児童虐待
親になる資格のない人間が親になったばかりに痛ましい事件が引きも切らない。子どもの作り方だけは人並みに知っているようだが、その結果が親となり子育ての責任を負うことになることなど何も考えていない。犬畜生でもできることをして子どもだけはもうけたが、その後のことは何も知らない分らないで途方に暮れるだけ。親になっても自分を育ててくれたその親たちが、わが子が将来親となるための大事な人間教育、躾けをしてやらなかった付けが廻って来ているのだ。家族制度の崩壊はますます抜き差しならないところまで来ている。
児童虐待の防止に関する法律(通称・略称 児童虐待防止法)ができたのが平成12年11月。その後幾度か改正が加えられ、今年7度目の改正案がまとまった。超党派国会議員で作る見直し勉強会(幹事・馳浩衆院議員)は4月10日、親から親権を剥奪する手前の中間的措置としての「親権の停止」は今回も見送られたが、児童相談所(児相)に強制立ち入り調査権を認め、親に接近禁止など権限と責任を強める同法改正案に合意した。来年4月1日よりの施行となる。
児童虐待防止法では、児童虐待の定義を下の4つに分類している。
♦身体的虐待
児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。例えば、一方的に暴力を振るう、食事を与えない、冬は戸外に締め出す、部屋に閉じ込める。
♦性的虐待
児童に猥褻行為をすること、または児童を性的対象にさせたり、見せること。例えば、子どもへの性的暴力。自らの性器を見せたり、性交を見せつけたり、強要する。
♦心理的虐待
児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。心理的外傷は、児童の健全な発育を阻害し、場合によっては心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状を生ぜしめるため禁じられている。例えば、言葉による暴力、一方的な恫喝、無視や拒否、自尊心を踏みにじる。
♦ネグレクト(養育放棄)
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、もしくは長時間の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。例えば、病気になっても病院に受診させない、乳幼児を暑い日射しの当る車内への放置、食事を与えない、下着など不潔なまま放置するなど。
(注)・保護者(親権を行なう者、未成年後見人その他で、児童を現に監護するもの)
・監護する児童(18歳に満たない者)
今回の改正でも家庭への立ち入りは一義的には児童相談所が行なうという原則を踏襲した上、裁判所の令状を得て強制的な調査権限を初めて児童相談所に付与する。ただし、乱用を防ぐため、虐待と見られる明確な情報があること、被虐待児が屋内にいる痕跡が確実に把握されていること、などが令状発布の要件として検討された。
7月29日の閣議で高市少子化担当相が07年版青少年白書を報告した。全国の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は05年度で3万4472件と、統計を取り始めた90年度以降、過去最高となった。
<虐待の内容は>
身体的虐待 1万4712件(42・7%)
ネグレクト 1万2911件(37・2%)
心理的虐待 5797件 (16・8%)
性的虐待 1052件 ( 3・1%)であった。
これに驚いていてはならない。今月に入って11日、児童相談所が相談を受けて対応した児童虐待件数が06年度、またも過去最多の3万7343件(速報値)に上ったことが、厚生労働省のまとめで分かった。前年度より2871件も増えているのだ。止どまるところを知らない恐ろしさだ。
少子化が嘆かれている世の中、子どもたちはみな、世の中の宝物として‘蝶よ花よ’で大事に可愛がられて育つのが普通だろう。それが何故このような痛ましい状況が生まれるのだろう。
都道府県別で急増したのは、親が食事を与えず子どもを死なせる事件があった京都府(前年度比72%増)や福島県(59%増)、母親が子どもを殺害する事件が2件続いた秋田県(40%増)など。一方、鹿児島県(42%減)、鳥取県(24%減)など減少に転じた地域もあるが、厚労省は「市町村が対応を強化し、児相に頼らず解決する事例が増えたため」とみているようだ。
最近およそ一週間の実態をみてみよう。
8/6日 炎天下の車内に男児放置、警官が窓割って救出(岡山)
8/6日 父親が小6長男を木刀などで殴打(神戸)
8/7日 06年度850件、養育の怠慢・拒否が大半(愛知)
名古屋市児童相談所
養育の怠慢・拒否が最も多く345件(40・6%)
身体的虐待 325件(38・2%)
心理的虐待 166件(19・5%)
虐待を加えた保護者は実母が 605件(前年396件)
実父 164件(前年118件)
被害者は 小学生が 336件
3歳〜学齢前児童 199件
0歳〜3歳未満 169件
8/7日 可児の1歳児虐待死母親を地裁に起訴(岐阜)
8/9日 床に叩き付けられた男児死亡(千葉・松戸)
8/9日 アルコールをかけ、火をつけた虐待の5歳児死亡(千葉・松戸)
8/10日 児童虐待、過去最悪(警察庁)
今年1〜6月の児童虐待事件の検挙は、昨年同月比24・2%増の149件
身体的虐待 113件
性的虐待 27件
保護の怠慢・拒否 9件
加害者はこちらも実母が 48人で最も多い
実父 16件
8/10日(毎日新聞)
00年以降「ポルノ事件も大幅増」。今年上半期に、全国警察が逮捕や書類送検した児童虐待事件が149件(前年同月比24・2%増)、児童ポルノ事件が266件(同18・8%増)で、いずれも統計を取り始めた00年以降で最多であった。警察庁によると、児童虐待事件では164人が逮捕・送検された。
被害児童 157人
暴行、障害など身体的虐待 120人
猥褻行為など性的虐待 27人
年齢別では 1歳未満 22人
1歳 10人
加害者は、実母が48人で最も多く
実父 45人
養・継父 27人
内縁の父 24人
また、児童ポルノ事件では162人を逮捕・送検
被害児童 122人(前年同月比87・7%増)
児童買春事件は 718件(同16・1%減)
被害児童は 651人(同8・7%減)
小学生 2人
中学生 210人
高校生 265人 が被害にあった。
8/10日 21歳の男、内妻の2児を殴り負傷させ、逮捕される(東京都・葛飾区)
8/12日 駐車場に新生児置き去り(防府市)
8/12日 2歳長男を足蹴りにし、死亡させた24歳母を逮捕(北海道旭川)
子どもとどう接してよいのか戸惑っている親が多い。核家族、少子化の中で育ち、母は働きに出るため親が子育てをする姿を見ることもなく、甘やかされて何事も思いどおりにできる子どもの頃を過ごした。我慢することも学ばず、体だけが大人になって現在親になった世代が今、問題になっている親たちの世代。昔の親にとっては冬の戸外への閉め出しや、押し入れ、部屋、納戸への閉じ込めは、悪戯っ子へのこらしめで何処の家庭でも普通にやっていた。価値基準の移り変わりは認めても、現在の親たち、余りにも甘やかされて育てられて来人間が多い。手加減が分らなくなっているのだ。昔躾が今では虐待と呼ばれる。このような親たちへ子どもとの接しかたを教える講座が数年前から各地で盛んに開かれるようになっている。「親の躾がなっていない」私のブログは05年5月からずっとこのテーマで埋まっているようなものだが、早く皆が気がついてくれることを祈っている。
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