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2007年11月 8日 (木)

内縁関係夫妻、敗訴

出生届が受理されなかった女児と事実婚*の両親が東京都世田谷区に住民票の作成を求めた訴訟で、東京高裁は5日、原告勝訴の一審判決を取り消し、訴えを退けた。藤村啓裁判長は「出生届を出すと父母や子が重大な不利益を被り、社会通念上、届出を期待できない場合に限って住民票を作成すべきだ」という判断基準を示し、今回のケースについて「両親の個人的信条で届出を怠っているだけで、例外的に作成を認める場合に当らない」と述べた。

 *事実婚 ‥ 特に法律上は内縁とされることが多く、実際に法的意義は内縁と同一である。その実態は婚姻届を出してはいないが、事実上婚姻状態にある関係のこと。

訴えていたのは、介護福祉士、菅原和之(42)夫妻と娘(2)。婚姻届を出していない事実婚の菅原夫妻は、娘を「嫡出でない子**」として届け出ることを拒んだため、区は出生届を不受理とし、戸籍が作成されていない。夫妻は、区に住民票作成を求めたが、出生届不受理を理由に受け入れられなかった。

 ** ‥ 「嫡出でない子」とは法文上の表現で、非嫡出子のこと。婚姻関係にない男女から生まれた子で、俗に私生児、私生子とも呼ばれる。非嫡出子の場合、父親との間に法的関係が生じるためには認知が必要になる。ただし、母親が別の男性と結婚している場合、子どもはその夫妻の嫡出子となるので、嫡出否認もしくは親子関係がないことの訴えが認められるまで認知はできない。

(参考)【嫡出子とは】
♢婚姻中に生まれた子
♢婚姻中に妊娠し、父親が死亡後生まれた子
♢婚姻中に妊娠し、離婚後生まれた子
♢未婚時に出生し、父親の認知後に父と母が離婚した場合の子
♢未婚時に出生した後、父と母が婚姻して後に父親が認知した子
♢養子縁組をした子
 上の嫡出子に当てはまらない子が非嫡出子

高裁判決は、住民基本台帳法が「出生届受理により住民票を作成する」と定めていることを根拠に、無戸籍の子に裁量で住民票を作成するのは極めて例外的な場合に限られると指摘した。その上で、民法は法律婚主義を採用しており、嫡出子と非嫡出子を分けるのは合理的理由のない差別とはいえないとして、訴えのケースは住民票を作成すべき場合にはあたらないと結論づけた。

《判決は、非嫡出子の届け出を拒んだ事実婚夫妻の主張を認めず「仮に子に不利益があっても父母の信条によるもの。無戸籍状態が健全な成長に資するか疑問」とまで述べている。いかなる信念、信条で届出を拒むのか不明だが、その信条を貫く自由には親としての責任がついてくる。その結果が住民票を作成しないこと、と民法で決められていることなのだ。それが納得できないとは、平明に言えば信条も信念も我侭勝手ということだ。随分騒がしかった「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」の772条問題で出生届のない子(女児)に自治体独自の判断で住民票を作成した東京都足立区の例はある。》

一審の東京地裁は5月、「幼稚園入園の申請など日常生活の不利益は見すごせず、将来的に重大な問題が起る」と区の対応を違法と認め、住民票作成を命じる初判断を示した。しかし、高裁は「選挙権の不利益は現実化しておらず、その他の行政サービスは手続きが煩雑としても住民登録者と同様の扱いがされている場合が多い」と述べ、一審とは逆に区の対応を適法とした。《ただし、日本国民という証明がない以上、パスポートの発券は不可能だ。》

判決を受けた菅原夫妻は「残念極まりない。嫡出、非嫡出の区別は国連から非難されており、個人的信条の一言で片づけられるものではない」と話し、上告する意向を明らかにした、という。

《東京足立区や東京三鷹市などでは住民票の作成を行なったが、当時メディアが一斉に取り上げた「離婚後300日」問題が後楯になっていたことと不可分の問題であった結果だ。いわゆる皆で渡れば恐くないの付和雷同の勢いがあったからだ。国連が何を非難しようと日本国の民法上の問題なのだ。その前に、婚姻中の間柄でない状況で子をなすことには、それなりの覚悟と責任は覚悟しておく必要があるのだ。日本は厳然とした法治国家であることを忘れてはならない。嫡出子でなく、非嫡出子でもない子を生むことになったのは誰の責任か考えることだ。確かに国連が自由恋愛の先進国の実態を知った上で、嫡出子も私生児も差はない、ということも頷ける。それほど婚外子が多いのだが、日本はまだそこまで国情としては乱れてはいない。》

<非嫡出子(私生児)の割合が高い国>
 アイスランド 63・6%
 スウェーデン 56%
 ノルウェー  50%
 デンマーク  44%
 イギリス   43%
 アメリカ   33%
 オランダ   31%
 イタリア   10%
数字は2003年度のものだが2006年度現在でも上昇傾向にあるという。中でも、婚外子が過半数を占めるスウェーデンでは「親のさまざまな生き方を認める」観点から、婚外子の法的・社会的差別が完全に撤廃されているということだ。因に、日本の非嫡出子の割合は1・93%と低い。婚姻外の性交渉が欧米各国よりも少ないのも事実だが、妊娠中絶が、大国と呼ばれるほど多い(年間届出のある件数が約30万件、実態は100万件とも言われている)ことも原因しているようだ。

婚姻外ではないが、参考にはなるだろう。
2005年調べ(コンドームメーカーデュレックス社)
各国カップルのセックス回数(年間)比較
 ギリシャ    138回
 フランス    120回
 イギリス    118回
 オランダ    115回
 アメリカ    113回
 カナダ     108回
 イタリア    106回 
 ドイツ     104回
 スイス     104回
 フィンランド  102回
 デンマーク   98回
 中国      96回
 スウェーデン  92回
 インド     75回
 日本      45回(41位)
(世界41カ国、35万人以上の集計結果をまとめたもの)
この数字を見ていると、戦争がなくても、日本民族は遠からず地球上から消滅するのも近いと思わせられる。嫡出子、非嫡出子などと、言っておられる状況じゃないようだ。

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