コンビニ営業時間短縮と「省エネ効果」
政府は京都議定書で定められた温室効果ガス削減目標達成のため各業界に省エネ対策を求めているが、日本フランチャイズチェーン協会は、試算結果をもとに「短縮の効果は薄い」と主張する。協会が行なった試算では、コンビニエンスストアの営業時間を24時間から16時間に短縮しても、二酸化炭素(CO2)排出量は3〜4%しか削減できないという。現状の深夜に及ぶ国民のライフスタイル自体を見直すべきだとの論争に発展しそうだ。
同協会によると、加盟のコンビニ約4万2000店のうち、24時間営業店舗は94・4%にのぼる。営業を午前7時から午後11時までにしても、生鮮食料品を扱っているため、冷蔵や冷凍機器を深夜だけ止めるわけにはいかない。閉開店の前後約1時間は作業が不可欠で、店内の照明を消せるのは実質6時間にとどまるという。
一方、深夜時間帯を利用している商品配送を昼間に変更すると、交通渋滞のためトラック台数や納品時間が増えると予測する。照明と空調でCO2排出量を4・66%削減できるが、物流部門で0・9%増えると推計した。これに対し、1店舗当たりの売上げは約2割減少するとしている。
この結果は、11月30日の中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合で報告された。委員からは「地球温暖化は非常事態だ」「コンビニが営業時間を短縮すれば、国民にライフスタイル変革を働きかけ、波及効果は大きい」など短縮を求める意見が相次いだ。これに対し「24時間営業の事業者はたくさんあり、幅広く論議するべきだ」「大都会だけでなく地方もあり、ケース・バイ・ケースで考えるべきだ」など慎重意見も出され、議論は平行線をたどった。
12月14日の会合で再び議論され、「省エネ効果は限定的である一方、企業活動へのマイナスは大きい」として営業時間短縮は先送りされた。しかし、「国民のライフスタイルに影響を与える観点から、夜間のライトアップ、テレビ放映など幅広い分野に一定の自粛を求めるべきではないか」との意見も根強く、深夜に行なわれる活動のあり方について総合的に検討する必要があるとされた。
コンビニが誕生した頃は、セブンイレブンの名の通り、サラリーマンの朝夕の寄り道の利便性が取り上げられた程度であったが、流通システムの充実に伴って取扱い商品の多様さが求められ、営業時間も24時間になり、人々のライフサイクルにも影響するようになった。より利便性を求め、銀行業務の1部、郵便業務の1部、宅配受け付け、公共料金の払い込みなどが付属するまでになった。
一方で、店舗経営者の高齢化が進み、夜間業務の厳しさが過重にかかること、地域によっては夜間営業のコストメリットが低いこと、防犯体制が整っているとはいえ、やはり不安があること、本部にとっても夜間配送にかかる人件費の高騰に加え、昨今の省エネや環境問題への自覚からローソンでは原則24時間営業の見直しを始めた。
24時間のうち時間帯別、或いは時間別の生産性が把握できれば、どの時間帯から縮小することがデメリットにならずに可能か分析できる。集客時間帯で一番薄いのが夜間であることは想像するのは簡単だ。協会は、政府が求める省エネ議論を牽制するかのような数字を出してきたが、営業形体の現状維持が前提としてあり、故意に微々たる効果しかない、とした。
深夜のコンビニのもう一つの面に、若者たちの問題が重なる。自治体によっては午後11時以降の未成年の外出は禁止されている市もあるが、取締りは殆どされていないのが実態だ。街に煌めくネオンサイン、歓楽街の灯り、遊戯場にレストラン、飲食店など深夜生活の問題の見直しが先にあるべきだろう。何かというと、派手なライトアップを試みるなど無駄は至る所にある。もっと大きくは、省エネの言葉とは裏腹に、地球規模で環境破壊、食糧危機を招来しながら進めるバイオ燃料問題は、自動車産業が先導するような勢いで地球資源を食いつぶそうとしている。バイオによるエネルギー問題は早く気づいて方向転換しなければ、人類の破滅ともなりかねない地球の砂漠化を目指してでもいるようだ。私には省エネの必要はないだろう太陽エネルギー以外には、次期代替エネルギーはないように思える。
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コメント
私が田舎から札幌に出て来て、セブンイレブンが11時過ぎまでやっていることに驚き、先輩方に笑われた事を思い出しました。
あれから20年以上が経ち、コンビニが乱立し、すぐ近くにライバル店がオープンしたりと競争が激化し、閉店する店も現れましたね。1店舗を開店する時、閉める時にかかるゴミの量を考えると恐ろしいものがあります。酒屋さんも制限が撤廃されてから、大店法が無くなってからはもう潰し合いのようです。
私ももっと太陽エネルギーの可能性を考えるべきであるといつも思っています。太陽熱の熱量は大変なものがあると思うのですが。
投稿: BEM | 2007年12月19日 (水) 22時21分
コメントありがとうぼざいます。
面映い思いでした。コメントを頂いたおかげで、拙文を眺めました。首が縮む思いです。
最後の文節で、「次」代の代替エネルギーを「時」期で表記していました。早速訂正しました。お恥ずかしい次第です。
電飾は夜11時以降不要、歓楽街の営業も同じ、テレビ放送も夜は年1回、大晦日の除夜の鐘を聞くだけで、11時以降は中止すれば日本人の生活も見違えるように健全になるでしょうね。
投稿: 小言こうべい | 2007年12月20日 (木) 11時48分
振り返ると「紅白歌合戦」を見て、全局一斉の「ゆく年来る年」を見て両親に「あけましておめでとうございます」と言って床についた頃を思い出します。
あの頃の生活に戻れば6%の二酸化炭素排出削減なんて簡単です。しかしその6%削減というのが、全くの無意味というのを「環境問題はなぜウソがまかりと通るのか2」を今読んでいますが、よく考えてみたいと思います。
投稿: BEM | 2007年12月22日 (土) 01時42分
お借りします
投稿: db | 2009年3月 4日 (水) 11時12分