症候群ばやり
最近の医学は医者の手に負えないものはひっくるめて皆、○○症候群になる。いかにも病気の仲間入りしたような気になるから不思議だ。それらに特徴的なのは、殆どがストレスというこれまた訳の分からないものが原因とされることだ。今日取り上げるのは流行の先端を行く時宜を得たともいうべき症候群、その名も『主人在宅ストレス症候群』である。時宜を得たというのは、昨年来云われてきた団塊世代の退職に誘因があるということのようだ。長年職場勤めで草臥れた夫が重い責任から解放されて、やっと心置きなく休めることのできるわが家に46時中いることで、妻が精神的に受ける鬱陶しさの苛立ちが原因だと云う。それを裏づけるように(作意のレポートかも知れないが)街の奥さまたちの声も、返ってくる言葉は見事に決まっている。「亭主元気で留守がいい」だった。言い出しっぺの医者がテレビで話すのを聞いた、いや、見た。そして結論は「夫の意識改革しかない」という、とんでもない診断だ。
先月のブログ「夫の収入10万円減ったら」07/06/29で述べたが、これまた物事を己の都合よい面でしか捉えられない学者の論文だが、妻の夫婦間系満足度を云う山口一男教授(経済産業研究所客員)によれば、平日の「食事」「くつろぎ」と、休日の「くつろぎ」「家事・育児」「趣味・娯楽・スポーツ」の5活動で構成される「共有主要生活活動数」の活動が増えれば妻の満足度は高まる、と出たという。その中でも影響度の大きいのが、夫婦の共有活動吸うの増加、夫婦の平日の会話時間の増加、夫婦の休日の共有時間の増加となっている。
しかしこの反面、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で来る日も来る日も顔突き合わす夫婦の間に、好き勝手が出来なくなる主婦の不満が蓄積されることの不安を書いておいた。奇しくも昨日のテレビはその妻の本音がはっきりと見えるものだった。ところが言い出しっぺの医師は、妻の側の意見だけを集めて夫を責めた。「亭主関白でやりきれない」「朝食に、いつ起きてくるのかもわからない」「買い物に店内まで来てくれない」特に、外出には「何処行くの?何時に帰るの?と聞かれる」というのだ。少なくとも会社勤めをしてきたある程度の年齢の男なら、少なくとも1人や2人の部下はいただろう。部下への監督責任から行き先、必要時間、帰社時間を聞くことぐらいは当然の業務としてあったはずだ。その癖がついつい出ても仕方ないことだ。追々直していくように話し合えば済むことじゃなかろうか。それを「束縛感が耐えられない」と仰る。そりゃ口喧しく云われることもなく、自由に過ごしてきたそれまでと比べれば、窮屈にはなるだろう。
山口教授の調査のように、きれいごとを並べる反面、本音を殺してきたことが定年退職を手ぐすね引いて待っていたような離婚劇となるのじゃないか。
毎日新聞(7/13)、時宜よろしく夫婦の問題が。
例の石田衣良の白黒つけます、から。夫・妻は恋愛対象か、恋愛対象でないか?(《内》は私見)
今回、石田の元には圧倒的に女性からの投票が多かったらしい。先ず、恋愛対象ではない、の意見から。
「背中に乗ってマッサージをしてる最中におならをするような夫に恋するかっていうと・・ありえない!」(東京都調布市・匿名)。「恋愛対象では困ります。炊事も掃除も洗濯もうわの空でできなくなってしまう。恋愛は外に向かってする。そうしていつまでもおしゃれをして、若々しくいるに越したことはない」(和歌山県橋本市・自由子)。《58歳、後述の世代別の数字にもはっきり出ているが、女性のこの世代、どうも飢えているようだ。》「夫は単身赴任中。お互い空気のような存在で、夫の前では化粧もしませんし、色気も何もあったものではありません」(大阪市東住吉区・たっつあん)。《わが家も似ている。終始、お互いに空気の有り難みを感じているわけではないが、無ければ窒息して死んでしまうだろう》。「結婚してから恋愛対象よりももっとレベルの高い関係になったのでは。恋愛というより、人生という道をいっしょにたたかう戦士のような間柄かな」(愛知県阿久比町・朝顔)。
<有効投票数>2659(男1015、女1644)
夫・妻は恋愛対象 対象ではない
全 体 60・8% 39・2%
男 63・0% 37・0%
女 59・4% 40・6%
10代以下男 71・4% 28・6%
10代以下女 81・8% 18・2%
20代 男 69・2% 30・8%
20代 女 79・7% 20・3%
30代 男 65・4% 34・6%
30代 女 62・4% 37・6%
40代 男 61・8% 38・2%
40代 女 51・3% 48・7%
50代 男 53・8% 46・2%
50代 女 36・4% 63・6%
60代 男 36・8% 63・2%
60代 女 46・4% 53・6%
70代以上男 33・3% 66・7%
70代以上女 66・7% 33・3%
《見事に団塊世代が抱えている社会現象ともいえる離婚問題が浮き彫りになる。50代、60代女性の夫に無関心以上に、不満を抱えた目が外に向いていることが明瞭に出ている。それに比べると、全体的にもその傾向が覗けるが、甘えん坊の男が純情さを見せる。それでも60代、70代を過ぎたころから男としての自信を失い、逆にそれに抵抗するかのように、夫の目は、意識は、妻以外の外に向く。女の70代以上の目が一気に夫に向けられるのと対照的だ。》
続いて恋愛対象だという意見から
「結婚5年、ばりばりの恋愛対象です。どこのだんなよりもうちにがかっこいいと思ってます。ほしいものをがまんして、だんなには服やアクセサリーを買ってあげます。自分のドキドキ感を継続するための投資ですね」(広島市南区・働く母)。《20年、30年先まで持ち続けて下さい。》「この春子どもたちが入園入学を迎え、子育ても一段落。先日の私の誕生日には、夫が会社を休んでくれ、ふたりで銀座でランチデートをしました。大好きで結婚した相手に恋できなくなる人生なんて、もったいない!」(千葉県市川市・てっこな)。《育児は入園で一段落したなんて考えないで下さい。手の掛かるのはこれから先ですよ。》「結婚16年。母が亡くなったとき、阪神大震災のとき、いつもそばにいてくれました。わたしひとりだったら、心がつぶれていたかもしれない。なにより家族を大事にする人だとわかったのは結婚してから。いつまでも恋愛対象だと信じています」(神戸市垂水区・鈴蘭)。「結婚しても男と女であり続けることは大切です。結婚って、好きという気もちをずーっと維持していくこと。大人の究極の恋愛なのではないでしょうか」(東京都足立区・恋するお嫁)。《その気持ちわかるけど、それが中々難しくてね。》
最後に「結婚9年目、毎日顔をつきあわせているわけですが、ふとしたとき妻にいとおしさを感じます。恋愛時のような強い感情ではないけれど、じんわりしみじみと。これからもこうしていっしょにいるんだろうなと思うわけです。これを恋愛感情と呼ぶのはまちがっていないと思うんですね」(千葉県八千代市・久史、49歳)。《そう、そのとおり、ふとした弾みふとした時にね。》
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