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2007年12月20日 (木)

死刑停止決議

日本では繰り替えし起る凶悪犯罪に対し、世論は死刑を求める声が大きい。

毎日新聞(12/18、20)から
国連総会は18日、欧州連合(EU)などが提出した死刑執行の一時停止(期間)〔モラトリアム moratorium〕を求める決議案を賛成多数で採択した。国連が死刑の一時停止要求決議案を採択したのは初めて。総会決議に拘束力はない。

賛成はEUのほかトルコ、イスラエルなど104カ国。反対は日本、米国、中国など54カ国、棄権が韓国など29カ国。総会内の第3委員会(人道問題)が既に同決議案を採択していたが、総会の採択で正式な決議となった。日本は一時停止が憲法に反する*ことなどを理由に一貫して決議案に反対した。

《 * 死刑制度に対する裁判所が下した判決。いずれも憲法(9条、13条、25条、31条、36条)に違反しないという判決が下されている。【1948(昭和23)年、3月12日、最高裁大法廷判決 尊属殺、殺人、死体遺棄】
   憲法9条・・日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
   憲法13条・・すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
   憲法25条・・すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
   憲法31条・・何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
   憲法36条・・公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。 》

総会で採択された決議案は
 ♢死刑は人間の尊厳を否定し、死刑廃止は人権保護に貢献すると確信する
 ♢世界的な死刑廃止や執行一時停止の動きを歓迎する
 ♢死刑を廃止した国には死刑制度を復活させないことを求める、 とした。
その上で、死刑執行を続ける国に対して、♢死刑を制限して執行を受ける者の数を減らす、♢死刑廃止に向けて一時停止を行なうことなどを求めている。

日本国内では、各種の世論調査で8割前後が存続を認めており、死を持って償うべき罪があるとする考えも根強くある。死刑に一定の抑止効果があるとも理解されており、当面、死刑廃止に転じる情勢にはない。14日のブログでも取り上げたが、米国・ニュージャージー州、或いは10年間死刑執行のない韓国などをみても、死刑廃止に向かっている動きはみえる。

社説は次のように書いている。
死刑を存続させるにしても、世論のコンセンサス《(consensus 複数の人(狭義には大多数の)による同意で単なる同意、agreementではない。》を練り上げるべきではないか。国連が決議したというだけでなく、裁判員制度の導入が迫り、鳩山法相の暴言で死刑への関心が高まっている。論議を深める絶好の機会だ。

《同じく先に触れたように、私は死刑存続支持だ。死刑廃止論のいう死刑制度の廃止は基本的人権の乱用にあたらない。また、死刑制度を廃止しても、直ちに公共の福祉に反するわけではない。は、憲法12条の基本的人権は濫用してはいけないのであって、常に公共の福祉のために利用する責任があるということで、生存権を基本にした死刑廃止の主張は基本的人権の濫用にあたるものだ。また、他人の基本的人権を犯した凶悪事件の犯罪者については基本的人権は尊重するに値しない。

また、時代はあだ討ちや個人の報復、リンチや仕返しを禁じ、基本的人権を侵害された被害者やその家族は、現在では、法の下で処罰の権利を有している国家権力に委ね、国家はその処罰を被害者に替わり行なわなければならないのだ。》

《死刑存続か廃止か、現状では従来あった考察以上の運動はないが、国連総会の一時停止決議を受けて日本でも議論が活発化することも考えられる。熱しやすく冷め易い日本人、「死刑確定後は関心を失い、結果的に法務省 による隠密裏の執行を是認してきた市民の姿勢も、問い直さなければならない。社会にとって不都合な人の排除を願い、しかも自分は係わりたくないとする発想が、底流にはある(社説)」。》

社説は続ける、厚生や協調よりも報復や切り捨てに走る風潮が、民主主義社会にとって健康的と言えるだろうか。死刑問題は、宗教や哲学など人の生き方の根幹に触れる重いテーマだ。一人一人が熟考し、慎重な論議を重ね、将来に向かって死刑制度の是非を見定めたい、と。

《新聞社として優等生の日和見的な意見を述べるだけではなくて、社としてその是非について論陣を張り、輿論喚起すればどうだ、廃止なのか、存続なのかを。それこそ百花繚乱、喧々諤々となると思うが。》


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