自転車衝突死
毎日新聞(1/21)から
千葉市美浜区美浜の市道で昨年7月、県立京葉工業高校3年の自転車部の生徒2人(当時17歳と18歳)が違法駐車の乗用車に衝突して死亡した事故で、千葉県警交通捜査課と千葉西署は21日にも、男性運転手(31歳)を自動車運転過失致死と道路交通法違反(駐車禁止)容疑で書類送検する方針を固めた。
事故時に乗車していなかった運転手を自動車運転過失致死容疑で立件するするのは極めて異例。交通事故厳罰化の流れを考慮したとみられる。
県警はこの他、生徒の監督責任を怠ったとして30代と40代の自転車部の男性顧問2人を業務上過失致死容疑で、死亡した生徒2人を道交法違反(安全運転義務違反)容疑で、それぞれ書類送検する。
調べでは、運転手は昨年7月19日午後1時50分ごろ、片側3車線の一番左の車線に乗用車を違法駐車し、路上走行練習中の生徒2人が衝突死する原因を作った疑い。当初は道交法違反のみで書類送検する方針だったが、繰り返し取締りが行なわれていた同道に駐車していた点に重大な過失があると判断した。2人の顧問については、いつも行なっている乗用車による併走を事故当日はせず、安全確認を怠ったと判断した。
《交通違反に対して厳罰化は悪いことではないが、これを厳罰化の「流行」と同じように扱ってもらっては堪ったものではない。いつも取締りを行なっていた道路なのに、こんなやつがいるからだ!での厳罰化と取れる。
《この事故は真っ昼間だが、昼と夜に違いはあるものの、殆ど同じような事故が横浜で起っていた。この事故に関し、横浜地裁の平成18年11月30日に出した判決(確定)では、次のように認定した。
▼平成17年4月8日午後7時40分ごろ、横浜市都筑区の片側3車線60キロ制限の左端駐車中の普通貨物自動車に原付自転車が衝突死亡した事案につき、駐車禁止場所に尾灯等をつけず駐車した運転者(Y)の過失に対し、原付自転車の運転者(A)の「前方不注視は軽視し得ない」として、Aの「過失割合は6割」とした。
《夜間尾灯もつけず、そこに原付自転車がぶつかって来た。横浜地裁は、現場の見遠しが良好であったことを考慮しても、車輌の発見はさほど容易ではなかったとした上で、「駐車禁止規制違反、駐車方法不適切及び夜間不灯火の過失が認められ、その過失割合は4割」とした。
《千葉の事故の現場の状況と比べて、遥かに発見困難な夜間での事故であったことが分る。それでも貨物自動車の運転者の過失の割合は4割とした。千葉県警の考えはまるであべこべだ。なぜこんな噴飯(ばからしくて食事中ならば、口の中の飯を噴き出すほどだ、の例え)ものの容疑になったのだろう。ちょうど横浜の事故と千葉の事故との間(平成18年8月25日)に、例の福岡の海の中道で発生した飲酒運転による大事故があった。この事故を機に、一気に交通事故に対する厳罰化を望む声が市民の間に広がり、根付いて行った。千葉県警も千葉西署もこの流れを無視することができなくなり、幾つもある要因を重ね合わせて、屁理屈のように理由づけをした。運転手が乗車してもいない車に「運転過失致死」の立件をするという。
《もう少し詳しく見てみよう。死んだ自転車部の2人は真っ昼間、どこを見て走っていたんだろうか。事故当時の報道によると、高校生2人が走行していた自転車はブレーキがない競技用のものでピスト(ピストレーサーとも)とよばれるもの。走行していた公道は自転車競技を行なう競技場に条件が似ており、スピードも出せる事故現場付近の公道で高速走行練習を行なうことが多かったという。事故当日は顧問が会議に出席のため、練習時の先導ができないまま、部員4名だけで公道にでた。事故発生後病院に収容されたが約3時間後に死亡。前方不注意が事故の原因とみられる、となっている。(2007年7月23日)
《テレビで時々目にする自転車競技と同じなら、最高速走行時には競技者は殆ど前を見ていない。あれで公道を走行されたら事故が起るのは当たり前とも言える。道交法がある程度整備されるまで、昔は自動車が走る凶器と言われる時代が続いた。今はその「走る凶器」の言葉が当てはまるのは自転車だろう。事実、事故も多発している。練習のための場所がないから仕方がない、というのが理由だろうが、千葉にはサッカーのためには巨費を投じて建設したスタジアムがある。千葉県に限らないが、全国の公道を使って練習させている自転車競技者のいる自治体、マイナーな競技かも知れないが、走る凶器にならない場所を設けることを検討してもよいのではないか。公道を走行することを認めるのは、街なかの公園で幅跳びや、棒高跳び、キャッチボールや野球の練習をするのを認めるのと同じことだと思うのだが。
《いずれにしても、前方不注意で高速走行して障害物にぶつかるのは当たり前、事故になって当然だろう。ぶつかったのが人間だったら・・・怖い。一方、駐停車禁止ゾーンに駐車していた運転者は、ぶつかって来たものが死亡したからと言って、道交法違反(駐車禁止)以上のものではないが、いい機会だ、競技用自転車の公道上での練習は、即、中止させるべきだ。》
▼ブログのカテゴリーを「流行」としたのは、何ごとによらず、流されることの好きな日本人、厳罰化が流行になっては困ることから敢えてそれを選んだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント