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2007年12月15日 (土)

温暖化防止バリ会議骨抜きに

毎日新聞(12/15)から
インドネシアのバリ島で開かれている、国連の「気候変動枠組み条約第13回締約会議(温暖化防止バリ会議」は15日未明、京都議定書後の温室効果ガスの新たな削減枠組を話し合う行程表(通称バリ・ロードマップ)について、大筋で合意した。同日午前に総会が再開したが、中国やインドが表現を巡ってなお異義を唱えており、最終合意はまだ遅れる見通しだ。

大筋合意された行程表は、すべての国が参加する条約の下での特別作業部会創設と交渉開始が決まったが、日本、米国などの主張で、草案にあった削減数値目標はすべて削除された。

各国の行動については、米国を含むすべての先進国が「削減目標を含む、検証可能な排出行動」に取り組むとした。しかし、その内容については国ごとの事情を考慮することを付記した。途上国についても「持続可能な成長を維持しつつ、軽量、報告、検証可能な削減行動をする」と規定した。

焦点だった数値目標については、日本、米国などの反対で、草案にあった「先進国は20年までに90年比25〜40%減」「今後10〜15年間に全世界の排出量を減少に転じさせ、50年に半分以下に*」などの数値を削除した。こうした数値を記述した国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC**)」第4次報告書に対応し、「世界の排出の大幅削減が求められていることを認識する」と、抽象的表現にとどめている。

 * 日本は、今年のドイツ・ハイリゲンダム・サミットで「クールアース50(美しい星50)構想を公表し、「2050年までに温室効果ガスを現状から半減させる」との長期目標を掲げ、サミットの合意文書にも盛り込まれた。
 ** Intergovernmental Panel on Climate Change

米国の「温室効果ガス削減の数値目標を含まない対案」を出したことについて、途上国からは批判が高まり、途上国グループを代表して12日に会見したパキスタンのアクラム国連大使は「国民一人当りの温室効果ガス排出量が米国の20分の1という途上国さえある。京都議定書に加わろうとしない国***が、会議自体を蝕む恐れがある」と激しく非難した。

 *** 先進国に国別削減目標を設定するよう求めた草案にも米国は「今後の議論内容に隔たりが出る」などと反対していた。

大筋で合意をみたバリ行程表では、京都議定書に定めのない2013年以降の対策について、条約の下で創設する特別作業部会で議論し、09年の締約国会議までに結論を出すことにした。また、途上国の要求で「アフリカ諸国の旱魃や砂漠化、洪水など温暖化の被害軽減策を講じる」と特に規定した。

パキスタンのアクラム国連大使が非難するように、温室効果ガスの削減義務を負わないが、今にアメリカを抜いて世界最大のガスの排出国となるだろう中国やインド、或いは現在世界最大の温室効果ガスを排出し続けるアメリカなどを会議の場に引き込むことも重要になってくる。

 <アメリカの主張を入れて妥協した形になった行程表の骨子>
 ♢国連の気候変動に関する政府間パネルの「温暖化は疑いの余地がない。排出削減の遅れは、気候変動に伴う危険性を高める」との指摘に対応する。
 ♢温室効果ガスの排出量の大幅削減が必要だと認識する。
 ♢京都議定書後の枠組は第15回締約国会議(09年)で合意する。
 ♢すべての先進国による検証可能な排出の削減か抑制が重要だ。
 ♢途上国は技術や財政支援を受け、持続可能な発展を前提に検証可能な対応をする。
 ♢気候変動枠組み条約下に特別作業部会を新設し、交渉を始める。

読む限り大国の論理に牛耳られ、場当たり的な作文の印象が拭えない。これでは誰も削減の義務を負わないで済ませられる。日本は削減どころか90年(基準年)からの目標(-6%)に対し、増加の結果(6・9%)が出ているのだ。口先だけの、削減には真剣に取り組まない消極的な国との印象を与えることは避けなければならない。

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