6ヵ国協議
北朝鮮から日本はずしを云われるまでもない、日本は協議には出る必要がないのではないか、とさえ思える。拉致以外に云う言葉を持っていないのだから、日本にいて拉致、拉致と声を出していればいいのではないか。19日、日本は3月にベトナムのハノイの日朝国交正常作業部会以来の北朝鮮と、およそ一時間の2者会談を持ったようだ。話し合いを終えた日本の首席代表佐々江賢一郎は記者の質問に、「お互いに議題について解決に向かって協議することに同意した。議題については例の如しで分かってるでしょう」と述べた。何をどのように話し合うのかは相手のあることだから、ここでは言えない、とだけコメントして消えた。推測するに何も成果がなかったことのようだ。
アメリカは仲良く北朝鮮と前打ち合わせを済ませ、これからの他の国は、その2者の事前協議の内容を聞かされて追認するだけの会議になりそうだ。ますます日本の出る幕はなくなる。にも拘わらず毎日新聞は21日の社説に書いた。「引き延ばし戦術を許すな」と。拉致以外口にしない日本にそんなこと要求する力はない。
懸念された通り、北朝鮮は引き延ばし戦術に出た。「初期段階の措置」に続く「次の段階の措置」をいつまでに履行するかという期限の設定を拒み、結論は8月の作業部会に持ち越された。《「懸念されていた通り」、とは予想どおりということで今さら驚くことではない。であればそうならないように話し合いを進めるのが協議であったはずだ。「核施設の無能力化」という大前提では北朝鮮も合意したのだ。ここはじくりと腰を据えて取組むことが大事だ。敵対的な考えだけで北朝鮮と対峙していては雪解けは一朝一夕で成るものではないだろう。》
ヒル米国務次官補は20日に終えた今回の会合の前に、北朝鮮を含む関係国を往復した。「すべての既存核施設の無能力化」と、高濃縮ウランなど「核計画の完全な申告」という「次の段階」の内容を具体化し、8月には6カ国の外相会合を開いて、核廃棄の日程表を決定できるという自信をのぞかせていた。だが、協議開催前に米朝2国間協議を3回もやったが、北朝鮮は「次の段階」に進む意志があるというだけで、問題は先送りされた。要するにアメリカは北朝鮮に手玉に取られた格好になった。
次の舞台は作業部会になる。米国は北朝鮮の戦術を再吟味し、日本や韓国、中国との足並みをそろえておく必要がある。そうでないと、議論は空転を繰り返すだろう。《日本がアメリカの足を引っ張ることはあり得ない。拉致問題は進展がないままでも、尻尾を振ってついて行くだけなんだから。》反面、北朝鮮は元公安調査庁長官が介在して詐欺事件に発展した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物の問題を取り上げて来た。日朝の作業部会に尾を引く可能性がでてきた。
しかしながら、取り敢えずは次の作業部会につなげたという点では、必ずしも失敗したというわけではないが、ずるずると北朝鮮のペースに嵌らないよう警戒が必要だろうと新聞は書く。《とはいうものの、今までも北朝鮮ペースで事は進んで来た。アメリカを始め、どの国も北朝鮮の掌(たなごころ)の上で踊っていたような感さえある。日本などはその輪の中にも入っていないのだが。》
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント