日本食も見くびられたものだ
毎日新聞(11/8)から
レストランを「星」の数で格付けするフランスの「ミシュランガイド」東京版が22日に発刊される。世界で22カ国目、アジアでは初めてという。あらゆる食が集中する東京で、最高の3つ星を獲得するのはどの店か? 和食やすしの評価は? 107年の歴史と権威を誇るガイド本の判定に、熱い目が注がれているのだそうな。
「東京がいかに素晴らしい食の都か、世界中の人々に知ってもらいたい」とはガイドの6代目総責任者、ジャン=リュック・ナレ氏(フランス人)の言だ。彼は食のレベルの高さをそのように褒め讃え、アジア進出第1弾に東京を選んだことを「自然な選択」と話した。
調査方法は各国共通。覆面調査員が店を訪れ、料理の「味と質」だけで評価を下す。掲載の可能性が高いと、調査員が身分を明かして店内の写真撮影などを行う。格付けは
3つ星「わざわざ訪れる価値がある卓越した料理
2つ星「遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理
1つ星「そのカテゴリーで特に美味しい料理を提供するレストラン
の意味だそうである。3つ星は現在、世界に56店だけ。なお、内装やサービスは別基準で評価されるという。
東京版は、欧州人3人と日本人2人の調査員が、23区内のあらゆるジャンルの料理店1200〜1500軒を訪れた。欧州の調査員は約20年のキャリアを持ち、日本料理の知識も豊富という。日本人も欧州で研修を重ねたものだという。「3年後には全員日本人にしたい」とナレは言う。
《連日報道される国内の食品偽装。賞味期限、消費期限が過ぎたものを食べても味の違いが分からず、ブランド名だけで美味しい、美味しい、で喉元を通過させ、味の違いなどさっぱり分からない現在の日本人の舌に、ミシュランはどのような味覚で採点をするのだろうか。すし1つ取り上げても、今や日本人の味覚は欧州人に近く、本来の魚介類だけが中心に使われたものではなくなり、動物の肉や西洋野菜なども混じるゲテモノとも呼べる食べ物も混じっている。反対に、高級料亭だけがミシュランの狙い目なら、一般日本人の食べ物ではないものが取り上げられることになるだろう。先ずは、炭火焼きの秋刀魚の味が理解されることは間違ってもないだろう。》
参照 海外の日本食優良店 07/09/11
《面白い試みの番組があった。同じもの、ワイン、シャンパン、牛肉、さしみなど「一級品」対「通常品」を、高級品も嗜んでいると思われる食通で一家言持つタレントたちに、目隠しして違いを当てさせるものだった。中でも食通で通っているようなタレントたちがが、ぞくぞくと数万円、十数万円のワインと安カウンターで飲むようなものとを取り違えて評価したりして、如何に人間の味覚はいい加減なものかを知らしめることに役立った。それでは何が、(例えば発売になったばかりの)ボジョレヌーボに大金をはたくことになるのだろう。それは、味はどうでもいいことで、ただのブランドに憧れるだけのことに過ぎない日本人の好きな付和雷同であり、鵜の真似をするカラスになるだけなのだ。》
パリなどでは「3つ星店は3ヶ月先まで予約で埋まる」とさえ言われる。ビジネス面への影響は大きいだけに、マスコミの取材にも神経を尖らせているようだ。
《戦前のパリは「芸術の都」と呼ばれ、若い画家たちがモンパルナスやモンマルトルに集い、彼らの中にはその後の日本画壇を背負って立った人も出たが、二流でも三流でもパリへ行けば、それだけで有名になった気分で『洋行帰り』に満足した時代もあった。だが、時代は変わっているのが分からないのだろうか。元々入浴嫌いのフランス人、その上、日本人に比べて遥かに多い腋臭体質、その体臭を消すために研究が進められて来たのが香水だ。体臭と香水の混じった臭いに慣れたフランス人に、日本人が大事にする食の微妙な「香り」が理解できるわけがない。それにたった2人の日本人(プラス欧州人3人)が1200〜1500軒を食べ歩いたというが、何年かけてか? 体調は1回1回同じように整えてか?時間も同じか?》
ミシュランの今回の企画を有り難がっている日本人がいる。料理評論家の山本益博は「世界初の和食の3つ星が誕生するだろう」と予測。「日本料理が世界に羽ばたくチャンス。料理人は独創性を重視するミシュランの姿勢から謙虚に学んでほしい」と。また、グルメ雑誌「料理王国」の土田美登世前編集長も「評価される意識を持つことで、サービスなど料理以外の面も向上するのでは」と期待している。
《彼らはよほどフランス人のお墨付きが有難いらしい。》
東京・銀座にあるフランス料理「ベージュ アラン・デュカス 東京」は既にミシュランの訪問を受けた。フランス人オーナーで大物シェフのアラン・デュカスは3つ星2つを含め現在世界8店舗で計12個の星を持つが、「星を取ることが目的じゃない。一番大切なのは,お客さまに満足してもらうこと」と語る。
《余裕綽々の対応ぶりだ。日本人が店に通うのは、美味しいからじゃないのを分かっていないようだ。日本人はブランドを食べに行くのだ。もしも3つ星でも2つ星でも取れば(先入見から取るだろう)またまたブランドになる。ひょっとすると、ラーメン屋のように行列も出来るかもしれないよアランくん。》
かたや、日本料理を適切に評価できるのか危惧する声もある。東京・赤坂にも店がある京都の料亭「菊之井」の主人、村田吉弘は「外国の人が和食に親しむきっかけになる」と理解を示す一方で、「器や書、花などのしつらえ、空気まで含めた日本料理の奥深さを、欧州の基準で判断されるのは違和感を覚える」と語る。
また、欧州で星付き店に足繁く通ったという元大使経験者は「日本の食味は実に幅が広い。本当に美味しい味は高級店ではなく、専門店や屋台にあったりする。あくまでも一つの指標では」と語る。
《高級料亭が「奥深い」と言い、元大使経験者が「実に幅が広い」という表現。聞く側が恐れ多いとでも思うと思ってか何事につけ「奥深い」が出てくることには反感を持つが、「幅が広い」といえば理解できる。確かに元大使の言う通りだ。生魚を食べる文化を持つ日本の料理、血のしたたる肉は食べても、魚は加工してからでないと食べなかった欧州の食文化の違いは決定的だと思う。日本人に比べて遥かに味覚の劣る欧州人のお墨付きなど、有り難がって頂く必要など全くない。》
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。


コメント