ぬか喜びだった出生率
厚生労働省は22日、07年上半期(1〜6月)の人口動態統計速報を公表した。
出生数は前年同期比2714人減の54万6541で、00年以来6年振りに増加した06年上半期から、わずか1年で再び減少に転じた。通年で人口減となった05年から一転、06年は人口増となったが、07年は上半期の結婚数も減少しており、通年でも出生数が減り人口も減少する可能性が出てきた。
07年上半期は死亡数が前年同月比4933人増の56万9015人で、出生数から死亡数を差し引いた「人口の自然増加」はマイナス2万2474人。前年同月に比べ、人口減少幅は7647人広がった。出生数は今年2月以降、5ヶ月連続で前年同月を下回っている。上半期の結婚数も06年は6年振りに前年を上回っていたのに、07年(35万9925組)は8040組減った。
厚労省は06年に出生数が増えた原因として「景気回復に伴う結婚数の増加」を挙げていた。今回再び出生数が減った理由については「直接結びつくものが見当たらない」と言う。ただ、第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代で最も若い74年生まれも33歳を迎える中、高出生率の25〜34歳女性の人口が今年1月以降、前同月比2・7〜2・9%減で推移していることを参考となる情報として指摘している。
《母親になる世代が減ったからだと言いたいようだが、わずか1年前、上がった出生率に喜んだとき、恐らく集計作業上の誤差の範囲だろうと書いておいた。当らずと言えども遠からずであった。(出生率 最低に 06/06/04)06年に持ち直したかに見えた出産動向は、今年早くも昨年を下回る水準が続いている。そして、全国的には東京(05年1・00、06年1・02)を筆頭に大都市ほど出生率の低いのは前年と全く同じ傾向を見せている。
出生率の上がらないのは、厚労省がいう高出生率の世代の人口減もあるだろうが、他にも出生率に大きく影響するものに「未婚率」の上昇がある。
<未婚率>
2005年 女性 男性
30歳代前半(30〜34) 32・0% 47・1%
女性は3人に1人、男性は2人に1人が独身だ。
1975年 7・7% 14・3%
女性は13人に1人、男性は7人に1人だった。
女性は約4倍、男性は約3倍も未婚者が増えたことになる。日本の未婚率は同棲婚が多いフランスなどを除いて主要国では上位とされ、「未婚大国」とも言われる。《こいつは寡聞にして知らなかった。》
50歳の時点での未婚率(生涯未婚率)の上昇は、合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子どもの数)を引き下げる大きな要因となる。昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所が発表した人口推計では、最も可能性が高いとされる「中位推計」の出生率を02年の1・39から1・26に大幅に下方修正したが、これは90年生まれの女性の生涯未婚率を23・5%と予測し、4人に1人弱は一生結婚しないと見込んだ結果だ。
結婚した女性が実際に産んだ子どもの数(夫婦完結出生児数)は05年には2・09と2・1を下回ったが、それまでの30年間は2・1〜2・3と同水準で推移しており、未婚化のインパクトが如何に大きいかがわかる。
鳴り物入りでスタートした安倍内閣の少子化対策が尻切れとんぼの様相を呈してきた。小泉は、働く母親がもっと働きやすいように、と保育所の整備や育児休業制度などを充実させる施策をとってきたが、一方で、男性の長時間労働を見直し、女性だけに家事、育児を押し付けないことが必要だと強調してきた。安倍に代わると「お父さん、お母さん、子ども、おじいちゃん、おばあちゃんがいてこそ家族だ」との従来型の家族観を持ち込んだ。現在の世情をみていると、従来の伝統的な家族制度は破壊され、核家族となった今は子どもは産んでも育てるのは託児所や保育所の他人、前柳沢厚労相の言った「女性は産む機械」は「産むだけの機械」と言っても言い過ぎではないような家族制度になったようにさえ見える。当然働く女性のための支援は従来型の家族制度とは反することになり、安倍政権の進む方向が定まらない。安倍をバカ呼ばわりしてきた新厚労相・舛添くん、腕の見せ所だよ。
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