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2007年10月21日 (日)

消費税上げ?%

17日、上げ率2%以上と報じられたが翌日にはいきなり10%の数字が紙面に踊った。いよいよ来た感じだ。

毎日新聞(10/17、18)から
自民党財政改革研究会会長で同党税制調査会小委員会の与謝野馨氏は16日、インタビューに答え、消費税率引き上げについて小刻みに「1%ずつ上げていって選挙に負けたのではしょうがない。負けるんだったらドーンと上げなくてはいけない」と述べて2〜3%程度を念頭に置く考えを示した。消費税の引き上げについては「自民党は逃げない。参院選では逃げたが、逃げていると(政党の)評価はだんだん下がってくる」と語り、年末の与党税制大綱で社会保障財源として消費税率引き上げを明記する考えを明らかにした。

《何だか恐る恐るの2〜3%の弱腰で、当りを探っているようだが、基礎年金を全額税負担でという民主党の案では当面の対策にはなるだろうが、将来につながる良策とは言い難い。学生「未加入者に不支給」確定の中で提案したように、例えばスウェーデンのように、年金保険料を税として徴集する方式を推奨した。その中の「給与水準の違いによる税負担の差の国際比較」を参照してもらえればよいが、平均して日本の給与所得に占める税負担は、先進国の中では格段に低い。社会構造的な違いはあろうが、高福祉国家を目指すためには、国民1人1人の納税意識を高めることが必要になる。未納率が50%そこそこの意識レベルの低い現状では、極力公平な課税方式をもとに、強制的な徴集を行なうことが必要となる。》

与謝野会長は、基礎年金の国庫負担を現行の3分の1から09年度に2分の1に増やすための財源(約2・5兆円)について「法人税や所得税など直接税を上げるのは至難の業だ。大きな税収が期待できるのは間接税しかないのが常識だろう」と述べ、消費税率引き上げで対応すべきだとの考えを示した。引き上げ幅と時期については明言を避けたが、「消費税増税による景気の下落効果も当然あり、そういうものとの総合的な判断になる」と話した。

ところが明けて18日になると、新聞紙面にはいきなり「消費税10%台が必要」の大見出しになった。
 政府の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)が17日開かれ、社会保障の給付と負担について内閣府が試算を示した。現在の医療、介護の給付水準を維持した場合、2025年度時点で現在より財政を悪化させないためには14兆4000億〜31兆円を増税か社会保険料の引き上げでまかなう必要がある。消費税増税ですべて対応すると、25年度時点で消費税は11〜17・25%(6〜12・25%の税率アップ)に引き上げなければならず、政府・与党の税制改正論議に影響が出そうだ。

    2025年度時点での財政規律維持に
      必要な増税額 (内閣府試算)
 2011年度まで ケース 増税必要額  消 費 税 率 
 の歳出削減額       (兆円)      (%)
  14.3兆円  A   14.4〜28.7  11  〜 16.5
         B    8.2〜24.1   8.75 〜 14.75
  11.4兆円  A   16.3〜31.0  11.75 〜 17.25
         B   10.0〜26.5   9.5 〜15.75
     ケースA‥‥給付維持・負担上昇
     ケースB‥‥給付削減・負担維持
      (消費税率は現行5%を含む)
試算によると、負担額を現在の水準にとどめる場合は給付を3割減らす必要があり、負担を増やして給付水準を維持するか、給付を減らす代わりに負担は増やさないかという選択肢を国民に示す内容になっている。

少子高齢化の進展や人口減が現実となる中で、医療、介護、年金の社会保障費の増大に対応するには、国民の負担増の論議は本来、避けて通れないものであったにも拘わらず、国民には痛みを伴うことから自民党など与党には論議することさえ強い抵抗感を抱えていた。しかし、社会保障関連の歳出増の圧力は強まるばかりで、「負担増の議論を先送りしたままではもはや対応不可能」(内閣府幹部)な状況にある。

首相が消費税引き上げの議論から逃げない姿勢を明確にしていることもあって、社会保障費の安定的財源を確保する議論が諮問会議でようやく始まった形だ。

   1人当りの社会保障給付と負担の変化
          (年額、内閣府試算)
             2008年度  2025年度
   高齢者数      2800万人  3500万人
   
   高齢者が受け取る  238万円   269万円   
   給付額      (12万円)  (21万円)

   現役世代数     7600万人  6700万人

   現役世代の負担額  121万円   162万円
 ♢医療、介護、年金の現行給付水準を維持した場合の試算値
 ♢給付額の上昇は、現制度に基づく自然上昇分。カッコ内は
  高齢者の自己負担分

ただ内閣府試算は25年度が目安だが、現実にはもっと早い時期から負担増を迫られる可能性が高い。試算は11年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する政府目標達成が前提にある。だが、これを達成できるのは07〜11年度平均で名目3%の経済成長率が実現し、歳出削減も14兆3000億円という目標の上限まで実施できた場合に限られる。成長率が2%程度に伸び悩んだり、歳出削減が甘かった場合、目標をクリアするには11年度で最大5兆8000億円の増税が必要となる。また、08年度以降に年間1兆円規模で歳出増があれば、11年度の増税必要額は6兆6000億円まで膨らむことになる。

自民党が早期の財政再建を目指す財政改革研究会を再開させ、税制調査会の小委員長も兼ねる与謝野会長が2〜3%の消費税率の引き上げに言及したり、税と社会保障の一体改革を議論する政府与党協議会の設置が検討されているのもこのためだ。しかし、参議院の多数を握った民主党が行財政改革の推進を前提に消費税率の据え置きを主張している中、与党がどこまで踏み込めるか疑問視する声も多い。

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