全国学力テスト
毎日新聞(10/26)から抜粋
文部科学省は24日、全児童・生徒(小6と中3の約221万人が参加)を対象に、43年ぶりに実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。
国語と算数・数学で(A)身に着けておくべき「知識」
(B)実生活に役立てる「活用」
の小中学校計8分類を実施し、学習意欲などを聞くアンケートも行なった。
基礎知識に関しては7〜8割の平均正答率であったが、活用力を問う問題の平均正答率は6〜7割にとどまった。公立の都道府県別では大半が平均正答率の上下5%以内に収まるなど地域間格差は縮小傾向を示した。
国公私立別に比較すると、平均正答率は国立、私立が公立を上回る結果になった。紙面では『「国私」「公」格差は歴然』と書く。多様な子どもたちが入学し、特別な支援学校も含む公立とは異なり、国立や私立は入学試験などを実施していることから、文部科学省は「同一に比較するのは難しい」という立場だ。教育コンサルタントの森上展安氏も「入り口で絞っているわけだから、差が出るのは当然」としながらも、基礎的な知識を問う知識(A)で最大19・2ポイントの差が出たことを問題視する。氏は「基礎的な問題でこれだけ差が出るのは、学校の指導力の問題が大きい」と指摘する。
特に私立は公立よりも高い授業料が必要になる一方、学校マネージメントや成績評価の方法が優れていると言われており、指導力を含めた公立のマネージメント力が問われることになりそうだ。
《森上氏、教育コンサルタントと言うが、ありきたりのコメントだ。どうしても国立、私立が公立よりも上位にあると言いたいようだ。しかし、後に書くように、今回のテスト、国語と算数・数学8分類のうち5分類でトップの秋田県の学校は、森上氏の劣るという公立の学校なのだ。森上氏の偏見は改めるべきではないのか。》
その秋田県、40年前の全国学力テストで都道府県のうち40番台にとどまり、全国平均を上回ったのは音楽だけだった。24日記者会見した秋田県教育委員会の幹部は「びっくりしている」「驚いた」と戸惑いの表情を見せたという。
専門家は好成績の理由に、01年度から取り組んできた「少人数授業」を挙げる。秋田大の浦野弘教授(教育方法)は「1学級は20人前後で教育先進国のフィンランドと近く、目が届きやすい」と解説。また、「自習がきちんと成立し、学級崩壊が殆どない。勉強に取り組む姿勢が確立している」と分析している。同大の佐藤修司教授(教育行政学)も「貧富の差が著しく、階層化が激しい大都会に比べ、家庭が比較的安定している」と述べた。
《これまでブログで繰り返し自説を述べてきた。子どもの躾も家庭教育も一家団欒の家庭環境があってこそだということを。今回の結果驚いたメディアも早速秋田に飛んで取材を始めたようだ。家庭内に入り、家庭料理の店に入り、街頭での小中学生へのインタビュー、学校内での取材へと。浦野教授が話しているように、秋田県は、少人数授業は1クラス30人以内を目標に、1億円を超える予算を準備し、さきがけて改革を進めてきた。子どもたちはそのメリットを、「教室の隅々まで先生の声がよく聞こえる」と答えている。また、昔から秋田という土地柄から、気質として比較的温厚で、食事は皆が揃ってする家庭が多く、絶えず会話が飛び交い、家族間のコミュニケーションがよく取れていると思う、と。学生たちは「都会とちがって遊ぶところもない」、そう言えば何組ものインタビューに答えていた小中学生たち、1人として携帯電話はぶら下げていなかった。ある男の子の家庭では「家に帰りつくと先ず復習する、予習はあまりやらない」「遊ぶところもないし、他にすることないから勉強する」と言う。》
今回の全国学力テスト、77億円もの巨額の費用をかけて行なわれたが、このデータをどうとらえ、どう学校教育の現場にいかして行くのか。全情報を独占する文科省は明示しなければならない。
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