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2007年8月31日 (金)

医療廃棄物

8月も半ばのことなので、もうニュースとは呼べない。広島市安佐北区の産業廃棄物焼却施設の敷地内に、使用済みの注射器や輸血用チューブ、ガーゼなどの「感染性廃棄物」を詰めたプラスチックケース計約110トンが野積みされていることが分かった。

放置されてから時間が経過し、雨曝しになっており、ケースが劣化して中身がこぼれ出る恐れもある状態であった。大阪府警は、大阪市の産廃処理業者が医療機関から感染性廃棄物を回収し、広島市の業者に処理を依託した結果、野積みされていることを突き止めている。近く広島県警と合同捜査本部を設置して、廃棄物処理法違反容疑で本格調査を始めると報道(毎日新聞8/18)した。

広島自動車道近くの山中に、40リットル入りプラスチックケース約1万1000個が放置されていた。大阪市大正区の産業廃棄物処理業者「コートク」が病院などから回収した廃棄物で、04年2月〜05年9月、広島市安佐北区の産廃業者に処理を依託していた。その後ケースに入ったまま東広島市の倉庫に保管されているのが広島県の調査で発覚した。同県の指導を受けて、広島市の産廃業者は同市安佐北区の自社の焼却施設敷地内に運んだが、ほとんど処理しないまま今年3月、同市に廃業届けを提出。焼却施設などは地元の産廃業者が買い取った。「いつまでも放置するわけにもいかない」と、この産廃業者が今月から少量ずつ焼却を始めている。しかし、量が多く、完了の見通しは立っていないという。(以上要約)

医療廃棄物とは医療行為に関係して排出される廃棄物のことで、患者の持つ病原体と接触している可能性があり、生物学的な危険を伴うリスクも併せ持っている。廃棄物処理法上の区分では「感染性廃棄物」と言い、その内容物によって「感染性一般廃棄物*」と「感染性産業廃棄物**」とに区分されている。
 *感染性一般廃棄物
   血液等の付着した包帯、脱脂綿、ガーゼ、紙屑などに感染性病原体が含む、または付着している恐れのあるもの
 **感染性産業廃棄物
   感染性病原体が含む、または付着している恐れのあるもの
   汚泥(凝固した血液など)、廃油(アルコールなど)、廃酸(レントゲン定着液など)、廃アルカリ(凝固していない血液など)、廃プラスチック(合成樹脂の器具など)、ゴム(ディスポ手袋など)、金属(注射針など)、ガラス(アンプルなど)

感染性廃棄物については法的に位置づけられ、厳しく処理・処分の規定が設けらたのは平成4年の廃棄物処理法改正からだ。それまでは平成元年11月13日付け「医療廃棄物の適性処理について」(厚生省水道環境部通知)があったが、さらにそれ以前は規定はなく、医療関係者の自主的判断に委ねられていた。

また、同じような内容にも拘わらず、近年特に問題となっている在宅看護で自宅で使用される医療廃棄物は、家庭から排出するということで市町村が処理・処分をする一般廃棄物に区分されている。自治体によっては処理の受け入れを行なっていても、消毒を義務づけていたり、各自治体によって取扱いが異なっている。受け入れを行なっていない自治体が、どのように処理・処分をしているのか、把握している自治体が殆どないのが実態だ。

現在の日本の産業廃棄物の総量は年間約4億トンと見られ、その内感染性廃棄物は推計で30〜40万トンといわれる。廃棄物処理法がなかった当時は処理は医療関係者の判断に委ねられており、主に医療機関内の小型焼却炉で処理・処分されていた。自家焼却の小型の焼却炉はダイオキシン類の発生問題により、医療施設内での焼却炉の設置・維持が困難となった。そのため事実上依託処理・処分が行なわれるようになり、外部業者への依託が増大した。

これが原因と言わないまでも、業者の処理設備能力以上の廃棄物が未処理になったり、経営上の破綻から未処理のまま放棄されるケースが発生することになった。医療廃棄物に限らず、一般産業廃棄物にしても、不法投棄は後を断たず、社会問題としてクローズアップされている。過去においては医療機関内での焼却が義務づけられていたが、現在は処理費用排出者負担で依託が推奨されている。

私は、不法投棄をなくすためにも、医療廃棄物の処理の原則は、過去行なっていたように感染性廃棄物処理は排出元である各医療機関の現場で対処するべきだと考える。焼却がダイオキシン問題で不可能なら、それに代わる滅菌・殺菌処理を行ない、しかる後埋め立て処分することも可能だろう。この処理システムは実際にフランスで行なわれている(田中勝・岡山大教授)と言う。

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