学生「未加入者に不支給」確定
いささか古いニュースになるが、06年度の国民年金保険料の実質納付率が49・0%となり、初めて5割を切ったことが社会保険庁の調べで9月25日、明らかになった。社保庁は06年度の納付率を66・3%と公表しているが、これは保険料を免除されている人などを除いて計算している数字だ。加入者全員で見た場合、保険料を払っているのは2人に1人いないことになり、国民年金の空洞化が一層進んでいることが裏付けらられたことになった。
06年度の国民年金加入者は2123万人。このうち未納者は322万人だが、未納とは別に、所得が低く保険料を免除されている人が320万人、猶予されている人が208万人もいる。社保庁はこうした制度上保険料を払わなくてもいい人を納付率の計算に含めておらず、06年度の公式納付率は前年度比0・8ポイント減の66・3%としている。
ただ、民主党は「実勢を反映していない」として、全加入者を対象とした納付率の算出を求めており、社保庁が試算した結果、06年度は前年比1・1ポイント減の49・0%であった。実質納付率が50%を割ったことで、基礎年金(国民年金)を全額税でまかなう税方式導入論に火がつく可能性もありそうだ、と書いた。
《預貯金ゼロでも老後の心配のないスウェーデンなどではどのような保険料の徴集法を採用しているのだろう。現役時代に保険料を支払わないことのペナルティーをどのように科すのだろう。スウェーデンのように、預貯金なくても老後の生活が保障されるためには、すべての国民にたいして若い時から強制的な貯蓄をしてもらう必要がある。それが無理な低所得者には、国が代わりに払えば良い。その結果が等しく老後も生活保護に頼らなくても最低限の生活が支えられるのだろう。全額を税で賄う法もあるが、スウェーデンでは年金保険料を税として徴集している。当然、収入に対する税負担は増える。
給与水準の違いによる税負担の差の国際比較をみると(2003年)<OECD 2004>より
国 水準の 水準の 差
0.67倍 1.67倍
アイルランド 16・7% 35・2% 18・5
ハンガリー 41・0% 55・8% 14・8
フランス 37・6% 50・7% 13・1
ベルギー 47・5% 60・3% 12・8
フィンランド 39・5% 50・4% 10・9
デンマーク 39・9% 50・3% 10・4
ドイツ 46・7% 57・0% 10・3
ノルウェー 33・7% 43・3% 9・6
イタリア 41・3% 50・2% 8・9
イギリス 26・2% 34・2% 8・0
アメリカ 27・1% 34・6% 7・5
スイス 26・6% 33・4% 6・8
スウェーデン 44・8% 51・2% 6・4
韓 国 12・9% 19・0% 6・1
カナダ 27・6% 33・3% 5・7
トルコ 40・9% 44・5% 3・6
日 本 26・1% 29・6% 3・5
オランダ 37・6% 39・9% 2・3
ポーランド 41・6% 43・9% 2・3
ここに見るように、日本は比較的高所得単身者と比較的低所得単身者との間の税負担率の差が小さいことが分るが、一方、収入に対する税負担は、高福祉国と比較するとその負担率は格段に低い。
日本も福祉国家を夢見たいのなら、年金保険料の税金化があってもいのではないか。格差社会を楯に納税意識の低い現在の状態のままでは、ますます未納額は増え、年金制度そのものが崩壊することが懸念される。》
【閑話休題】
毎日新聞10月10日から
20歳以上の学生の国民年金加入が任意だった91年4月以前に、未加入のまま重い障害を負った広島県の元学生の男性2人が、障害基礎年金の支給などを国に求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は9日、元学生側の上告を棄却し、「国会の広い裁量の範囲内で合憲」と退けた判決を下した。原告逆転敗訴の2審・広島高裁判決(06年2月)が確定したことを報じた。
‥‥‥‥‥ つづく
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