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2007年12月 2日 (日)

可哀相な味覚音痴たち

先に日本食も随分見くびられたことを書いた。情けないことに、碌に味も分らないミシュランが、お墨付きをくれたとあって日本中の権威には弱く、ブランド崇拝の味覚音痴の有象無像が、出版本を買い漁り、三つ星のお墨付きをもらった店に、ひっきりなしに電話を掛け、自らの舌の感覚を失った人間の予約で、店は年内一杯埋まったという噂だ。

今日12月2日の毎日新聞、『サラリーマン川柳』に傑作が一首ある。
 “コンビニの お袋の味 中国製” 読み人:メイドイン中国。

言い得て妙だ。日本の多くの家庭で、お袋が満足に食事を作らなくなって久しい。小さい時から朝食抜きか、時にはコンビニや回転ずしが現在の家庭の家族団欒の場になっている。母の手作りの味など、長じて働く男女の殆どは知らず、幼い頃からの習慣で、朝食抜きかコンビニ弁当が普通に自分達の生活に馴染んでいる。それを皮肉ったのが上の川柳だ。少し落ちるがこんなのもある。“うちのママ 家庭科少し 履修漏れ”なんとも寂しい家庭の食事風景が目に浮かぶ。家族や、子どもの喜ぶ料理には程遠いママ(日本人でないのかな)の、それでいて当然のような顔でテーブルに粗末な料理が出てくる家庭。

母の台所に立つ姿を見ないで育っているから、10人に1人の料理ができる若い女性がいない。今後の日本の建物には、台所など全く不要のスペースになるだろう。国は今、日本食の大切さ、朝食の大切さをしきりに説いているが、笛吹けど踊らずで焦れったい状況だ。文化としての日本食は疾うに姿を消しているようだ。もしもあるとすれば、一般国民には無縁の高級料亭で、そう、魯山人を神と崇める懐暖かい類いの連中の集まるところにしか残ってはいなのだろう。

一方、貧乏庶民の食い物であった秋刀魚も、食し方に違いも生じた。昔のように炭火で煙りぼうぼうで焼いて食べた味は、無煙の魚焼器では到底追いつかない。このシーズンになるといつも思い出す。<あわれ秋風よ心あらば教えてよ、秋刀魚苦いか塩っぱいか・・・・>、佐藤春夫のうただ。

信じられないでいる。あれほど騒ぎの続く食品偽装問題。騙されていながら牛肉にしろ、鶏にしろ、小豆にしろ、消費・賞味期限にしろ、その違いには一向に気がつかない味覚音痴の人間に、いったいミシュランはどのように関わるのだろうか。どうせ食べたところで味の違いが分る訳は絶対にないだろうに。かれ、かのじょたちは、ミシュランというブランドを食べるのだから。何の特徴もない世界中のミシュランと変わらない味を食するだけなのだから。

毎日新聞(12/1)から
「売れるとは思っていたが、ここまですごいとは」。ジュンク堂書店池袋本店の担当者が驚く。22日の発売初日に完売、取扱いフロアにかかってくる電話の9割がガイドに関する内容だったという。丸善丸の内本店でも初日で完売し、現在受け付けている予約も既に三桁に達する勢いだという。

(機を見るに敏なものは)インターネットオークションへの出品も多く、「ヤフー!オークション」では一時、定価2300円を大幅に上回る3000、4000円台の入札価格がついた。

料理を提供する側ではどうか、三つ星評価を受けた日本橋人形町の和食「濱田家」では連日、電話が相次ぎ、年愛の夜の席は満席。これまでは少なかった一見客からの予約が増えたほか、海外から「冬のバカンスで日本に行くので予約したい」などの申し込みが寄せられているという。

銀座のフランス料理店「ロオジェ」も、発表当日は電話を置いた瞬間に次の電話が鳴る騒ぎになった。年内予約は勿論年明けも3ヵ月先まで土曜日は満席、平日でも9割方が埋まっているという。

ミシュランで浮かれている国と、格差で苦しんでいる国が、同じ国なのが可笑しくてならない。

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