慎重論も幅を利かせている。平均寿命が延びたのに、保護すべき期間を短縮するのは不自然とする意見もある。

しかし、義務教育化している高校を多くの人が卒業する18歳は、画期*と言っていい。

 《* 画期 ‥ (かっき)広辞苑第三版には「画期的」はあるが、「画期」はない。第五版から載っている。》

成年を引き下げれば、若者に自覚を促し、行動に責任を持たせる教育的効果も期待できる。高齢化が進む折、若年層の社会への一層の貢献が望まれることも考慮すべきだ。世界各国を見回しても、「成年18歳」は潮流となっており、日本が20歳にとどめる合理的な理由も見いだしにくい。

《と、ここまでは順調に論理の展開をしてきたようだが、やっぱり主張に自信がない。あれはこう、これはああ、と逐条的な細部に跨がる問題を総括的に列挙して逃げ道は拵えておる。投票権に関してはまあいいだろう、酒は、タバコに関しては科学的な分析を。結婚に関しては、男性18歳で成人するまで結婚できないが、女は未成年でも結婚できるが親の許可がいる。この男女差を平等原理の中でどのように位置づけるべきなのか、民法が改正された場合は、各省庁が所管する法律を検討する手はずというが、難問だ、国民的な議論が必要だと。だれもが考えつくことを列記しただけだ。》

成年を引き下げれば、308もの法令が見直しを迫られるという。百有余年の常識を変更しようとする試みだけに、この見直し論議を法制審議会だけに任せることにも疑問がある。国家百年の大計となるだけに、幅広い議論が醸成されるのを待つべきは言うまでもなく、間違っても国民投票法の施行が迫ることを理由に結論を急いではならない。

《世界各国が「成年18歳」の潮流にあるというが、世界に倣うことはない。石原慎太郎がいうように、「日本人は30歳を過ぎなかったら本当の成人ではない。騒ぎが起こるから、と父兄が同伴する成人式など世界にない」はその通りだ。20歳ですら、ただただ着飾るだけが楽しみのような女性たち、酒が飲めることだけが成人であるような錯覚の男たち。彼らをみていると、とても大人の仲間入りをした自覚などどこにも見当たらない。

東国原知事は「肉体的にも精神的にも大人であるべき年齢。他国の多数も18歳としている」と言う。しかし、「あるべき」理想と「ある」現実とは全く異なる。確かに戦前の20歳の徴兵検査で五尺(150センチ)あれば兵隊として合格した男性の身長だけは驚くほど伸びたが、精神年齢は逆に幼くなっているようにしか思えない。彼、東国原も他国の事に触れているが、日本がそうでなければならない理由とはならない。

過ぎ去った時を忘却した大人の「今時の若いもんは」とは、洋の東西を問わず数千年の昔から言われてきた。それを口にするつもりはない。言えば返ってくる言葉は分かっている。「それは大人が悪い」で、これまた数千年繰り返されてきている世代間のギャップであるだけだ。現在の日本で、成人を考える時、どうしても成人式の様相が頭に浮かぶ。これが20歳の人間たちか、とても大人の仲間入りは無理、まだまだ遠い先のことだな、と。》

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