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2007年7月23日 (月)

年長者の部下

毎日新聞夕刊、毎週月曜日の「愛したい」欄については度々触れてきた。今回は、いつもの熟年女性の不倫、浮気の相談ごとからちょっと趣を変えた内容になった。

相談は47歳の会社員から。『年上部下の扱い方で悩んでいます。人当たりは良いのですが、仕事が遅い上に間違いが多い。例えば、締め切りが迫っている報告書を「前回と同じで、数字だけ変更して下さい」と頼んだところ、なかなか取り掛からない。尋ねれば「忘れてしまった」で済ませる。しかも、出来上がりを見れば、個々の数字は変わっていても、合計金額が変わっていない。そのくせ、よその部署の知り合いがくれば、長い世間話に興じている。若い者からは「いない方が仕事がはかどる」とまで言われています。どう対処していけばいいでしょうか。』というもの。

回答者は心理学者を名乗る38歳の伊東明。人物像には、男性・女性心理やビジネス心理を専門とし、企業研修やコンサルティングのほかマスコミなどでも幅広く活躍。「恋の心理法則50」「男は3語であやつれる」など著書多数とある

《この会社、この部署、相当人間関係の悪いところと見受ける。年長者をずっと邪魔者の目で見る上司と若い社員たち、当人は職場から完全に孤立しているように感じられる。その年長者が他の部署の知人と世間話に興じるのは、自分自身の未熟さをさておいて、相談事として新聞社にまで投書してきた、47歳の傲慢な上司自身に問題があるように感じる。“目は口ほどにものを言い”、年長者は長く人生を歩んできて、口に出されなくても人の心を読む術(すべ)を身につけているものだ。はなから不安、猜疑で言い付ける命令(どんなに優しく猫なで声を出そうが、丁寧だろうが)に、人間味のない上司の心を見抜いているのだ。周りにいて苦々しく見ている若者たちの陰口もまた、防ぎようもなく当人の耳には入ってくる。だから故意に間違い、中途半端な仕事をしているとは言わないが、上司が変わらなければ部下も変わらない、子を見れば親が分かると言えるように、部下もまた上司の鏡なのだ。》

伊東氏の回答は殆ど役に立たない。学者だからって彼も又、若年の故にか完全に人を見下している。人間関係が壊れることを恐れて部下を叱れない。褒めることもできずに中途半端な対応が多い。忘れたことに対しては「忘れてもらっては困ります。仕事が遅れたら周りにも影響が出ますから」ときちんと伝えよ。しかし、相手は年長者だ、怒りをぶつけたり、責めるような口調はNGです。「どうすれば忘れないようにしていただけますか?」など、相手から引き出しつつ、具体的な行動プランに‘落とし込む’「コーチング」という手法が効果的です、だって。

《この程度の事が分からない47歳の上司だとすれば、もともと何人もの部下を持たせたことが誤りだ。なお、心理学者と言いながら伊東氏、‘落とし込む’とは見下した表現だ。せめて具体的な行動プランを‘考えさせる’とでも言えないのか。》

伊東氏の回答は、相談者の『部下を指導する立場』で終始し、年長者への注意を怠るようなことでは、周りから「あの人にだけ何も言わないのはおかしい」「甘い」と思われ、組織全体の意識低下につながります。「ダメな部下と、何も言えないダメ上司」とのレッテルを張られかねません。ピシッと言って年長者の部下が反発したとしても、正義はあなたにあるので、周りは味方になってくれるはずです、と結んでいる。

《企業研修やコンサルタンティングなどに活躍している心理学者とは言うが、木を見て森を見ない人間だ。まず疑うべきは相談者の指導者としての資質の問題ではないのだろうか。「投書するより先に社内に悩みごとを打ち明けられる人脈を持たないのか」「悩みを打ち明けることを、恥じか汚点とでも考えているのか」などから諭して行くべきではないのだろうか、と私は思う。》

相談者も、回答者も65歳定年制*のことを知らないのだろうか。
現在、65歳未満の定年制をとっている事業所は、2006年4月から
 ♦定年を引き上げる
 ♦退職後に雇用契約を結び直して再雇用する「継続雇用制度」を導入する
 ♦定年制を廃止する
のどれかを実施するように義務づけられたのだ。
 *(改正高年齢者等雇用安定法、平成18年4月から施行)

ただ、定年又は継続雇用制度の対象となる年齢は、改正法と同時にするのではなく、平成25年度までに段階的に引き上げてもよいことになっている。
 対象年齢の段階的引き揚げは
 △平成18年4月1日〜平成19年3月31日 62歳までの義務
 △平成19年4月1日〜平成22年3月31日 63歳
 △平成22年4月1日〜平成25年3月31日 64歳
 △平成25年4月1日〜          65歳

《こうなった時、日本の企業の職場には高年齢者の数は現在とは比較にならないほど多くなる。相談者のような上司ではとても職場を統括していくことはできなくなるだろう。年長の彼らがみな、投書に書かれているような邪魔者とは限らない。当然、肉体的にも思考力にも衰えが目立って来るだろうが、逆に若者の及ばない豊富な人生経験が蓄積されている人も多くいる。それを活かしていくのが上に立つものの腕であろう。高年齢者たちも、現在荒れに荒れている年金問題を抱え、年金生活への不安から、それを受け取れる年齢ぎりぎりまで働くことになるだろう。それは、若者にとっては現在よりも一層厳しい職場となる、俗に言う‘上がつかえている’職場となるからだ。また、同じ理由で女性の職場進出も現在以上に難しくなって行くことだろう。

65歳定年制もいいが、その先をきちんと読んだ施策を準備しておかないと、事前に分かっているはずの団塊世代の退職を読み切れず、真際になって慌てる企業の轍を踏むことになるだけだ。やはり、いつの時代でも企業は人なりだ。

 

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