いい名前考えて(エコノミークラス症候群)
来年もう一度やってみよう
エコノミークラスの名前で呼ばれている症候群がある。いかにもイメージの悪い名がついたものだ。差別に対する考えが浸透してくる頃、昔あった1等、2等、3等などと呼ばれていた客室、船室が3等の廃止から始まって2等区分制になり、列車の場合は1969年5月1日のモノクラス制移行にともない旧1等は‘グリーン’に旧2等は‘普通’と呼ばれるようになった。飛行機の場合、ファーストクラスがあり、英単語の上では2等と呼ばれるエコノミークラスがあってその中間にビジネスクラス(インターメディエイトクラス=中間クラス)がある。カタカナに紛らわされているが、何のことはないその昔の1等、3等、2等だ(列記順)。
医者が困って便利に名付ける症候群、これもそうだ。特に海外旅行で長々と体を横たわることのできるファーストクラスと違い、3等クラスの窮屈な飛行機の座席で同じ姿勢を続けていると、下肢や上腕その他の静脈に血栓が生じる疾患だ。しかし、必ずしも飛行機内で長時間座ることだけが原因ではない。脱水や、感染、長期の臥床などでも発症する。エコノミークラスの特有のものではないのだ。正式病名は「静脈血栓塞栓症」とある。
発症すれば死亡することもある怖い疾患だ。3年前の中越地震では、死者が3人も出た。それから3年後の今月16日、前回に近い上中越沖を震源地とする地震に見舞われ、17日はほぼ1万2000人が避難先で夜を過ごした。避難生活が長引けば静脈血栓塞栓症を発症する危険性がある。この人たちに海外旅行など物見遊山に関係のある飛行機の3等クラスの名を冠した病名で呼ぶことは相応しくない。
新潟県災害対策本部は余震による2次災害や出火、漏電などに注意するなどを呼び掛けている。また、中越地震で1500人以上の被災者を調査した新潟大医学部の榛沢和彦医師は「被災によるストレスや避難所での生活も要因となるので適度に体を動かしたり散歩するなどして血行を保ってほしい」と指摘している。
狭い体育館など碌に睡眠も取れない環境の中で、疲労困憊している被災者に呑気に散歩を呼び掛けるなどいかにも学者の仰ることだ。被災地の人たちのためにも何かいい名前が考えられないのだろうか。
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