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2007年8月20日 (月)

憲法9条 改憲に賛成か 反対か

原子爆弾落下、敗戦。毎年今シーズンになると姦しくなる憲法問題。安倍が戦犯祖父岸の思惑を継いで、戦える軍隊を持つための恐ろしい改憲への地ならしの動きが明確に見えるようなって、ここ1、2年、特に改憲問題が取り上げられるようになった。ただ、参院選の惨敗で静観の様相にはなったが、まだまだ諦めてはいないだろう。国民の審判は失格の烙印を捺したのに、掴んだ権力の座にしがみついて明け渡したがらない。さて、恒例の“石田衣良の白黒つけます”でこの問題を取り上げた。その前に、勉強のために戦争の放棄を謳う9条と、その改正について原文を見ておこう。

第2章 戦争の放棄
 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを所持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第9章 改正
 第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行なわれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 2項 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

さて、今回の白黒はすこしシリアスだし、言葉も硬くなるかも知れない。でも、細かな法律上の解釈ではなく、我々の生活に密につながる問題として、9条をみてみよう。

まず、改憲賛成派から。(《》内は私見)
「9条2項の軍隊を保持しないというのは、現実とまったく乖離している。自衛隊を軍隊と認めて敬い、自国を守る専守防衛に専念するべきだ」(大阪府吹田市・敬司)《乖離しているのは当然のことで、その時々の政府が憲法の精神を曲げ、条文を都合良いように解釈の変更を繰り返して来たからだ。》「「改憲は必要。時は流れ、戦争自体が変わってきた。自国だけで生きているわけではないから、時代の流れに沿って細かいことも変えていくべきではないか」(愛知県阿久比町・ひまわり)《戦争がどのように変わったのか分らない。また、憲法が細かいこと?小さな町の条例とは違うんだけどな。》「賛成です。といっても、一切の拡大解釈を許さないほど厳格に軍事力を放棄する方向に改正したい。初めは防衛の名のもとに軍事行動を起し、やがて過剰防衛から侵略につながっていくのだから」(兵庫県三田市・MOMO)《現在安倍の頭の中は、戦争ができるようにする憲法に改正することでしょう。本当は、あなたのおっしゃるとおり、全ての戦争は自衛の名の下に始まっているのですが。》

有効票数 3008(男:1318、女:1750)
  9条改正     賛成    反対
    全 体   28・5%  71・5%
      男   43・6%  56・4%
      女   17・1%  82・9%
 10代以下 男  45・0%  55・0%
 10代以下 女  31・4%  68・6%
 20代   男  48・9%  51・1%
 20代   女  17・6%  82・4%
 30代   男  46・3%  53・7%
 30代   女  18・8%  81・2%
 40代   男  43・0%  57・0%
 40代   女  15・4%  84・6%
 50代   男  36・0%  64・0%
 50代   女  12・6%  87・4%
 60代   男  25・6%  74・4%
 60代   女  10・8%  89・2%
 70代以上 男  18・2%  81・8%
 70代以上 女  16・7%  83・3%

《本当の戦争の惨たらしさ、馬鹿らしさを経験した、或いは見て来た70代以上の男たちには、改正反対派が多いのだが、年齢が下がるに従って、死屍累々の残虐さも知らず、ただ平穏に暮らして来た平和ぼけから刺激が欲しいだけなのだろうか。それにくらべると本能的に女性には子を守る母性が働くのかもしれない。》

