砂上の楼閣か CCW会合
全会一致が原則のCCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)で、大国のわがまま、その陰に寄り添って様子を窺うだけの日本の寂しい主張では、何時まで経っても議論は進まず、纏まるものも纏まる気配はないままで終わった。
毎日新聞(1/19)から
不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾について議論していたCCWの専門家会合(スイス・ジュネーブ)は18日、規制についての意見が分裂したまま閉幕した。日本がやっと部分禁止方針を表明したがロシアが事実上、規制に反対するなど、議論に進展は見られなかった。これで有志国が今年中の条約作りを目指す「オスロ・プロセス」が来月、ニュージーランドで開く「ウェリントン会議」に焦点が移ることいなった。
国連に事務局を置き、米露中などが参加するCCWは、今回の専門家会合を、11月の締約国会議までに「提言」をまとめる出発点と位置づけた。
日本は今回「信頼性、正確性に欠ける」旧型の爆弾の禁止を条約化することを主張した。米露中を巻き込む条約作りを狙った。一応は前向きな姿勢に、全面禁止派の国の外交筋からも「日本が部分禁止に言及したことは興味深い」と歓迎の声が上がったようだ。しかし、ロシアは「(規制実施には)超長期の猶予期間が必要」と、実質的な規制反対の姿勢を繰り返した。また米国も「(爆弾そのものの規制ではなく)非人道的な“使い方”の規制に焦点を当てるべきだ」と強調した。
CCWは全会一致が原則だが、同爆弾の規制に関しては、インドやパキスタン、中国、韓国なども消極的で、日本の部分禁止程度の生温(なまぬる)い新提案では、前途の多難さは推して図るべしだ。
一方、米露中以外の主要国が参加するオスロ.プロセスは来月のウェリントン会議で禁止条約案の大枠を決め、5月のダブリンの会議で条約案合意を目指す。CCWが停滞を示す中で、日本も参加するオスロ・プロセスがどのような条約案を打ち出すのかが、今後、注目されるところだ。
クラスター爆弾に詳しい中央大・目加田説子教授の話「日本の提案は米露に配慮した内容。英独さえ廃棄する旧型爆弾の使用も一定期間認めており、後ろ向きだ。このままでは、オスロ・プロセスの禁止条約作りの流れについていけない」と。
従来ののらりくらりの立場では日本もおいてけぼりをくらう、何とか面子だけでも立てておかねばならなくなっての部分禁止だった。アメリカに気兼ねして、恐る恐る出して顔色を窺ったのが本当の所だろう。途端に肘鉄を喰らったような雲行きだ。米露がお互いを意識しての主張はあいも変らぬその昔の冷戦時代の大国同士の力のバランスを背景にしてのことだろう。それに比べると箱庭のような北朝鮮と日本の関係だ。それでもなお日本はクラスター爆弾にしがみつくのか。世界の趨勢はあやふやな関係ながらクラスター爆弾廃止の方向に流れている。しかし、現状では参加国の纏まらない動きは、積んでも積んでも崩れ落ちる砂上の楼閣を築こうとしているようで時間だけが無駄に過ぎて行くかに見える。
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