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2007年10月26日 (金)

レジオネラ菌

毎日新聞(10/23)から
東京都足立区の温泉付きマンション「アパガーデンコート綾瀬」の温泉給湯設備から、国が定めた基準の最大8900倍のレジオネラ菌*が検出された。

 * レジオネラ菌 ‥ 河川や土壌など自然界に存在する細菌の一種で、空調設備や入浴施設の循環水など大量に水を溜める場所で繁殖する。感染すると肺炎や発熱を起し、身体が弱っている場合には死に至るケースもある。乳幼児や高齢者、病人など免疫機能の弱い人が感染しやすい。国の指針では100ミリリットル中の菌の基準値を10CFU**未満と定めている。

 ** CFU ‥ (Colony Forming Unit)バクテリア数の確定に用いられる単位。

東京都渋谷区の温泉施設爆発事故(6月)後に実施した足立保健所による検査で判明した。「設備の仕組みに衛生的な問題がある」との指摘を受けたマンション側が9月14日に給湯を中止していた。給湯設備4カ所のうち3カ所から同4日、菌が見つかり、うち2カ所の対する9日後の再検査で、基準の8900倍と5100倍の量の菌がそれぞれ検出された。同保健所は「菌の繁殖を抑えるために入れる消毒薬(塩素)の濃度が低く、菌が増えたとみられる」としている。マンションは05年8月に完工。77戸の浴室すべてに温泉が供給されている。

《差別化を狙い、高級イメージを狙ったのだろうが、給湯設備の管理について、幾つかの感染事例があることをどの程度参考にしたのだろうか。日本においては1996年、東京都新宿区の大学病病院で加湿器が感染源と考えられる事例があり、新生児3名が発症し、うち1名の死亡が発生しているのに続いて、過去10年間で主な感染事例が5件起っている。5例での死亡者は合計で14名に上っている。その全てが自宅の24時間風呂や、温泉施設、入浴施設での発症だ。家庭用の24時間循環式風呂で使用されていた循環フィルターや、入浴施設で多用される濾過装置のフィルターだけではレジオネラ菌の除去処理はできない。家庭用24時間風呂でも消毒薬の併用を必要とし、マンションなどでは各家庭への配管が長距離になると、十分な管理がなされないと、配管中の微生物の発生が避けられなくなる。》

同日、千葉県浦安市が長野県茅野市に所有する保養所「蓼科山荘」で06年6月、風呂の湯から国の基準値の430倍のレジオネラ菌が検出された記事が載った。浦安市は「客足に悪影響が出る」などとして公表せず、検査結果が分かってからも3人が風呂を使っていたという。

山荘を管理する同市地域ネットワーク課によると、施設の運営は浦安市内の介護施設運営業者に依託している。同年5月に水質の定期検査をしたところ、女湯で基準値の430倍に当る4300検出され、男湯も330倍の3300だった。検査結果は6月8日に判明し、業者に伝わったのは14日、市への報告は16日だった。市は判明前の2週間の宿泊客と分かってからの3人全員の計41人に健康状態を問い合わせたが、異常はなかったという。風呂は循環式で原因は分らなかったという。

山荘側は、浴場の殺菌消毒や濾過器の清掃などをし、22日に長野県諏訪保健所(諏訪市)に事実関係を報告。保健所職員立ち会いの再検査で基準値を満たしたため、30日から風呂の使用を再開した。

《原因が分らないままに、闇雲に温泉水循環の濾過フィルターを掃除したのか。そうではないだろう。入浴者の垢や汚れや脂肪を栄養分として、濾過フィルターに繁殖した微生物が形成することは分かっていることなのだ。常に循環フィルターを清潔に維持するためには消毒薬の投与は欠かせないのだ。明らかに依託業者の手抜き管理の失態だ。過去にも同様の事例がある。原因はすぐに分かったはずだ。人の命が失われたこともある恐ろしい感染症だ。それを公表もせず、宿泊客へは「点検のため」と言い逃れ、近くの公衆浴場の無料券でごましていたのだ。隠蔽体質はこのような地域にまで染み込んでいるようだ。》

佐久間利秋・同課長は「利用者数の減少や周辺の観光施設への風評被害などが心配されたので、あえて公表しなかった。7、8月には多数予約も入っていたので、利用者を不安にさせるのも申し訳なかった」と話しているという。

新藤宗幸・千葉大法経学部教授(行政学)は、市民の利用する施設で起きた衛生上の問題で、事実を公表し、どういう前後策を取ったのかも含めて、きちんと説明するのが行政のあるべき姿だ。責任を問われてもしかたないのではないか、と話す。

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