続・マグロと鯨と食料危機
♢国際捕鯨委員会のホガース議長(米国)が今月11日来日した。捕鯨支持国と反捕鯨国が激しく対立するIWC*を「正常化」し対話を復活させるにはザトウクジラ捕獲が支障になるとして、取り止めを要請していた。
* IWC - (International Whaling Commission 国際捕鯨委員会 1951年4月、日本は加盟。現加盟国は78ヵ国)
日本は今年度から10年度まで毎年50頭を捕獲する予定でいたが、開始を1〜2年延ばす。若林正俊農相は「IWCで正常化の努力が進行している間、自主的に捕獲を見合わせる」と説明している。今回の調査船団は11日に日本を出発。調査は来年4月までで、ミンククジラ850頭とナガスクジラ50頭は予定通り捕獲する。日本は、調査捕鯨は正当な権利で、ザトウクジラの捕獲開始は南極海の生態系解明のためとしている。
《78ヵ国が加盟しているIWCだが、1993年ノルウェーが商業捕鯨を再開、昨2006年アイスランドが商業捕鯨を再開した。叩いても効かないこの2国に比べ、日本の弱腰(良識か)は、脅しの掛け甲斐があるのだろう。案の定アメリカの耳打ちもあって日本政府はザトウクジラについては、2年間の足踏みを決めたようだ。
《それにしても、反捕鯨国の反対理由が分らない。鯨は大きな脳味噌を持っていて利口な高等動物だ、そのような動物を殺すのは残酷だ、或いはホエールウォッチングの収益は捕鯨によって頭打ちになっている、など屁理屈のレベルだ。昨日も書いたが、どんな動物も命に変わりはない。それらの動物を数え切れない数殺し、靴に仕立て、毛皮に仕立て、カバンになったものを肩からぶら下げ、こ脇に抱える。果ては血の滴る肉を美味美味とお召し上がりになる。どちらが残酷なのだろうか》。
日本政府のザトウクジラ捕獲中止決定について、反捕鯨国の急先鋒であるオーストラリアの労働党政府は歓迎している。一方でスミス外相は「いかなる捕鯨も正当化できない」と述べ、日本の調査捕鯨への監視活動などを予定通り実施する方針を示した。
《「調査捕鯨」はIWCが認めた捕鯨許可だ。オーストラリアの反対運動は、日本に向けるのではなく、認可したIWCにするべき行動でなければならない。》
オーストラリアは元々反捕鯨の世論が強いが、前のハワード保守連合政権はこの問題で対日関係が悪化するのを避けるため、慎重な姿勢だった。しかし、先月の総選挙で11年振りに政権を奪回した労働党は、スミス外相が「(調査捕鯨は)科学的調査ではなく、鯨の虐殺」と発言するなど、反捕鯨の立場を鮮明にしていた。
オーストラリアにとってクジラは、環境保護のシンボル的存在だ。このため、今年度からザトウクジラを新たな捕獲対象とした日本への反発が従来以上に高まっていた。オーストラリア政府は、日本の捕鯨船監視のために巡視船と航空機を派遣し、収集した情報をもとに調査捕鯨が違法行為に当るとして国際法廷に提訴する構えだ。民間の反捕鯨団体も捕鯨船攻撃を計画していいるという。《ご苦労なことだ。まさか、巡視船や航空機に使った燃料や経費を補償しろとは言わないだろうな。》
♢農林水産省は17日開いた「食料の未来を描く戦略会議」(座長、生源寺真一・東大農学部長)で、世界の食料需給の逼迫(ひっぱく)が日本に与える影響について、このままでは食料不足で食生活が一変したり貧困国の飢餓拡大を招くとした、いずれも悲観的な三つのシナリオを明らかにした。
世界の食料需給は、途上国の人口増やバイオ燃料の増産などで逼迫の傾向が強まるとみられている。同省はまず、
シナリオ1)日本の経済力が人口減などで低下した場合は、経済力の優る国との食料奪い合いに敗れて輸入が激減する
シナリオ2)経済力が維持できた場合も、食料輸出国が自国への供給を優先し輸出規制をすれば、日本への輸入が減る
シナリオ3)経済力に頼って日本が大量の輸入を続けると、貧困国への食料供給減少につながる、
とした内容だ。委員からは「大きな危機に直面している」といった意見や、自給率向上の重要性を指摘する意見がでた。同会議は農相の主催で7月に設置され、消費者、経済界など各界の代表が食料の安定供給について議論している。
《世界の人口が増え続けている一方で、地球の限りある食料資源はより効率的に金儲けのできる燃料に代えられ、危機の到来を速めようとしているかにみえる。人間のように頭の良いクジラ、人間に似て・・・、と万物の霊長のように、思い上がっているうちに、このままでは地球は痩せ細り、自らの存在さえ危うい状況に来ていることに気がついていない。ひょっとすると、人間は地球上で1番愚かな動物なのかも知れない。》
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