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2007年10月 6日 (土)

代理出産公募 後日譚

長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が、不妊夫婦の受精卵で妻に代わって別の女性が出産する「代理出産」のボランティア公募に応じた40人の女性たちに送ったアンケートに、回答してきた人がいなかったことを4日、明らかにした。結果、当面はボランティアによる代理出産は行なわないという。

同病院では今年8月、ボランティアに応募してきた20〜50代の女性にアンケートを発送した。「家族の同意があるかどうか」「経済的な支援が不要かどうか」そして、「もしあなたが亡くなっても家族は納得できるかどうか」など9項目に亙る設問に答える形式となっていたという。女性が出産することは、命がけの仕事であることを理解してもらうためだ。

厳しい設問もあり、当初から志願者が減ることを予想していたとはいえ、40人からなる応募者の1人として返事すらなかったということになる。病院からのアンケートに恐れをなしたものだろうか、そうだとすると、妊娠・出産をどの程度のものと心得ていたのだろうか。当初の応募者の中には悪戯と思われるものも1名おり、代理出産を依頼したい側なのか、代理出産をする側なのかはっきりしない10名の応募もあったようだ。アンケートを送付したおよそ40名は病院の趣旨を理解した40名であったはずの人たちだと思う。病院の話ではその全員が自身の出産を経験した人たちであった。

ボランティアとはいうものの、実際にはまだ確立されていない病気や死亡への補償制度のないことが、出産の経験はあったとしても、不安に感じられたものと思われる。

毎日新聞(10/4)から
60代の独身女性が米国で第3者の卵子、精子による受精卵提供を受けて妊娠し、現在15週目の女性が、帰国後、複数の医療機関に診察を求めたが断わられていた。今年9月に同クリニックを訪れてきた。
 ▽女性が高齢で母体の健康管理が難しい
 ▽血縁関係のない子どもが生まれると、親子関係にひずみが生じる可能性がある
などの問題があるが、根津院長は「望んで妊娠したのだから」と女性を診ることを決めたという。

《この女性の妊娠までの経過を考えると、受精卵が母体にとっては全く関係のない他人のものであるという点では代理出産と何ら変わらない。通常の代理出産のように、依頼者がいての妊娠でないことだけの差異に過ぎない。米国には日本からの代理出産の依頼者もおり、東洋人の卵子も精子もバンクに保存されている。髪の毛の黒い子が望みなら要望に答えられる準備は出来ているのだ。》

01年に60代女性が米国で提供を受けた卵子と夫の精子で妊娠し、国内で出産したケースはあるが、卵子、精子とも第3者から提供を受けた高齢の独身女性の例が明らかになるのは稀である。

国内では、厚生労働省の生殖補助医療部会が03年、不妊夫婦が第3者から受精卵提供を受けることを認める報告書をまとめたが、独身者は対象になっていない。根津院長は「患者をたらい回しにするのは医療として問題だ。緊急避難としても、こういった受け入れシステムを検討すべきだ」としている。

《根津院長の『いのち』に対する取り組みは、すでに十分理解しているが、今回のような事後処理的な事例が「緊急避難」としてシステム化されることになれば、緊急避難が通常化することの危惧が懸念され、緊急避難は例外事例ではなくなる。良い例が例の離婚後300日問題だ。1人のふしだらを認めることで皆で渡れば怖くない連鎖で、法律まで変えざるを得なくなる。大義名分は「生まれて来る子に」或いは「生まれた子に」罪はない、で済まされることになるのだ。》

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