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2007年9月 1日 (土)

子育てと企業内保育所

コンビニ子育て 06/01/09 で、昨年の正月気分もぬけ切らない9日に、ローソンが子育てを応援する企業内託児所「子育てコンビニ」の計画を発表した。その後ほぼ1年かけた12月15日、次世代型コンビニ「ハッピーローソン」として東京・日本橋室町で営業を開始した。

現在、企業などが従業員の子どもを対象に、事業所内に開設する保育所は、深夜業や休日の勤務が欠かせない病院などが設置するケースが多い。厚生労働省のまとめでは、06年3月現在で全国に3389カ所あり、4万7775人が通っているが、地元自治体に届けていない施設もあるため、総数は不明のようだ。(毎日新聞6/4)

一方、厚生労働省でも別のデータでは2004年現在で、企業内保育所は3371カ所、とある。この数字を信じるなら、およそ2年間で18カ所だけ増えたことになる。どちらにしても、このうちの約6割が病院など医療機関のものだ。不規則な時間帯で働かざるを得ない職場であり、女性の人材確保のために保育所を併設するというのが時代の流れでもあるようだ。

その病院内保育所に関して埼玉県の実情(毎日新聞6/31)。
看護師や医師の定着・復職支援策の一つに挙げられる病院内保育所。しかし、県医療整備課の06年のアンケート(回答率80・3%)によると、回答があった県内290病院のうち137病院にしか設置されていない実態が分かった。院内保育所を設けている西部総合病院(さいたま市桜区)が「看護師は万年不足状態にある。赤字だが働ける環境づくりが必要」と話すように、病院の自助努力に行政側が頼っているのが現状のようだ。

西部総合病院は今年2月、院内保育施設を移転・新築した。急患への対応や夜勤が組み込まれた看護師は、子どもを一般保育所に預けるのは難しい。院内保育所は勤務形態に合わせて生後3ケ月〜未就学児まで対応する。保育料は格安の1日500円で1人当り月平均約1万2000円。低学年の小学生を特別に与ることもある。医師は子どもの教育に関心が高いこともあって、英会話教室を開くなどのサービスも始めた。32歳の看護師は男児(4)や1歳5ケ月の女児ら3人の子どもを育てながら、週1回程度の夜勤をこなしている。「実家が遠く共働きなので、保育室がなければ働けなかった」と話した。

県内の働く女性の数は通常、子育てが忙しくなる30代半ばで減少し、50代から増えるM字を描く。一方、女性看護師は20代後半をピークに減少し続けており、医療に従事する女性の働きやすい環境づくりは急務といえる。さらに院内保育所は24時間運営や医師・看護師のシフトによって日々変わる受け入れ児童数に対応するため、安定した運営が難しいという側面もある。

県は国の「病院内保育所運営費補助金制度」を使い、今年度は県内96施設に1施設平均年167万2000円を国と折半して助成する。だが、年々増え続ける申請数に対し、1病院当りの助成額は減少傾向にある。医師・看護師不足と赤字経営にはさまれて、病院はさらなる自助努力が求められている。

内閣府が今年3月に 1)「保育所の利用について」、2)「企業における子育て支援制度について」違憲募集を行なった結果をまとめた。総数333件の意見が寄せられた。
 1)については20代15%、30代60%から
   会社員(46%)、福祉・医療関係(15%)、主婦(15%)
 「保育園の年度途中の入所が難しい」「園長保育を利用しても、保育の終了時間が早いため、迎えに行けない」「病児保育を利用する場合、開始時間が遅いため、会社の始業時間に間に合わない」などがあった。
 2)については20代20%、30代58%、40代13%から
   会社員(55%)
 「企業の両立支援や子育て支援制度は実際には使われてはいないことが多く、職場の意識改革が必要」「長時間労働の抑制や父親の育児休業の促進について、職場の意識改革が必要」「育児休業後の職場復帰ができず、会社から退職を求められている」「会社の制度は使えるが、キャリアや収入に響くため、実際には利用しにくい」「就学前の子どもがいても、正社員の場合、職場からきちんと働らいてほしいというプレッシャーがある」などがあった。

 職場の意識改革を求める意見が26%で1番多く、次いで育児休業後の職場復帰に関するものが6%、のほか、長時間労働の抑制が10%、企業内託児所の充実を求める意見が10%あった。

思い返せば1988年のアグネス騒動の当時、企業内保育所は逆に育児を女性に縛り付けるものだ、との思惑から極力触れないで、隔靴掻痒の感のあった企業内保育所の充実が今叫ばれている。同時に育児は女だけのものではない、と男性の参画を呼び掛けては見たが、こと育児に関しては簡単には大きな波は起きそうにない。日本の育児における男性の参加が少ないことをしきりに諸外国と比べて説く識者は多いが、長い歴史の中で、数字だけ比べて説いてみても効果はない。仏教思想の女性を不浄・穢れと見る平安時代から続く男尊女卑の思想はヨーロッパ諸国には存在していなかった。「子どもを産み育てるのは女性の仕事」としての考えは長きに亙って日本には定着してきた。

その長い子育ての歴史から、今は見失われている家庭の躾が生まれ定着していた。ところが、産まれるや否やそそくさと乳房さえ取り上げ、さっさと他人の手に子どもを委ねていては躾のできる筈がない。顔を会わせる短い時間に限って溺愛していたのでは情緒不安定な子に育ってもおかしくはない。それが解決できるのは企業内保育所のシステムだろう。乳ばなれしていれば父親が企業内保育所を利用しての育児参加が可能になるだろう。私の持論(何本ものブログで主張してきた)だが、乳房が必要な乳飲み子は現在言われているような父親の育児参加など何の役にも立たない、全くナンセンスだ。授乳(母親に代わるものはない)以外の入浴をさせたり、お襁褓を替えたり、家事で便所の掃除などは、わざわざ育児休暇を取る必要もない。日常でこなすことが十分に可能だ。乳幼児の間は企業内保育所こそ必要な施設になるだろう。

政府としても企業内保育所の拡大政策を進めていけば、一般の保育所の縮小が可能になるだろうし、その人材を企業内保育所に回すこともできる。母と子の接触も増える。うまく行けば父親が保育参加することも可能になる。それに現在政府を悩ましている保育費滞納90億円などというモラルを失った親たちからも、企業内保育所ともなれば、給料からの天引き、或いは差し押さえの手も打てる。一石二鳥どころではない、三鳥にさえなるだろう。

参照 企業内保育所 06/11/30

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