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2008年1月12日 (土)

采は投げられた

「今日は何の日」。今から2057年前の今日、キリストもまだ誕生していない紀元前49年1月12日(一説に10日とも)、軍を率いたユリウス・カエサルが当時渡れば国家への叛乱とみなされていたイタリア北部を流れるルビコン川を越え、国家を内乱へと導びく運命の決断を下した日。その時発したのが「采は投げられた」だった。

大多数の表現は「采」を「賽」で表わすが、賽には決断を表現する意味はない。広辞苑によると、「賽」は、神仏へのお礼参りの意味や、賽子(さいころ)、双六などで振る具などの意がある。カエサルが命を掛けて決断するのは神頼みの博打や賽子で遊ぶ心境ではない。「采」には取ること、選ぶことの他に「采配」の省略の「采」、とある。広辞苑では「采は投げられた」と表記されている。常々疑問であったが改めて確認した。

 余談だがユリウス・カエサルはラテン読み、イタリア語読みではジュリオ・チェザーレ、皆が一番耳に親しいのは英語読みのジュリアス・シーザーだ。

【閑話休題】
インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開する新テロ対策特別措置法が11日、衆議院で再可決された。同日午前の参院本会議では野党の反対多数で否決されたが、午後の衆院本会議で与党などの賛成票が投票総数の3分の2以上に足し、再可決された。成立を受けて福田総理は‘国民に理解を求め*’、月内に自衛艦を派遣する方針を示した談話を発表した。参院で否決された法案が衆院で再可決されたのは51年以来、57年振りで2度目のことだ。これからの日本をアメリカに売ったことにならなければよいが、これこそ本当の「采は投げられた」だ。

 《* ‘国民に理解を求める’のにどのような手段を考えているのか。国民投票をするわけではない、ただ一方通行の説明をするだけで「理解を求めたことにする」だけのことは分かっている。ねじれ国会を絶対多数の再可決という姑息な手段でゴリ押しして通した法案だ。》

《毎日新聞1月11日に、早稲田大学教授・水島朝穂(憲法学)が次のように書いている。「憲法59条1項は『法案は両院で可決したとき法律となる』と定めており、原則として両院の意思の合致を期待している。衆院の優越**が定められていても、予算や条約承認と異なり、ハードルが高いのはそのためだ。日本の参院は英国の貴族院などと異なり、民主的に選挙される。衆、参で2度手間をかけることで、参院は「再考機関」としての側面を持つ。直近の民意も反映する参院が否決した以上、一旦廃案にし、仕切り直すのが憲政の常道だ、と。

これを強引に数を頼みの可決にしてしまった。新テロ法案を通すだけの理由づけは何もしていない。ただ、一日も早くアメリカのために給油を再開することだけに先行した。その油はイラク戦争への転用疑惑や、汚職事件などで大きく揺らいでおり、それを解決しないままの再可決は2院制を傷つけるものだ、とも言う。》

 ** 衆院の優越--衆参両院の議決が異なる場合、憲法は衆院の優越を認めている。予算や条約は両院協議会を開いても意見が一致しない時や、参院送付後30日以内に参院が議決しない時は、衆院の議決を国会の議決とする。首相指名選挙も両院協議会の意見が一致しないか、参院が10日以内に議決しない場合は衆院の議決通りとなる。衆院で可決した法案を参院が否決や修正した場合、衆院の3分の2以上の賛成で再可決できるのも衆院の優越のひとつとなっている。

《振り返って昨年11月1日に期限が切れた旧テロ法、失効してから既に3カ月近くを経過した。その間、どこの国から「日本よ、困っているのだ、一日も早く油をよこせ」との不満が出たのか。寡聞にして聞いていない。日本が給油を中止しても、ブッシュ・アメリカの戦争は一日も休まずに続いている。日本からの給油はなくてもブッシュは戦争を続けるのだ。》

 新テロ法の第一項に、その給油が書かれている。
  ▽海上自衛隊の活動を他国艦船への給油・給水に限定する
  ▽活動期間は一年。活動延長は一年以内でできる
  ▽活動地域は非戦闘地域の要件を満たすペルシャ湾を含むインド洋とその上空、インド洋沿岸国領域
  ▽実施計画の決定・変更時と活動終了時に国会に報告(ただし、国会承認はない)

当然、アメリカさんたちは喜んでいる。
可決濃厚の10日、米国務省のズムワルト日本部長は、ワシントンで日本人記者に対し、新テロ対策特別措置法が成立する運びとなったことを歓迎し、給油の早期再開に期待を表明した。
また、米英、アフガニスタンの駐日大使は11日、新テロ法の成立を歓迎する声明をそれぞれ出した。米国のシーファー大使は「テロは、現代の災いの元凶である。日本は、より安全でより寛容な世界を作り出そうとする人々を支持するという意思を示した。英国のフライ大使は「海上自衛隊の活動再開を期待する。これは国際社会による努力への重要な貢献である」と声明。アフガンのアミン大使は「対テロ作戦に再び加わるという日本の決定は、国際社会やアフガン国民に強いメッセージを送る」と評価した。

《ちっとも有り難がっているようには聞こえない響きだ。それもそうだろうと思う。2カ月半も給油も給水もなくても困らなかったのだ。日本がやりたいならやってくれ、それも当然だろう、とのいかにも高所からものを言う奴らだ。》

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