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2007年9月24日 (月)

何のために 勉強するの

日本の将来が寂しくなるような記事が載った今朝の毎日新聞(9/23)。日本でも東京の子だけがそうなのか、全国の子もそうなのか、末恐ろしい内容だ。

東京の小学生は「勉強が役に立つ」と考えている割合が低い 。
 ベネッセ教育研究開発センターが実施した「学習基本調査 国際6都市調査」でそんな結果が出た。中国や韓国、米国など5都市の児童に比べて、勉強が将来の職業や収入、幸福な生活に結びつくと考える意識が薄く、学ぶことにあまり意味を見い出していない傾向が浮き彫りになった。(記事 望月麻紀)

調査は06年6月〜07年1月に東京、ソウル、北京、ヘルシンキ、ワシントンDCで実施された。各都市の10〜11歳(国内では小5)計約6000人に、学校を通じて回答してもらったものだ。

勉強の効用についての設問は
 1)、一流の会社に入る
 2)、お金持ちになる
 3)、出世する
 4)、社会で役に立つ人になる
 5)、心にゆとりある幸せな生活をする
 6)、趣味やスポーツなどで楽しく生活する
 7)、尊敬される人になる
 8)、よい父、母になる
の、それぞれについて勉強が役立つかどうかを尋ねた。

東京の児童は全部の設問で「役立つ」と肯定した割合が6都市の中で最も低かったという。特に1)〜3)でその傾向が顕著で、勉強を出世や収入など社会的な成功の手段と考える傾向が低かった。最も肯定率が低かったのは2)の「お金持ちになる」で42・6%だが、東京、北京以外では70%を超えていた。

価値観や社会観を問う「一流の会社に入ったり、一流の仕事に就きたい」「我が国は努力すれば報われる」という設問でも、東京の児童の肯定率は他都市よりも10ポイン以上下回った。

一方、学校以外の平日学習時間(塾を含む)は東京は平均101分。ソウル(140分強)、北京(130分強)に次いで長い。ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンDCはそれぞれ凡そ60〜70分強。しかし、同センターの調べでは、中学受験をする子は平均156分、受験しない子は平均54分で、その差は3倍もある。児童の4割弱を占める受験予定者が、平均学習時間を押し上げているといえそうだ。

学習上の悩みは各都市でばらつきがあった。6都市中、東京の児童の選択比率が最も高いのは「どうしても好きになれない科目がある」60%、「上手な勉強の仕方がわからない」30%だった。一方、選択比率が6都市中最低だったのは「親の期待が大き過ぎる」17%。「覚えなければならないことが多すぎる」はソウル、ワシントンDC、ロンドンに次いで4番目で、35%に止どまっている。

調査企画・分析メンバーの1人、耳塚寛明お茶の水大大学院教授(教育社会学)は「東京ではいわゆる詰め込み教育からの脱却が一先ず成功したようだ。だが、勉強する層としない層に二極化が進み、学習行動に格差社会の影響がうかがえ、競争は局地的に激しくなっている。受験以外の学習の効用を大人が子どもに示す必要がある」と指摘している。

《軍国少年時代のころだ、子どもたちに教師は万葉集から山上憶良の辞世の歌を聞かせた。「士(おのこ)やも空しかるべき万代(よろずよ)に語り継ぐべき名は立てずして」。男と生まれたからには、後世に名を残すような人間になれ、と。戦争で手柄を立てよ、との教えだった。歌のゴロは良い、苦労せずに口ずさんでいた。しかし、今にして思えばそんなこと努力して簡単にできることではない。1億、いや10億分の幾つの確率の話だ。だが、子供達はそれでも勇み立って偉くなることを願って勉強に励んだ。

結果は敗戦の憂き目にあった。価値基準が失せ、何が価値あるものかも見えず、何時の間にか隣に女性が座っていた。男女共学の時代になっていた。男尊女卑で育った軍国少年には汚らわしかった。勉強する意欲が消滅しそうになった。教科に世界史、西洋史が入ってきた。古代ギリシャのパルテノン神殿の写真に出会った。全身が凍りつくほどのカルチャーショックだった。2000年以上も前にこれだけの文明を持つ国が世界にはあることを知った。途端に勉強することの、大袈裟に言えば生きることの意味を見い出していた。いずれこの国の土を踏みたい、という目的が生まれた。時代は現在のように、塾など日本には存在していないころの話だ。

最近、あまり書店で目につかないが、当時は向学心に燃える若者には欠かせない受験のための必需品のような月刊誌「蛍雪時代」があった。夏は螢の光で、冬は窓辺の雪明かりで勉強する中国の「蛍雪の功」から取って名付けた受験勉強には欠かせない雑誌だった。書店で目につかなかったのは、昔のイメージで眺めていたからで、婦人公論がファッション雑誌か女性週刊誌もどきに様変わりしているように、蛍雪時代も普通一般の雑誌のような表紙になっていたためだったのだ。

昔話は嫌われる。さて、東京の児童たちの勉強に対しての無気力さだが、偏に親たちの生活が反面教師の役目を演じているように思えて仕方ない。学校を蔑み、教師を見下し、好き勝手を言う。数学者の秋山仁は『日本では、本も新聞も読まない親の生活に子どもが感化されて、「うまく世の中を渡ればいい」「運が良ければいい」と考えているのではないか。学びの原動力は好奇心。親や先生が楽しく学ぶ姿を見せれば、子どもの知的好奇心も喚起される』と話す。携帯電話でいじめや中傷に、或いはゲームに夢中になる好奇心の目を、勉強することに振り向けるように導いてやれれば、やがては勉強することが楽しくなることにもつながるのではなかろうか。》

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