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2007年6月16日 (土)

うなぎが食べられなくなるかも

捕鯨再開が不認可、マグロの漁獲制限、生きた蟹が締め出され、遂に今度は日本人の好きなうなぎが槍玉に上がった。

オランダのハーグで開かれていた稀少動物の保護に関するワシントン条約*締約国会議で欧州産うなぎ(ヨーロッパうなぎ)を規制対象にするよう欧州連合(EU)からの提案があり、11日、賛成多数で可決した。この規制案には日本政府も「反対する合理的な理由がない」として賛成をした。この結果、うなぎの供給量が大幅に減るのは確実で、日本の食卓への影響は避けられない情勢になった。

*ワシントン条約・・正式の名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」という。英文表記のConvention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Floraの頭文字をとって、CITES(サイテス)とも呼ばれている。
 野生動植物の国際取引が乱獲を招き、種の存続が脅かされることがないよう、取引の規制を図る条約である。

欧州産うなぎは稚魚が中国に輸出されて養殖され、蒲焼きなどの「調製品」として日本に輸出されている。水産庁栽培養殖課によると、うなぎの国内消費約10万トンの約半分が中国から輸入される調製品で、その約1割が欧州産うなぎと推測されている。

ヨーロッパうなぎは欧州でも古くから漁が行われてきたが、現在の年約200トン程度の漁獲高は70年代に比べるとおよそ1パーセント程度まで減少したとみられている。EUでは「うなぎの激減は中国や日本への輸出が原因」と名指しで批判。

一方、ニホンうなぎは卵からの完全養殖は難しく、少ない稚魚を捕獲して養殖しているが、1960年代から減り始めた漁獲量はここ数年、70年代の約10分の1(20〜30トン)まで激減している。また、ニホンうなぎの稚魚を日本に年間約5トン輸出している台湾でも、漁獲量減少のため、対日輸出を制限する方針のようだ。5月21日に開かれた日台鰻魚貿易会議に出席した組合員からも「この冬にも輸出規制に踏み切るだろう」と見ており、日本のうなぎ業界は対応に頭を痛めている。

今日6月16日の毎日新聞の「余禄」に面白い記事を見い出した。うなぎがどうやって生まれるのか、につて何も知らなかったことを知らされた。
 ヨーロッパうなぎについて、『ヨーロッパ人はよほど不思議に思っていたらしい。古代ローマの博物史家のプリニウスは、岩に体をこすりつけ削げた体の一部から生まれるといい、17世紀のオランダの化学者は5月の露から生まれると説いた」(荒俣宏著「世界大博物図鑑」平凡社)。この積年の謎が解かれたのはなんと、20世紀になってからだ、という。デンマークのシュミット博士が、その産卵場所を大西洋のバミューダ島近くの海底だということを突き止めた、というのだ。
 次いでニホンうなぎはというと、これまた驚きだった。遡れば万葉の昔から日本人の舌を堪能させてきたうなぎの生まれでる場所の特定が、つい最近まで確認されていなかったとは。そのニホンうなぎのそれが、太平洋のマリアナ西方海域と確認されたのは一昨年のことだという。

くじらにまぐろにうなぎ。くじらは私たちの世代には敗戦直後の食べるものがなかった時代、ポテトチップのように薄くスライスした脂身100パーセントのくじらベーコンは、コロッケ並みの安い食料品だった。捕鯨が禁止されて今では高級料亭で出される食べ物の仲間入りをして、その稀少価値の味だけで味わっているようだ。同じようにマグロも必要以上に高級もののイメージが付きまとう。そしてうなぎまでが庶民の食卓から姿を消しそうな雲行きになった。

くじらは私たち世代には他に食べるものがなかったから食べたようなもので、まして現代の美味な牛肉、豚肉に馴れた口には捕鯨解禁されて食卓に上っても、すぐに飽きられるだろう。日本の食文化とはいいながら、今では西洋に慣らされた肉食文化になっている。すでに1988年に日本が商業捕鯨を中止してから19年が経つ。

今年も夏の*土用の丑の日が近づいてくる。
 *わざわざ夏の、と断わるのは、土用は1年に4回あり、それぞれ立春(2/4ごろ)、立夏(5/6ごろ)、立秋(8/7ごろ)、立冬(11/7ごろ)の前の18日間を指す期間のことだ。この期間にある十二支の丑の日にうなぎを食べることが習慣になった。

  因に2007年は7月30日
    2008年は7月24日と8月5日
    2009年は7月19日と7月31日

騒ぐほどに個人的には痛くも痒くもない。生涯でうなぎを食したことはただの一度きり。関東に来たてで新宿の名のある店だった。20代だった、大変な食中りを起した。それ以来うなぎには全く食欲は湧かない。うなぎを食べなくても夏ばてなんかしたこともない。また、くじらには余りにも貧しかった頃の旨くもなかった味のマイナスイメージが付きまとう。くじら?、あ、そう、食べたい人はどーぞ、以上のものではなくなっている。まぐろも同じだ、以前ブログでも取り上げた。日本海の魚で育った口にはまぐろより旨い魚は幾らでもある。宣伝に踊らされて何も高級ぶったまぐろなど食べなくても残念とは思わない。

<追記>
農林水産省の小林芳雄事務次官は、国際捕鯨委員会(IWC)総会で日本政府代表団が脱退の可能性に言及したことについて「反捕鯨国がIWCの資源管理機関としての役割を放棄し、IWC正常化の可能性が見込めないことが明らかになった」と説明した。(6/4毎日新聞)


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