それでは反対派の意見から
「変える必要がわかりません。押しつけ憲法だからなんてのはナンセンス。押し付けられて改憲するくせに」「静岡県下田市・匿名)、「現在、日本の大学院で日独の戦後処理の比較研究をしています。9条が日本の国際社会への復帰、近隣国との信頼関係の構築に非常におおきな役割を果たして来たことを強く印象づけられました。憲法改正が今の国家関係が不安定な北東アジアで新たな緊張を呼び起こすのではないかと懸念しています」(東京都八王子市・匿名)この人はドイツ人留学生。《ドイツ人からみて、日本の戦争責任の取り方は生温いだろうけれど、この憲法のおかげで国際社会への参加が成ったのは事実だ。日本人以上に日本国憲法の国際関係に果たした役割を評価している。》「絶対反対です。私は広島巡業中に被爆した移動演劇隊『桜隊』メンバーの遺族です。ハタチの私がいうのもなんですが、戦後世代の政治家たちは戦争のほんとうのおぞましさを知らなさ過ぎる」(東京都台東区・まや)「反対です。今年男の子を出産してから、その気持ちはすごく強くなりました。戦争なんかにやるために、子どもを育てる母親など皆無です」(東京都杉並区・おりっぺ)《何時の時代も母親の子への愛情に嘘はなかった筈だが、先の大戦時、鉄砲玉の代わりになることを知りながら、母親は恐らくは心で泣いて、黙って子を戦地に送り出した。どんなに強固な精神を持っていても、個では権力に立ち向かうことは不可能になるんだ。それだけに余計にそうなる可能性が大きくなる憲法の改正はあってはならないことだ。》

いつものように最後のメールを
「初めてメールします。私は塾の講師で、中学生に社会を教えることがあります。彼らにとって太平洋戦争をしることは、平安時代や江戸時代の歴史を覚えることと同じようです。わたしをふくめ、戦争を体験していない世代が増えました。これはたいへんありがたいことだと思います。憲法9条がどのように生まれたかを伝えずに改正しようとすることには反対です。改憲に賛成反対を問う前に、国民全体が憲法をもっとよくしる必要があると思います。言葉尻をとらえて、時代に合わないなどというのでなく、憲法の精神を知った上で、今なぜ改憲なのか、自分の問題として考えるべきなのではないでしょうか」(北九州市・匿名)

《そう、この憲法がつくられたころ、戦争放棄の精神は次のように解釈されていた。1946(昭和21)年、衆議院委員会で吉田茂(首相)は次のように答えていた。
「戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定はしておりませぬが、第9条第2項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄したのであります。」「いかなる形でも自衛権など認めない方がよい。そもそも近代の戦争はすべて自衛の名の下に行なわれたのであり、自衛戦争などという概念そのものが有害で・・」

これが1950(昭和25)年、朝鮮戦争が起るやアメリカは日本駐留の軍隊を急遽朝鮮の戦場へ送り込んだ。日本国内の治安を懸念したアメリカは、日本本土を警備する組織をつくるよう政府にはたらきかけた。当時の敗戦後の日本は、それまで全ての産業は軍需産業に転換させられ、平和産業は凋落しており、海外からの復員兵は国に帰っても職もなく、食糧難と重なって世情は貧困を極めていた。ちょうどそのとき、朝鮮戦争が勃発した。日本を守る軍隊に代わる何かが必要だった。失業者と復員兵を寄せ集めて警察予備隊(現在の自衛隊の前身)が編成された。都合良く旧軍隊の指揮命令系統を利用して簡単に組織は出来上がった。元職業軍人から尉官(小・中・大尉)、佐官(小・中・大佐)クラスを集め中核になる組織は整えられた。

その年の衆議院本会議における吉田の回答
「警察予備隊の目的はまったく治安維持にある。したがってそれは軍隊ではない」
続いて1952(昭和27)年、吉田内閣は次のような政府統一見解を出した。
「戦力とは、近代戦争遂行に役立つ程度の装備・編成を整えるものをいう。戦力に至らざる程度の実力を保持し、これを直接侵略防衛の用に供することは違憲ではない」と。

しかし、どう言い逃れようと憲法条文を精読する限り、警察予備隊も、1952年の改名で保安隊(現陸自)、54年には3軍(陸・海・空)の自衛隊と変えても、憲法に違反していることは拭えない。条文を無理に曲解し、アメリカのお古を頂戴しながら軍隊らしき格好だけはついた。これ以上、憲法を曲解してお仕着せの軍隊など持つ必要はさらさらない。》

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