何を 今さら
毎日新聞(7/13)から
13日の金曜日、何の関係もないか。
夕刊一面にキャビネサイズのカラー写真が載っている。ごろごろした石を並べた何やらカタカナやローマ字が幾つか見える。写真の添え書きがあって「富士山頂の火口付近に多数見られる石の文字」=06年8月、環境省沼津自然保護官事務所提供とある。
余りの汚さに、世界遺産登録が認められず、アルピニストの野口氏の富士山再生キャンペーンが始まって今年は7年目になる。写真はその環境行政不備の張本人、環境省の撮ったものだ。
《私が最初に富士の山頂に立ったのはもう40年以上前になる。その時にも同じ火口付近にはまばらにケルン状のものが散見できた。ケルンは100年以上前から登山者には馴染みの石積みだ。先に登った登山者が、後に続く人が道に迷わないように、道しるべとして近くの石を積んで案内代わりにした道標だ。写真に見える限り、火口全体に石がばら撒かれ、ケルン状のものは姿を消している。さしずめ後の人が先のものを壊して落書きの材料に使ったのだろう。日本ではあちこちの山頂にも大小の石を積み上げてあるがが、これは単に登頂の記念の石積みの類いでケルン本来の目的のものではない。》
写真の説明には「天空 恥並べ」とタイトル代わりに掲げてある。半世紀近く前からケルン状以外の落書きも混じっていた。環境省は何を今更寝ぼけたことを言うのだろう。「コケ類に悪影響」だって。石を並べて書いた落書きが、火口一帯に棲息するコケ類などに悪影響があると指摘されていることが分かった、という。山頂の歩道脇にある噴火口周辺には、石を置いて描いた絵や名前などが数え切れないほど並んでいる。
《健康のためにハイキングを、と呼び掛けたのはよいが、真似をすることに長けた日本人、我も我もと金魚の糞よろしく行列を作って登り始めた。多くのモラルに欠けた連中の糞便の垂れ流し、ゴミ放棄などがいっそうの拍車を掛けて激しいモラル崩壊を呼んだ。
こうなることは、多くの人の集まるところには必ず発生する悲しいが現実だ。何年も前から傾向はあった筈だ。環境省もそれに対する対策には無関心のままだった。山頂には気象庁の測候所もあった。そこに1964(昭和39)年に気象レーダーも設置した。厳しい環境下何人かの人も常駐していた(1999年まで)。何年間も火口付近の変貌については見て来た筈だ。コケが最近になって棲息を始めたわけでもないだろう。何十年間、何故対策が打てなかったのか。登山者のモラルも最低だが、呑気に見過ごして来た気象庁や環境省のお役人さまたちの無責任振りもひどい。野口氏が富士山再生キャンペーンを始めてからでも7年目になる。今さら何を寝ぼけたことを云ってるのだろ。》
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