食品偽装告発騒動
近ごろのメディアの報道をみていると、偽装告発も、1966年〜1976年の毛沢東統治下で、文化大革命と呼ばれ、毛沢東を神格化する紅衛兵が特殊な政治的役割を果たしたころのこと。告発は善であるかのごとき風潮に流れ、誰が何をどのようにして悪事を働き、何を喋ったかなどの告発によって多くの人民が捕われるということが起った。疑心暗鬼は友人間にも蔓延し、何時友人から告発されるかもしれないという不安な時代があったころを思い出す。
《明治生まれの私の父は、頑固一徹、絶対に長いものには巻かれない性格であった。嵩じて会社を辞めることになったが母は何一つ苦情は言わなかった。後に会社側が頭を下げに来て復職した。その父の教えがあった。『人のつげ口は絶対に口にするな。悪いことをした人間よりも、告げ口した人間の方がもっと下劣で悪い。』というものだった。憚りなく言える、明治のモラルではあるが、この年になるまで教えは守ってきた。言いたければ正面切ってもの申してきた。そのために、勤めてきた企業内での評判は宜しくなかったが、気にかけたことない。その一方で理解者も大勢いた。現在、偽装告発は「正義」として当然の行為とされているが、私には、こうも次から次に告発が増えると、名前のないインターネット上のいじめや、「密告」、チクリ、はては嫌がらせ、のように思えてくることが避けられない。これだけ多くの偽装があり、騙された人間はいても、実際に食あたり被害にあった人間は1人も出ていない。ひょっとすると、政府の、国民の税金の無駄遣いに対する批判を逸らすために、メディア一体となっての世論操作のようにも勘ぐる。》
毎日新聞(11/8)から
今年6月に発覚したミートホープの食肉偽装以降、食品の偽装が次々と明らかになる中、農水省への食品偽装の告発が増えている。まとめでは、6〜10月では、昨年と比べ、3・2倍で、1938件に上っている。同省の告発受け付け窓口「食品表示110番」に寄せられた告発(情報提供)は、4月以降10月末まででは計2148件で、昨年度1年間の1417件をすでに大幅に上回っている。
中でも赤福や御福餅など、和菓子で消費期限などに関する偽装が明らかになった10月は、1カ月だけで過去最高の697件と前月の倍以上に急増した。因に
3月 99件
4月 97件
5月 113件
6月 252件
7月 371件
8月 285件
9月 333件 だった。
《最近では、まさしくインターネットの顔のない、愉快で堪らない連中のいじめと同じ現象が現れているとみられる。》
これまで、同省の農政局や自治体の保健所では抜き打ちで検査をしてきているが、判明する不正は産地や食品の偽装など、書類で確認できるものに限られがちだった。しかし、匿名での内部告発と思われるものの中には、赤福などで問題となった製造工程での偽装など証拠が残りづらく、内部の人しか知り得ない巧妙な偽装に関する情報も多いという。
《一体この騒動、人々は自分の味覚を何に頼っているのだろう。牛が豚であっても表示を信じ、何事もなく美味で食べてきたものを、或いは消費期限、賞味期限が細工されていても、味の違いも分らずに満足して腹に入れていたものを、“して、やられた!”“これからは、気をつけろやい!”で済ます度量は持ち合わせないのだろうか。スーパーやコンビニで見かける商品を手に取ってひっくり返し、眺めすかしつ確認して買いながら、自宅の冷蔵庫の中には期限切れが山になっているのが一般家庭だろう。》
《‘もったいない’が膾炙(かいしゃ)する世の中になった。我が家では、危なっかしいと思えば熱を通し、煮沸して料理する知恵を持つ。或いは心配な時には必ず梅干しを食べておく。戦中・戦後の食糧難を生き長らえてきた世代には、どんなものでも食べ物は直ぐには棄てることはできない。》
《悪質な偽装には厳しい取締りが必要だが、インターネットの匿名性と底辺が同じ類いの、人の尻馬に乗る告発には組みしたくない。》
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